今日12月14日は赤穂浪士討ち入りの日だけど、それとは対極の、ほのぼのとした展覧会のことを書こうと思う。講談社野間記念館の開館10周年記念”村上豊展”である。12月4日、ぼくらは近くのホテルに泊まって、ぶらりと散歩がてらに出かけた。美術館の入り口の紅葉が、今や盛りと華やかに出迎えてくれた。
館内でチケットを買うと、売り場の方が、今日は先生がおいででございます、と。ええっ、ラッキーと、振り返ると、身体の大きな、そして、彼の絵のように優しさがにじみ出ているお顔の村上豊画伯がいらしていた。村上さんと講談社とは深いつながりがある。61年に講談社挿絵賞を受賞、翌年”小説現代”の表紙絵を担当し、現在まで続いている。
この展覧会では、新聞連載小説の挿絵、絵本の原画、雑誌の表紙絵、さらに、日本画など、合計228点が展示されている。ぼくとしては、初めての村上豊展で、楽しくみさせてもらった。
第1室には、日本画の大作が並んでいる。ちらし絵にもなっている”日月”。月は東に日は西に、だろうか、上弦の月と夕陽が画面の左右に。その間に広々した大地に、木々が生い茂る、里山の風景が。雄大な絵だ。”悠久”もよかった。優艶な女体に農村の風景が描きこまれている。女の顔がうっとりとしている。”月光”も、女の裸体に森と半月が入りこみ、お日さまは女の手でお手玉のようにもてあそばれている。二曲一双仕立ての作品もよかった。”のどか”、”安らぎ”、”舞子・正月”、”ほっぺ”、題名からもわかるように、ほのぼぼとした作品が多い。ぼくと同じように、お月さまが好きらしく、たびたび画面に現れてくる。
二室は”夢幻の情景”。そのテーマ名のように、”村上ワールド”の雰囲気にうっとりしてしまう。秋雪、南風、晩秋、春の川、岩手山。”あかとんぼ こんにちわ”シリーズ(絵本原画、8点)の幼き日の情景も良かったなあ。”相性の松”は、水墨画風。邪鬼は、賛の入った可愛い邪鬼。
そして、第三室は”芸術世界/夢の話”。ここでは絵本の原画がずらりと並んでいる。かぐやひめ、はだかの王様、虫めづる姫、等々。テレビ時代劇”江戸を斬る”のタイトルバックの原画もあった。
四室は”村上豊の芸術世界/こどもたちの夢”。”きずだらけのリンゴ”挿絵16点ほか、きんたろう、ももたろう、おままごと、等、童心に帰るような挿絵原図の作品のほか、襖絵”月に遊ぶ”の大作もある。そして”ファミリス”表紙原図、27点も見事なものだった。
十分、楽しませてもらった。先生もおられたことだし、サイン入りの、月の絵でも買いたかったけど、年金暮らしでは、節約しなければと我慢した(汗)。高額所得者で子供手当を貰っている方は、お子さんに買ってあげてくださいね(笑)。
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悠久
秋雪
岩手山と月光
邪鬼
さあ、これから忠臣蔵の浮世絵を観にいこう。この日しかない、おのおの方討ち入りでござる(長谷川一夫のものまねで)。雪が降らなければいいけど。
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