まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

発見! フレーリーゲームの出典

2010-04-11 16:23:01 | グローバル・エシックス
2ヶ月ほど前に 「フレーリーゲーム」 についてご紹介しました
しかし、その出典が見つからず、
出典不明のままゲームのやり方だけご紹介させていただいたのですが、
このたび、意外なところでその出典を発見してしまいました。
というわけで補足情報です (いわゆる分割ネタ)。

先日、大学生協で、
阿木幸男 『世界を変える非暴力』 (現代書館、2010年3月20日)
という本を見つけました。
私は数年前、阿木幸男氏による非暴力トレーニングのワークショップに参加したことがあります。
彼は非暴力運動に関しては日本でも先駆的な存在のひとりで、
1987年に同じ現代書館から For Beginners シリーズの1冊として、
『非暴力』 という本を出版しています。
実は今回の 『世界を変える非暴力』 はその本の改訂版です。
タイトルが変わっており、奥付も第1版第1刷となっていますが、
見比べてみたところ、本文とイラストが若干差し替えられているものの、
基本的には同じ本の改訂版と言っていいでしょう。
ただし今回は、ガンジーとキング牧師に関するドキュメンタリーDVDが付録でついています。
改訂版を買うかどうかというのはけっこう悩ましい問題なのですが、
DVDに惹かれてけっきょく買ってしまいました。

一度読んだ本とはいえ内容を覚えているわけではありませんから、
せっかく買ったのでパラパラと眺めていたら、
一番最後のほう、非暴力トレーニングの手法について具体的に紹介してある中に、
なんとフレーリーゲームのことが書いてあったのです。
読んでみると、私が参考にさせていただいたのは、
まさにこの本 (つまり旧著の 『非暴力』) だったということがわかりました。
せっかくですので、引用させていただきましょう。


「フレイリー・ゲーム (短文作成による話し合い)

 みんなが関心をもっていそうな言葉を一つ選び、それぞれ、白紙に自分自身の定義、見解、感じ方を短文にして要領よく書く。例えば、「自由」、「平等」、「豊かな暮らし」、「ひらかれた人間関係」 等。数分のうちに書いてもらい、メンバーの一人が紙を集め、かきまぜて、一枚ずつメンバーに渡す。メンバーは手にした紙に書かれたことを読み上げ、自分の意見、感想を2分間ずつ話す。タイム・キーパーを置き、2分たつと次の人に移ることにする。ひとまわりしたところでグループ全員で話し合う。全員が発言でき、一人ひとりの考え方を理解する上で役立つ。」 (同書162ページ、旧著では166ページ)


いやあ、それにしてもフレイリー・ゲームが非暴力トレーニングのひとつであったとは、
まったく思いつきもしませんでした。
(原著に忠実に、「フレーリーゲーム」 ではなく、「フレイリー・ゲーム」 と表記することにします)
開発教育やワールド・スタディーズやワークショップ、ファシリテーションなど、
新しい教育方法に関する本の中で読んだものとばかり思い、
それ系の本の中ばかり探していました。
まあ、考えてみれば開発教育やワールド・スタディーズと非暴力トレーニングとは、
根っこが一緒だと言っていいはずですが、
私の中ではその両者が分離して捉えられていたのでしょう。
フレイリー・ゲームも、全員に強制的に瞬発的に話させるための手法としてのみ記憶しており、
互いの考え方を理解し合うための手段と位置づけられていませんでした。
うーむ、頭が硬くていけませんね。

たぶん旧著を読んだことがある人はほとんどいないでしょうから、
特に昨年度の 「戦争と平和の倫理学」 の講義を取った人は、
ぜひこの改訂新版を読んでみてください。
単位をもらったからもういいではなく、単位をもらったからこそぜひ読んでみましょう。
イラストも豊富で、ひとつひとつのテーマに関する文章は短いですから、とても読みやすいです。
フレイリー・ゲームのような具体的な手法についても学べますし、
私の説明ではよく理解できなかったかもしれない、非暴力の思想と運動について、
根本的に学ぶこともできます。
付録のDVDもいろいろな意味で面白いです (これについてはそのうち書きます)。
ぜひオススメいたします。


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