アジアの手仕事~生活と祈り~

アジア手工藝品店を営む店主が諸国で出逢った、愛すべき”ヒト・モノ・コト”を写真を中心に綴らせていただきます

スラウェシ渡り 15-16c青花蓮弁花唐草文壺

2016-03-18 00:30:00 | 古陶磁




製作地 ベトナム北部  
製作年代(推定) 15世紀~16世紀 黎朝期
渡来地(蒐集地) インドネシア・スラウェシ島 南スラウェシ州パロポ
種類 青花(染付) 白磁胎、コバルト顔料
サイズ 胴径:約8cm、口径:約2.2cm、底径:約4.8cm、高さ:約8cm、重さ156g

中国・景徳鎮の青花の影響を受け、14世紀半ば頃に焼造が始まったと考えられているベトナム青花ですが、15~16世紀には海洋交易の時流に乗り、インドネシア・フィリピンを中心とする東南アジア及び日本等の東アジア、さらには西アジアにまで品モノが運ばれ、交易用染付磁器としての最盛期を迎え、固有の作風を築くとともに作品の完成度を増していきました。

本品はインドネシア・スラウェシ島南西半島部の内陸東に面する交易港”パロポ(Palopo)”にもたらされたもので、”トラジャ交易品”の部類に入る渡り古陶磁となります。

口部が立ち上がったやや肩張りの球形小壺で、肩部に葉文状の”蓮弁”をめぐらし、胴部には横方向におおらかに広がる花唐草文が表裏二個所に柔らかな曲線で端整に染め描かれたもの、上釉の乳白色掛かった和らぎある風合い、濃み(だみ)を加えて描かれた呉須のやや暗色掛かった濃藍の色表情に中期ベトナム青花の特徴があらわれており(17c~の後期は”絞手”に代表される作風)は、器形・釉調・絵付の全体から洗練かつ可憐な印象が感じられる小品です。

海洋交易の時代の空気を封じ込めたスラウェシ渡り青花、歴史の浪漫が薫る一品です。




















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