気ままに

大船での気ままな生活日誌

福田繁雄大回顧展/ユーモアのすすめ

2011-09-30 08:33:38 | Weblog

川崎市民ミュージアムで開催されている”福田繁雄大回顧展”は文句なく面白かった。さすが大物デザイナーだなと思った。一番、面白かったものをあげろ、と言われたら、やっぱり”ランチはヘルメットをかぶって”だろうか。暗闇に鉄クズの山みたいのが置かれている。電源ボタンを押すと、後方の灯りがつき、その鉄クズの塊の影が床に映る。あっとおどろくためごろう、大昔のギャグが飛び出してしまった。な、なななんと、影は実物大のモトクロス・オートバイになっている。そして鉄クズをよくみると。フォーク、スプーン、ナイフなのだ。それで、”ランチはヘルメットをかぶって”なのだ(爆)。七日間かかって、この影をつくったらしい。あーでもないこうでもないとスプーンやナイフを溶接している姿を想像したら、よけいおかしくなって、また笑ってしまった。

モナリザそっくりの点描画のような絵が飾ってある。ほお、すげー、と近づいてみると、のけぞってしまった。2552枚の使用済み切手ばかりでモナリザそっくりさんをつくってしまっているのだ。絵筆は使っていない、それぞれの切手の陰陽だけを利用している”切絵”なのだ。ぼくと同じで、似顔絵が好きらしく、こんな作品もあった。ミロのビーナスの石膏の胸像がいくつも並んでいる。その顔に黒色のペイントが何気なく塗られている。そして、歩いてみると、おっ、リンカーンだ、えっ、聖徳太子だ、エリザベス・テーラーだ、光より早い素粒子が発見されおどろく、アインシュタインの顔になっている。ベートーベンが、雪舟、国芳までいる。ミロのビーナスが、”観ろ有名人”の顔になている。また、その近くの石膏像も面白かった。普通のビーナス、凸面鏡に映ったビーナス、円柱鏡に映ったビーナスの石膏像が並んでいる。ぷっーと吹き出してしまった。福田さんはビーナスになにか恨みをもっているに違いない(笑)。

 1932年、東京に生まれ、疎開で母親の郷里、岩手県二戸で、少年時代をすごした。東京に出て、芸大を卒業後、味の素の宣伝部に入り、グラフィックデザイナーとしてスタートする。大回顧展だから、この頃のものから、2009年に亡くなるまでの作品、平面作品200点、立体作品など200点が展示されている。

ちらし絵に採用された、”VICTORY 1945”(1975年作品)はポーランド戦勝30周年記念国際ポスターコンクールで最高賞を受賞した。大砲から発射されたはずの砲弾が大砲に向っている、というシンプルなデザインである。反戦ポスターだが、これに類したものがいくつもある。存命ならば、反原発ポスターもつくってほしかった。また、1970年の大阪万博のポスターも、5,6枚並んでいる。

会場内で、生前の彼のインタビュー番組をみることができるが、車のハンドルに遊びがあるように、人生にも遊びが必要だ、と述べていた。だから、彼の作品には、どれも遊びの心が感じられるのだ。

福田繁雄は川崎市民ミュージアムの設立に委員として関わったそうだ。会場を出ると、ホールに彼の大きな作品がある。黄色い人間が、その影と思われる青い逆さの人間を伴い、らせん状に天上に向って歩いている。彼自身の姿であろうか。自分の大回顧展を覗きこみ、思い出し笑いをしているのではないだろうか。

11月6日まで開催です。お薦めします、是非どうぞ。

 

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