まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

競技ダンス新採点方式

2010-11-20 23:37:28 | ダンス・ダンス・ダンス
本日は、全東北学生競技ダンス連盟の秋大会でした。
4年生の引退試合になりますが、4年生の皆さん、4年間本当にお疲れさまでした。
今日の閉会式では突然のご指名だったので噛み噛みでしたが、
言いたかったことはここに書いたようなことです。

さて、JDSF (日本ダンススポーツ連盟) の役員も務めておられる、
全東北学生競技ダンス連盟副会長の神宮周二さんから、
競技ダンスの最新情報を仕入れることができました。
中国広州で行われたアジア大会では競技ダンスに新採点方式が取り入れられたそうです。
前回書いたように、競技ダンスの採点は基本的に複数のカップルが同時に踊っているのを、
相対評価する形で採点が行われています。
私はこの採点方式は競技ダンスの構成的ルールに関わる重要な要素と考えていますが、
ここには大きな問題も存しています。
というのは、競技ダンスはオリンピック種目への採用を目論んでいるのですが、
現在の採点方式は客観性に欠けるとして、
より客観的な採点方法の確立がIOC (国際オリンピック委員会) から求められているのです。
そして、日本のJDSFはその求めに応じて、新採点方式を開発し、
10月に行われた全日本選手権でこれを導入し、
広州アジア大会でもその新採点方式を使ってジャッジが行われたそうなのです。

新採点方式は 「PCS (プログラム・コンポーネント・スコア)」 と、
「TES (テクニカル・エレメント・スコア)」 の2つで採点するそうです。
これは決勝戦で、これまでの順位法スケーティングシステムの代わりに用いられます。
PCSは、2人の動きのバランスや音楽性、振り付けなど全体的な印象を、
TESは、ステップの正確さなどの技術面を点数化し、
0.5点刻みで10点満点で各審査員が採点し、その総合点で争うのだそうです。
しかもそのために決勝戦はソロダンスで、各カップルがいっぺんにではなく、
1カップルずつ順番に踊っていくのだそうなのです。
まさにフィギュアスケートと同じ方式です。

せっかくこの新方式を開発した皆さんには申しわけありませんが、
私はこれは競技ダンスに対する冒涜だと今の時点では思っています。
競技ダンスの根幹を脅かしているからです。
オリンピック種目に入れてもらいたいからといって、
譲歩していい線と譲ってはならない線があるはずです。
私たちは柔道が国際的な格闘競技として発展し、オリンピック種目にまでなった反面、
本来、柔道がもっていた柔道らしさを失ってしまい、
柔道とは異質のJUDOに変質を遂げてしまった姿を見てきているはずです。
剣道はその様子を見ていて、国際的スポーツとして世界中に広まって、
オリンピック種目として認めてもらおうなんていう道は断念したという話を聞いたことがあります。
それはものすごい見識だし、ものすごくリッパな判断だったと思います。
たしかにオリンピックの種目になれば、世界中から注目を浴びますし、
競技人口が爆発的に増えることは間違いないでしょう。
しかし、それによって失うものもあるのだとするならば、
利益と損失を天秤にかけて、冷静に判断することが必要となるでしょう。
例えば、広州アジア大会では、新しい決勝方式が悪用されて (?)、
金メダルが確実視されていた日本の選手がことごとく2位以下に敗退したそうです。
(全種目で中国勢が金メダル)
このように新採点方式になればそれで客観性が保障されるとも言い難く、
それよりも競技ダンスが社交ダンスであった本来の姿が失われてしまうのだとするならば、
国際化、オリンピック化の流れに抵抗するという選択肢もあるはずなのです。

今日の秋大会でもサンバとタンゴでソロダンスが行われました。
(ただし、ソロダンスが一通り終わったあとはみんなで一緒に踊りますが)
ひとつのカップルの踊りをじっくり見られるというのはたしかにいいことではありますが、
順番に1カップルずつ見ていって前に踊ったカップルと頭の中で比較するというのは、
それはそれでけっこう難しい業です。
もちろん新採点方式は前に踊ったカップルと相対評価することが目的ではなく、
カップルのひとつひとつの技術やアーティスティック・インプレッションを、
直接数値化しようとするものです。
しかし、はたして総合芸術であるダンスをそんなふうにして要素に分解し、
そのたんなる合計点で評価することが可能なのでしょうか?
それははなはだ疑問だと言わざるをえません。
とまあ、こういう保守的な意見を私ごときが展開しても、
オリンピック種目に入れてもらいたい、そのためならどんな犠牲も払いますという流れを、
食い止めることは難しいだろうと思います。
この件、今後も検討を続け、注意深くウォッチしていきたいと思います。

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