goo blog サービス終了のお知らせ 

気ままに

大船での気ままな生活日誌

清方の描いた歌舞伎、新派、文学

2011-06-08 08:56:22 | Weblog

鏑木清方の芝居好きは有名である。だから、芝居を題材にした絵も多い。今回の展示は、それに因んだものを中心に展示している。おまけに講演会があった。事前申し込みだから、その日は休館で、ぼくらだけが、お話がきけて、独占的に展覧会もみられる、という贅沢三昧、中華三昧(お昼に冷やし中華食べたので)の一日だった。

半蔵門の国立劇場の二階のロビーに、清方の”野崎村”が飾ってあるという。もちろんで歌舞伎絵で、二世市川松蔦のお染と六世市川門之助のお常を描いたものだという。その歌舞伎絵を毎日みているという、歌舞伎公演の制作・演出に長く携わってこられた大木晃弘氏による講演をまず聞いた。満席の盛況だった。

話の内容は、清方の描いた歌舞伎、新派・文学、舞台装置、役者の似顔絵、雑誌”歌舞伎”の表紙絵、芝居絵(スケッチ)の順に、パワーポイントで紹介するというものだった。全部で30枚以上はあったと思う。それだけ清方が力を入れていたことがわかる。

歌舞伎の専門家がみても、清方の描く歌舞伎役者の所作が的を得ていて、勘所をとらえているという。相当の歌舞伎通でなければ描けないものだと言っていた。役者さんの”性根”まで描いているという。実際、通しの絵を連続してみると、実に動きがなめらかだ。もちろん、新派でも同様だし、逆に文学では、清方の婦系図の口絵のイメージから”めの惣”の名場面が誕生したそうだから、すごい。舞台装置も”高尾さんげ”などをつくっているが、どうしても美術だけで押すわけにはいかないものなので(使いかってのよさも必要)、小村雪岱のようには長く、続けなかったようだ。似顔絵もいくつも描いている。

 そして、展示室も学芸員さんが説明してくれる。まず、”薄雪”。福富コレクション展でもみたばかりだが、本当にいい絵だ。近松の”冥土の飛脚”、心中前に最後の抱擁する梅川と忠兵衛。はかなく消えゆく薄雪のように。鏑木清方記念館に初の”お里帰り”。この下絵(清方館所蔵)も並べて展示してある。見逃せない一対だ。

そして、たけくらべの美登利(表紙絵原画)、日本橋芸者と医学生の恋物語”日本橋”(挿絵原画)。金色夜叉(挿絵原画)と芝居絵がつづく。さらに、”道成寺”、色っぽい”高野聖”、色っぽくない(笑)”女役者粂八”は似顔絵だ。

そして、ぼくがなにより楽しみにしていたのは、色っぽい”刺青の女”。これも福富コレクションでみたばかり。役者ではないが、市中の女性から姉御とよばれていた女をモデルに描いたそうだ。いつみてもいい。刺青は黒い揚羽蝶と芥子(けし)の花。

昨晩、紹介した紫陽花もふたつ。この季節に相応しいものだった。

薄雪

たけくらべの美登利

そして刺青

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 清方と紫陽花と猫 | トップ | 一茶の風景 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

Weblog」カテゴリの最新記事