まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.日本のこれから、北朝鮮問題について倫理の観点からどう思いますか?

2017-09-13 22:50:04 | グローバル・エシックス
これは2つの質問なんでしょうか、一体化した1つの質問なんでしょうか?
それによって答え方が変わってくるのですが、
とりあえず日本のこれからについて独立した問題として論ずるのは大変なので、
2つでセットの問題としてお答えしてみることにします。
質問は 「倫理(学)の観点から」 という限定つきですので、
それに対しては簡単に次のようにお答えしておきましょう。

A.(私の信ずる) 倫理学の観点からお答えするならば、
  北朝鮮をはじめとして、韓国、中国、アメリカ合衆国など様々な近隣諸国との関係において、
  互いに利害の対立はいくらでもあるはずですが、それらをすべて踏まえた上で、
  冷静に対話を積み重ね、平和的に共存していく道を模索し続けるべきだと思います。

ていうか、こんなことは倫理学を持ち出すまでもなく、
フツーに理性を備えた人間ならば誰でもわかることだと思いますが…。
しかしながら反知性主義の現代においてはこういうごくごく真っ当なことが、
政治においても、マスコミの論調においても、まったく当たり前でなくなっているのが悲しいです。
政治家というのは、国内に問題を抱えているときには、
それを隠蔽するために外部に敵を作り出そうとするものであるというのは、
日本史や世界史を学んだことがある人ならば誰でも知っていることのはずですが、
それでも国民は常に常に政治家に騙されてしまうんですよね。

北朝鮮はもう長いこと内憂を隠蔽するために外患のことを騒ぎ立てて、
それだけで何とか政権を維持してきている国なわけですが、
あそこまでいくともうある種、名人芸だなという感慨を否めません。
アメリカという一強超大国を相手に、これだけ長い期間、
実際に戦争にならないように、でも戦争するぞするぞと言い続けるだけで、
そこそこに利を得つつ、国家が崩壊してしまわないように保ってきているというのは、
奇跡に近い政治的手腕だと思っています。
あれが上手く行っている最大の要因は、北朝鮮には他国にとって美味しいものが何もない、
という一点に尽きると私は考えています。
もしもあそこに油田か何か貴重な資源があったら、
アメリカはとっくの昔に何らかの正義にもとづく合理的理由を挙げつらねて、
とっとと戦争をおっぱじめいいように蹂躙していたでしょう (あのときのアフガニスタンのように)。
あの強欲なアメリカがそれをしないというのは、それをするだけのメリットが何もないからなのです。
北朝鮮の政治家にとってもアメリカの政治家にとっても日本の政治家にとっても、
一番いいのは今の状態が未来永劫続くことです。
敵がいて今にも戦争が始まるぞと言い続けることによって国民の目を国内政治からそらしつつ、
軍需産業だけはウハウハ儲かるという状態。
これほどラクで美味しい政治があるでしょうか。
核開発もミサイル発射もJアラートもすべては三方得を実現するためのお膳立てにすぎません。

そして何よりも大事なのは (民主国家ではない北朝鮮を除いて)、
そうした政治を応援してくれる反知性主義的な愛国主義者である国民です。
私はこういう人たちにあまり 「愛国主義」 という言葉を使いたくないのですが、
本人たちとしては本心から自国を愛し、敵国を憎んでいると思っていますので、
とりあえずそう呼んでおくことにしましょう。
そういう人たちが、いつでもやってやるぞという国のポーズを支持し後押ししてくれる間は、
政権は安泰です。
こういう人たち、一昔前は少数派だったのですが、
1990年代以降 (たぶんインターネットの普及以降) 一気に増えていきました。
いわゆるネトウヨと呼ばれる人たちですね。
彼らは自分の手元に集まってくる偏った情報のみを信じて、自分の頭では考えません。
冷静に判断するよりも、ただひたすら感情をたかぶらせることをよしとします。
まあ、昔からこういう人たちはいたのでしょうが、
そういう人たちが政治の支持母体になるとは思われていませんでした。
今はこういう人たちを上手く取り込むことのできる政党が政権を奪えます。

話が逸れてしまいました。
ご質問は北朝鮮問題を倫理学の観点からどう思うかでしたね。
倫理学の観点からはすでにお答えしたとおりですが、
最近、心理学の観点というのも倫理学的に言って役に立つかもしれないと思っています。
これは白河の看護学校ではなく、相馬の看護学校の学生さんだったかと思いますが、
心理学の授業で学んだこんなことが今でも役に立っているとワークシートに書いてくれました。

「怒っている人は困っている人なのだ」。

調べてみたところこれは心理学者の水島広子氏の言葉だそうです。
なるほど、これは名言です。
このように捉え返すことによって、
「ただ怒って暴れ回っている人」 のことも理解する手がかりが生じてきます。
この人は何か困っていることがあるから怒っているんだな。
じゃあこの人は何に困っているんだろう?
その困り事が解決されたらこの人の怒りは収まるんだろうか?
このようにすると、怒りまくっていて手のつけられない人とも
コミュニケーションをはかる突破口が見えてくるかもしれません。
振り返ってみれば、外交交渉の場というのは、その昔は高度な情報戦でしたが、
最近では低レベルな非難の投げ合いの場に堕してしまっています。
怒っている人どうしがいくら集まっても問題が解決する兆しが見えません。
しかし、お互いに何かに困っているのだなということを理解しあえれば、
少しは冷静に対話を交わし、平和的に共存する道も拓けてくるのではないでしょうか。
今の日本の政治家にこんな (or この程度の) 政治手腕を期待することは難しいかもしれませんが、
日本のこれからのことを考えるならば、賢い政治家に日本の未来を託したいと思います。

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