とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

古典の参考書第2回 「世の中に物語というもののあんなるを」2

2022-01-10 08:33:32 | 国語
【更級日記】
 例文の「世の中に物語といふもののあんなるをいかで見ばや。」は『更級日記』の冒頭からの引用です。更級日記の作者は、菅原孝標の女(むすめ)です。もちろん本人に名前があったのでしょうが、伝わっていないのでこのような言い方をしています。作者は物語の世界に強いあこがれを抱き、『源氏物語』の夕顔や浮舟のような恋愛に焦がれる娘でした。

 東国に任官していた父・菅原孝標の任期が終了したことにより、上総から京の都へ帰るところから始まり。『源氏物語』を読みふけり、物語世界に憧憬しながら過ごした少女時代、度重なる身内の死去によって見た厳しい現実、祐子内親王家への出仕、結婚、出産、夫の病死などを経て、子供たちが巣立った後の孤独の中で次第に深まった仏教傾倒までが描かれています。

 日記とはいいながら、自伝小説といったほうが適当なのではないかと思われます。当時の女性の心理が現代に通じるというのがよくわかる作品です。

 この作品も短めですので、ぜひ読んでみてください。
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