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製作地 インドネシア・スラウェシ島 南スラウェシ州
製作年代(推定) 20世紀初期
民族名 サダン・トラジャ人
素材 木、猪豚の牙、ラタン(籐)、麻紐
”水牛(テドン)”はトラジャ人の伝統宗教”アルク・ト・ドロ(aluk to dolo=祖先の教えの意)”において、天界と地上界を繋ぐ乗り物及び天(神)が授けた豊穣の使いとして崇められてきました。
彫刻が施された木と猪豚の牙により”水牛”及び”水牛の角”が象られた本装身具は、トラジャ人の祝祭儀礼時に、儀礼的戦士”ト・マランディン”が身に着けるものとして手掛けられたもので、人の頭部を表わす彫刻の意匠は部族(村落)間の戦闘・首狩がなされていた時代に由来するものとも考察されております。
繊細な彫りにより凹凸が加えられた木部は柄型となっており、牙部(刃)とともに”短剣クリス”が表わされていることを確認できます。接合部の籐(ラタン)編みも精緻な仕事がなされております。
本品は今から100年前後を遡る数世代前に、貴族(マディカ)階級の者の儀礼用装身具として特別に手掛けられ、その後一族の家財として大切に保存・継承された伝世品、作品からはアニミズム信仰の野趣とともに貴族調度品としての格調の高さ・完成美が薫ってまいります。
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