がん(骨肉腫)闘病記

抗がん剤治療、放射線治療、人工関節置換手術、MRSA感染、身体障害者となっての生活の記録を残します。

読売新聞政治部長 赤座弘一氏記載の記事について

2007年11月07日 | Weblog
2007年11月06日 09時44分記載

まず、読売新聞 政治部長 赤座弘一氏の記載した11月5日朝刊1面の記事を紹介する。記事タイトルは「自ら真実を語れ」である。



「実に理解に苦しむ発言である。

 民主党の小沢代表は4日の記者会見で、辞任表明に続けて報道機関への批判を展開した。「私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけた」などの報道は「全くの事実無根だ」というのだ。

 党首会談は小沢氏の方から持ちかけたもので、「大連立」構想も小沢氏の提案だった、といった点は読売新聞も報道した。小沢氏の批判がこれを指すのであれば、「事実無根」などと批判されるいわれは全くない。

 いずれも首相周辺をはじめ多くの関係者が証言しており、確実な裏付けを取ったうえでの報道だ。

 小沢氏は「どの報道機関からも取材を受けたことはない」とも反論している。しかし、「大連立」について、小沢氏は「考えていない」と記者団に答えていた。党首会談後も、そのやり取りをほとんど明らかにしようとしなかった。

 報道内容を否定しなければ、小沢氏の党内での立場が苦しくなるという事情があるのだろうか。それにしても、「(報道機関は)政府・自民党の情報を垂れ流し、自ら世論操作の一翼を担っている」「明白な誹謗(ひぼう)中傷」などという認識は、全くの誤りである。

 「ねじれ国会」で行き詰まった政治状況を打開するための「大連立」について、小沢氏は記者会見で「あえて民主党が政権の一翼を担い、参院選を通じて国民に約束した政策を実行」することが「民主党政権を実現する近道」とも強調した。その意義をもっと早く説明し、党内の理解を得る努力をしていれば、違った展開になったかもしれない。

 報道機関が「逸脱」しているというのなら、どこがどう逸脱しているのか、具体的に指摘すべきである。

 代表辞任を今回の政治的混乱に対する「けじめ」と小沢氏は語ったが、連立政権の意義と合わせて真実を自ら語ることこそが、本当の意味での「けじめ」になるのではないか。」



上記記事に対し私の思う所を記したい。



1.「党首会談は小沢氏の方から持ちかけたもので、「大連立」構想も小沢氏の提案だった、といった点は読売新聞も報道した。小沢氏の批判がこれを指すのであれば、「事実無根」などと批判されるいわれは全くない。

 いずれも首相周辺をはじめ多くの関係者が証言しており、確実な裏付けを取ったうえでの報道だ。」との部分について

→ここが私が読売新聞を「官報」「御用新聞」と呼ぶ所以であるが、首相周辺の人間が証言する内容は、政府に有利な情報に決まっている。政府に不利な証言をする政府の人間がいると思っているのだろうか。もしそう思っているなら報道機関を辞めた方がいい。報道機関の人間としての資質に欠けている。政府関係者の証言は「確実な裏付け」とはなり得ない。政府関係者の話す内容が事実であるなら報道機関は必要ない。政府が官報か何かで公表すればいいだけの話である。

政府が自らに不利な情報を隠蔽するのは、繰り返される薬害を見るだけで十分わかるだろう。

「確実な裏付け」というのであれば、いつ、どこで、誰に、どのような形で小沢が「大連立」構想を提案したかを掴んでいなければならない。それらを果たして掴んでいるのであろうか。極めて疑わしい。

小沢が「事実無根」と言っているように、「事実」があったのか否かが大事で、「証言」は「事実」そのものではない。「証言」も相当程度に確からしいものが幾重にも積み重なっていれば「事実」と同視していいと思うが、首相周辺の関係者の証言は全く当てにならない。当てにしてはいけない。



2.「小沢氏は「どの報道機関からも取材を受けたことはない」とも反論している。しかし、「大連立」について、小沢氏は「考えていない」と記者団に答えていた。」との部分について

→前半部分の小沢の主張はおかしい。自らが取材を受けなくても、報道機関が事実を掴んでいれば、報道機関は報道できる。するべきである。

しかし、後半部分の小沢の言い分はおかしくない。考えていなかった「大連立」を、福田から持ちかけられることによって初めて考えてもおかしくはない。小沢が「大連立」を考えはじめたことをもって読売新聞の報道が正しかったことにはならない。読売新聞は小沢が持ちかけたと従来より報道しているのだから。



3.「党首会談後も、そのやり取りをほとんど明らかにしようとしなかった。」との部分について

→党首会談の内容を明らかにするべきだとは私も思うが、そのことと、小沢が「大連立」を持ちかけたこととは関係が無い。問題は小沢が「大連立」を持ちかけたのか否かなのであるから。

