おはようございます。
大相撲名古屋場所も御嶽海の初優勝で幕を閉じたが、14日目、御嶽海が優勝を決めた日の昼間、ぼくは偶然、相撲絵をみていた。おまけに、御嶽海の郷土(長野県)の大先輩である、史上最強の力士、雷電が描かれている浮世絵もね。
鎌倉の小町通りから若宮大路方面へ少し、入ったところに、吉兆庵美術館がある。小さな美術館であるが、魯山人の常設展示のほか四季折々、特別展も開催する。今回は明治維新から150年を迎えた記念に、同館コレクションの中から幕末・明治に関連する浮世絵、書、工芸品などが展示されている。題して、”幕末から明治の人々と工芸品”展である。
その一画に明治の画家が描いた相撲絵の浮世絵コーナーがある。三枚続の大型のものばかりで、それが20ほど並ぶという豪勢なものである。なかなか見られない規模である。では、冒頭に述べた、雷電も出ている相撲絵から。これは、相撲の歴史がはじまって以来の強豪力士を並べたもので、その中央に名横綱・谷風らを差し置いて、大関・雷電がいる。横綱にはならなかったが史上最強とここでも評価されている。
大日本大相撲・勇力関取鏡 蜂須賀国明
江戸時代は雷電をはじめ名力士が続出し、大変な相撲人気で、力士も帯刀を許されるなど身分も高かった。それが、明治に入ると、西洋文化さまさまの時代になり、古きよきものが次々と壊されていった。相撲も例外ではなかった。1871年、”裸体禁止令”が出され、相撲は野蛮なものとされ、人気も下火となってきた。しかし、それを押し戻してくれたのが相撲好きだった明治天皇だった。相撲保護のため尽力され、1884年に天覧相撲がはじめて行われた。そのときの絵も展示されている。
延遼舘天覧相撲横綱之圖 尾形月耕 (横綱土俵入りは初代梅が谷。化粧まわしは伊藤博文が用意したという)
勧進大相撲土俵入り図 蜂須賀国明
相撲絵のほかにも、いろいろ。撮影禁止なのが残念。
初代宮川香山の真葛焼が四つが展示されていたが、その中に、めったに見られない琅玗釉(ろうかんゆう)の花瓶があり、うれしかった。また、大木平蔵(五世)の、明治天皇・皇后、元勲人形や明治大嘗祭の儀式などの作品も興味深かった。大木平蔵は京都の老舗人形店の当主で、現在は七世だそうだ。
ほかに、三舟(高橋泥舟、山岡鉄舟、勝海舟)の軸や、明治の呉服店の図なども。
大丸屋呉服店繁栄圖(井上探景)
それでは、みなさん、大暑にも負けず、お元気で!
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