とにかく書いておかないと

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古典の参考書第2回 「世の中に物語というもののあんなるを」1

2022-01-08 13:35:42 | 国語
世の中に物語といふもののあんなるをいかで見ばや。

【品詞分解】
 世の中 名詞
 に   格助詞
 物語  名詞
 と   格助詞
 いふ  動詞 ハ行四段活用連体形
 もの  名詞
 の   格助詞(主格)
 あん  助動詞 ラ行変格活用連体形「ある」の「る」の撥音便化したもの
 なる  伝聞の助動詞「なり」の連体形
 を   格助詞
 いかで 副詞
 見   マ行上一段活用未然形
 ばや  願望の終助詞

【現代語訳】
 世の中に物語というものがあるというのを、何とかして見たい。

【重要文法事項】
 「あんなる」
 伝聞推定の助動詞「なり」や推定の助動詞「めり」は終止形接続です。しかし、ラ行変格活用型の単語に接続するときは連体形に接続します。ですからここでは「ありなる」ではなく、「あるなる」になります。このようなラ変型+推定「めり・なり」のパターンの時は多くの場合、上のラ変型の「る」が撥音便化します。ですから「あるなる」が「あんなる」となります。さらに「ん」は無表記になる場合があります。ですから「あなる」と表記されることもあります。
 ラ変型+「めり・なり」は動詞だけにかぎりません。ラ変型の活用をする助動詞や、形容詞のカリ活用などでも同じです。例えば次のようになります。
 なんなり 断定の助動詞「なり」+伝聞推定の助動詞「めり」
 なんめり 断定の助動詞「なり」+推定の助動詞「めり」
 たんなり 存続・完了の助動詞「なり」+伝聞推定の助動詞「めり」
 たんめり 存続・完了の助動詞「なり」+推定の助動詞「めり」
 べかんなり 推量の助動詞「なり」+伝聞推定の助動詞「めり」
 べかんめり 推量の助動詞「なり」+推定の助動詞「めり」
 
「いかで」
 「いかで」は下に願望表現を伴なったとき、「なんとかして」という意味になります。「いかで」にはもう一つ「どうして」という意味もあります。これは疑問表現を伴なったときの意味です。このように、文末の表現と呼応している副詞を「呼応の副詞」「陳述の副詞」と言います。
 
「ばや」
 「ばや」は願望の終助詞です。
 願望の終助詞は大切なので覚えましょう。

 ばや 自己の願望の終助詞「~たい」 未然形接続
 なむ 他への願望の終助詞「~してほしい」 未然形接続
 てしがな・にしがな 自己の願望の終助詞「~たい」 連用形接続
 もが・もがな 上の事柄の存在・実現を願う終助詞「~があったらなあ」。
        名詞、形容詞および助動詞「なり」「ず」の連用形、助詞に付く。
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