まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.哲学を一言でいうと何ですか?

2009-07-01 17:52:09 | 哲学・倫理学ファック
「哲学とは何か?」 という問いに対しては、いくつかの答えを用意しているんですが、
とりあえず、最もシンプルで素人の皆さんにもわかりそうな答えを言っておきましょう。

哲学とは考えることです。

これで十分かなあと思っているのですが、
ただしこれだけだと、たいていの人間は毎日なにかしら考えているわけですから、
みんな日々哲学しているということになってしまいますね。
そういった日々の思考を哲学と呼んでしまうのもありかもしれないと思うのですが、
みんなが抱いている哲学の奇妙さ、不可解さをこれでは表せなくなってしまうので、
もう一言だけ補って私流の定義をしてみようと思います。

A.哲学とは根本的に (ラディカルに) 考えることです。

「ラディカル」 という言葉には 「過激な」 とか 「急進的な」 という意味がありますが、
もともとは 「根っこ」 という言葉が由来です。
哲学は物事の根っこの部分を問いただす学問です。
つまり、物事が成り立っている根本、土台、前提に対して疑問をぶつけるのです。
そうやって根本的に考えていくと過激にならざるをえませんね。
これで哲学の奇妙さ、不可解さが理解していただけるのではないかと思います。
哲学は普通のひとが当たり前と思っているようなことについて、
本当にそうなのかと疑い、考えていきます。

例えば、ふつう私たちは、自分以外にもたくさんの人間がいて、
それぞれの人間には、自分と同じように心があると考えていますね。
でも哲学者は、他人にも本当に心はあるのだろうか、
そんな目に見えないものの存在をどうやったら証明できるのだろうか、と考えていきます。
それどころか目の前に現に見えて存在している物
(例えば今私が、あるいはあなたが見ているパソコンのモニタ) ですら、
本当にそれは存在しているのだろうか、と疑ってしまう哲学者もいます。
もちろん哲学者がみんながみんな、ここまでなにもかも疑っているかというと、
けっしてそんなことはありませんが、
ふつうの人がそこまで根本的に考えたりしないようなことを、
突きつめてラディカルに考えていくこと、それが哲学なのです。

ちなみに、こうやって考え続けていってできあがったものを 「思想」 と呼んだりします。
思想というのは英語で thought、つまり think (考える) の過去分詞が名詞化したもので、
「考えられたもの」 のことを指します。
ドイツ語でも動詞 denken (考える) から Gedanke (思想) という名詞が作られています。
思想とか哲学というと、なにかとてもよそよそしいもののような感じがするかもしれませんが、
誰かによって考えられたもの、根本的に考えられたものが思想であり哲学なのです。

以上が、「哲学とは何か?」 に対する答えの第1バージョンです。
どうでしょう。少しは理解してもらえたでしょうか。
あるいは哲学に関して漠然とイメージはつかめたでしょうか。
もうちょっと詳しい第2バージョンについてはまたの機会に。