とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『フェードル』(演出・栗山民也 4月14日シアターコクーン)

2017-04-15 06:46:16 | 演劇
 学生時代に授業で読んだことがある『フェードル』が上演されるということで、ほとんど忘れていたがぜひ見てみたいと、シアターコクーンに向かった。古い戯曲なので退屈するのではないかという心配をしていたが、すばらしい舞台であった。

 『フェードル』は17世紀にラシーヌというフランスの劇作家の作品。ギリシア神話から題材を得ている。大竹しのぶ演じるフェードルは、今井清隆演じる夫テゼの留守中に、平岳大演じる義理の息子イポリートに恋をしてしまう。しかし、イポリートは反逆者の娘アリシーが好きであった。禁断の恋が悲劇を生むという話である。他の出演者はキムラ緑子、門脇麦、谷田歩、斎藤まりえ、藤井咲有里。

 禁断の恋による悲劇が展開していくなかで、感情と理性の対立という人間であるゆえの宿命的な罪が問われてく。すべての役者はまじめに言葉を自分のものとして発し、濃密な時間が過ぎていく。ラストシーンの美しさは残酷である。

 本当にいい舞台を見せてもらった。

コメント
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