まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

非暴力実践の認知度は?

2024-02-08 12:34:00 | グローバル・エシックス
「戦争と平和の倫理学」の最終回の授業が、
私のコロナ罹患のためにオンライン授業になってしまいました。
オンラインで寄せられた質問に対してはこの場でお答えしていきます。
まずは、つぎのような質問。

「非暴力の実践について、非暴力平和隊などありましたが、平和を願っている人類としてこのような活動があまり知られていないような感覚がありました。実際の認知度はどれほどなのか、また、日本のマスコミはこのような活動や非暴力の実践を取り上げないのだろうかと思いました。」

質問は2つありますね。
まず1つ目。

Q-1.非暴力実践の認知度はどれくらいですか?

これに対しては残念ながら正直に次のようにお答えするしかありません。

A-1.とても低いです。特に日本においてはほとんど知られていません。

その原因は大きく2つあると思っています。
1つは、日本の現政権が戦争できる国になることを目指しており、
その方向性でのプロパガンダを続けており、
それを支持する国民もひじょうに多いので、
それに反対する思想や実践は少数派のなかに埋没してしまうということ。

もう1つは、授業の中でも少しお話ししたことがありますが、
これまでの日本の平和運動というのは基本的に反戦運動として展開されており、
特に太平洋戦争(第二次世界大戦)の悲惨さを伝承することによって、
戦争を厭い、戦争に反対する心性を育むことを主眼としていました。
その反面、厳しい現実世界の中で、敵対的な国際関係に晒されたときに、
どのようにして平和を構築していったらいいかという、
具体的な運動論、実践論、政治論の視点が欠けていたと言えるでしょう。
ガンディーやキング牧師の平和運動のことは多くの人が知っていると思いますが、
どちらかというと暴力や戦争に反対した人物像ばかりが取り上げられていて、
どうやって非暴力によって暴力に対抗したのかという、
具体的な運動の中身のことはあまり伝えられていませんでした。
これら2つの理由により、非暴力実践の認知度が低いのだと思われます。

2つ目の質問にいきましょう。

Q-2.日本のマスコミは非暴力実践を取り上げないのか?

A-2.これまではほとんど取り上げられてきませんでした。

A-1のような情勢下ではA-2のような結果になるのは避けられないでしょう。
マスコミにとっては視聴率が取れてナンボですから、
国民の関心がそこにないのなら番組や記事にするメリットはないわけです。

ただそんな中で、NHKの『100分 de 名著』という番組で、
授業の中でも紹介した、
ジーン・シャープの『独裁体制から民主主義へ』が取り上げられました。
この1月にも再放送されたので、見た人もいるかもしれません。
見そびれた人はNHKオンデマンドで見ることができますし、
テキストも発売されていますので、
ぜひ見たり読んだりしてみてください。
この番組を作成したプロデューサーの言葉をこちらのサイトで読むことができますが、
その中で、「『100分de名著』という番組のミッションの一つは、戦争をなくすことである」
と公言されています。
こういうマスコミ人が増えていくならば、
A-2やA-1のような状況はどんどん変化していくものと思われます。
質問者の方も「平和を願っている人類」のお1人のようなので、
認知度が上がるのを座して待つのではなく、
自分の力でどうやって認知度を上げるか、
学校教員になったときにどうやって子どもたちに非暴力実践を伝えていくか、
自分事として考え、取り組んでいただければと思います。

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