おはようございます。
先月、横浜の映画館で”ゴーギャン/タヒチ楽園への旅”を見て、早くも忘却の彼方へとなるところだったが(汗)、ちょっと待てと引き留められた。先だって、東御苑の椿寒桜を見に行ったあと、近くの東京国立近代美術館に立ち寄った。そこの常設展を廻ったとき、突然、目の前にゴーギャンのノア・ノア(かぐわしい)という画題の三枚の版画が現れたのだ。見覚えのあるタヒチの女性の版画だった。説明文を読む。
ゴーギャンは、文明の影響を離れて未開人と暮らすことが自らの芸術の糧になることを期待して、1891年(明治24年)にタヒチに向かいます。そしてフランスに帰国した93年、タヒチ滞在記である”ノアノア”を執筆します。三点の版画は、この滞在記の挿絵として制作されたものです。ナヴェ・ナヴェ・フェヌア(かぐわしき大地)にはゴーギャンのミューズであった少女テハアマナ(通称テフラ)をモデルにしたといわれる女性像が、トカゲと花(キリスト教における蛇と林檎の変装)とともに描かれています。
ナヴェ・ナヴェ・フェヌア(かぐわしき大地)
あとの二枚
これらの版画をみたとき、”ゴーギャン/タヒチ楽園への旅”がすぐ思い浮かんだ。版画の少女の雰囲気が、映画に出てくる少女テフラに似ていたのでね。この女優さんは現地で”発見された”17歳のツイー・アダムスで、まさに”原始のイヴ”に相応しい方。写真をご覧ください↓ゴーギャン役はバンサン・カッセル、監督はエドゥアルド・デルック。
ゴーギャンは、パリは腐りきっていて描きたいものがなにもないと家族とも別れ、一人タヒチに向かう。島の奥地の森へと分け入り、彼が理想としていた野生美の少女に出会う。彼女をモデルにして自然のあるがままの姿態を描く。そして彼女と結婚し、島の生活に溶け込む。まさに楽園だったが、幸せは長くは続かず、2年後にはタヒチを離れることになる。
ポリネシアの奔放な大自然の中での“原始のイヴ”をモデルとした数々の名作が映画の中でも現れてくる。我家に集英社の現代世界美術全集がある。家内が若いころ買っていたものだが、めったに開くことがない(汗)。久し振りに第7巻のゴーギャンを覗いてみた。おどろいたことに、タヒチ関係の絵画が7割くらい占めている。ゴーギャンといえばタヒチなのだ。帰国してからもタヒチでのスケッチをもとに、多数の作品を描いていたようだ。なおゴーギャンは、もう一度タヒチを訪れている。1895年から6年間で、このときは別の女性と暮らしている。
では、映画のシーン思い出しながら、いくつかの作品をここに載せておこう。
かぐわしき大地(1892)
タヒチの道(1891)
タヒチの女/浜辺にて(1891)
赤い花と乳房(1899)
ヴァイルマチ(1897)
海辺の騎士たち(1902)
われわれはどこからきたのか われわれはなにものか われわれはどこへいくのか(1897-98)
ゴーギャン 帽子をかぶった自画像(1893-94)
それでは、みなさん、今日も一日、お元気で!
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