製作地・出土地 パキスタン・ガンダーラ地方 サハリ・バハロール Sahr-i-Bahlol
製作年代(推定) 3-4世紀
種類(推定) 仏三尊像レリーフ中の脇侍菩薩頭部
素材 雲母片岩
サイズ 高約9cm、幅約5cm、奥行約4cm、重さ227g
パキスタン・ガンダーラ地方で3~4世紀に手掛けられた、雲母片岩製の”脇侍菩薩頭部像”。
頭に装飾的にターバン巻いた、王侯風の威厳を感じる相貌が印象的な本頭部像は、出自がはっきりしている複数の現存作品により、ガンダーラ地方仏教文化の中心都市のひとつである”サハリ・バハロール(Sahr-i-Bahlol)”で製作されたものであること、仏陀を中央に左右に脇侍として菩薩が並ぶ”仏三尊像”のうちの菩薩として造形されたものであることがほぼ特定できております。
サハリ・バハロールの片岩製レリーフは総じて彫り表現が緻密で写実的であり、ガンダーラ彫刻が技術的に高まり製作の盛期に達した時期とも見做されており、数多くの優品が今に伝わります。
高さ9cmほどの本菩薩頭部は、仏三尊像のレリーフに当てはめるとレリーフ全形の高さは60cmほどになると考察され、現存するレリーフ(下の参考画像)のサイズと符号するものとなります。
掌に収まる大きさの像片ながら、眼に宿る力強さを筆頭に細部及び全体から圧倒されるような存在感と濃密な精神性が感じられる作品であり、まだ日本には仏教が伝わる前の時代の信仰像として、歴史の浪漫に誘われる一品です。
●参考画像
サハリ・バハロール出土 仏三尊像 3-4世紀 ペシャワール博物館蔵
高さ59cm
※上画像は東京国立博物館-NHK発行「パキスタン・ガンダーラ彫刻展」図録より転載いたしております
サハリ・バハロール出土 仏三尊像 3-4世紀 阿含宗蔵
※上画像は二玄社刊「愛しき仏像・ガンダーラ美術の名品」より転載いたしております
●本記事内容に関する参考(推奨)文献