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製作地 中国・江西省 景徳鎮 Jingdezhen ※上絵付け及び錦窯焼成は広州の可能性あり
製作年代(推定) 19世紀初頭
渡来地・使用地 シャム王国 チャクリー王朝期
素材/技法 白磁胎、五彩(上絵付け)、金属製の覆輪(※後年付されたと推察されるもの)
サイズ 口径11.5cm、高さ6.0cm、重さ184g
この色絵磁器”ベンジャロン(Bencharong)”は、大航海時代の到来・陸海交易路の発達をもとに海外との交易により国の繁栄を築き上げ4百余年にわたる覇権を維持した“アユタヤ王朝(1351年~1767年)”が、当時高度な製陶技術で世界をリードしていた中国に発注し製作が始まったもので、“ベンジャロン”の名称は中国名の”五彩”がサンスクリット語に訳されたものとなります。
19世紀の早い時期に景徳鎮で製作されたと考察される本品は”初期ベンジャロン”に分類される上手物で、仏教・ヒンドゥの神話に由来する”天人テパノン(thepanom)””半人半獣の守護神ノラシンハ(Norasingh)”を主要モチーフに、多様な火焔状・花状モチーフにより器全体が繊細かつ華やかに彩られたもの、シャム王国オリジナルと考察されるデザインのひとつで、この系統の作品は宮廷儀礼・宗教儀式の際に用いられるとともに来賓への贈呈物とされたことが知られます。
上質な素材と高度な製陶技術を駆使した上絵付けの巧緻な完成美が見事、シャム更紗(シャムロ染め)の意匠とも繋がるシャム王国固有の仏教美術の格調の高さ、作品から溢れる芳醇な香り・濃密な精神性に惹き込まれる一品です。
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