小沢が持ちかけたから内容を明らかにできないのだと考えているのであれば、福田に内容を明らかにするよう迫ればいい。福田は「あうんの呼吸」などと誤魔化しているので答えないと思うが。

だから客観的事実の把握が大事なのである。当事者の発言は本当か否か判別できない。読売新聞が客観的事実を把握しているなら、その客観的事実を公表してもらいたい。(「取材源の秘匿」と言って公表しないだろうが。)



4.「、「(報道機関は)政府・自民党の情報を垂れ流し、自ら世論操作の一翼を担っている」「明白な誹謗(ひぼう)中傷」などという認識は、全くの誤りである。」との部分について

→なぜそう言えるのか私にはさっぱりわからないが、そう言い切るのであれば、小沢が発言を撤回するまで追及していって欲しい。読売新聞の名誉と信頼がかかっているのであるから。



5.「「ねじれ国会」で行き詰まった政治状況を打開するための「大連立」について、小沢氏は記者会見で「あえて民主党が政権の一翼を担い、参院選を通じて国民に約束した政策を実行」することが「民主党政権を実現する近道」とも強調した。その意義をもっと早く説明し、党内の理解を得る努力をしていれば、違った展開になったかもしれない。」との部分について

→それはそうなのかもしれないが、そのことと、小沢が「大連立」を持ちかけた事実があるか否かは関係ない。



6.「報道機関が「逸脱」しているというのなら、どこがどう逸脱しているのか、具体的に指摘すべきである。」との部分について

→ここはまさにその通りである。野党第一党の党首が公共の電波を使って、全国民に対して、民主政に不可欠な報道機関をここまで明確に非難した以上、具体的な逸脱を明示すべきである。


7.「代表辞任を今回の政治的混乱に対する「けじめ」と小沢氏は語ったが、連立政権の意義と合わせて真実を自ら語ることこそが、本当の意味での「けじめ」になるのではないか。」との部分について

→連立政権に意義は無いと思うが、真実は語るべきである。加えて言うなら、密室談合の片棒を担いだ福田も説明すべきである。なぜ読売新聞は総理大臣という最大の説明責任を持っている人間に密室での内容を明らかにするよう迫らないのであろうか。

多事争論2

2007年11月07日 | Weblog
2007年11月06日 08時12分記載

筑紫哲也キャスターは月曜日にはNEWS23に登場するが、昨晩の同番組内のコーナー「多事争論」中で、ここ数日の「誹謗中傷」報道について一言述べている。聞いてみてもらいたい。(URLは http://www.tbs.co.jp/news23/ )

最近のマスメディアはよりサディスティックに、よりヒステリックになっていっているが、筑紫さんくらい落ち着いたトーンで報道をしてもらいたい。(「お前が言うな」という声が聞こえてきそうだが。)



今日の読売新聞朝刊の編集手帳の内容は以下の通りである。

「一ノ谷の戦いで平氏に大勝したとの知らせが源氏方の大将、頼朝のもとに届く。その夜、頼朝が家臣の大江広元と語らう場面が、司馬遼太郎さんの小説「義経」にある◆「いますこし、控えめの勝利でもよろしゅうございましたな」。戦勝が大きすぎたことを広元は憂え、いぶかる頼朝にわけを告げた。「大功は妖怪をつくる、と申します」◆妖怪とは「慢心」を指す。鵯越(ひよどりごえ)の奇襲に成功した戦勝の立役者、源義経の心にはきっと慢心が兆すだろう、と。先の参院選に大勝した民主党の小沢一郎代表も、大功が生んだ妖怪の犠牲者かも知れない◆小沢氏が辞任するという。福田首相との会談で与党との「大連立」構想に踏み込んだものの、持ち帰った党役員会で一蹴(いっしゅう)された。「私の選んだ役員から不信任を受けたに等しい」と辞意表明の弁にある◆党首の自分に楯(たて)突く者はいない…。年季の入った政治家がうかつにも思いこみ、党内の地ならしをせず、結果として子供の使いのような役回りを演じた。参院選の大功がつくった慢心でなくて何だろう◆連立協議に動いた小沢氏の真意はいまひとつ分からない。国政を機能不全に陥らせて解散・総選挙に追い込む戦術を潔しとせず、国政を動かすなかで公約を果たそうとしたのだとすれば、ひとつの見識である。心に兆した妖怪が悔やまれる。」

このくらい落ち着いたトーンで記事を書いてもらえるといいね。

批判も自由、連立に賛成するのも自由。それらは報道の自由の範囲内。だけど、虚偽は駄目。捏造は絶対に駄目。正確な事実の伝達および根拠を明確にした論評を、読売のみならず、全ての報道機関に望みたい。