おはようございます。今朝は神奈川県立近代美術館/葉山で開催されている原田直次郎展 近代洋画/もうひとつの正統についてのレポです。
2013年秋にドイツを旅したときのブログに、ベルリンのコッホ博士のところに留学していた北里柴三郎(1853-1931)と森鴎外(1862-1922)のことについて書いた。鴎外は北里の一年前の1884年(明治17年)に陸軍省派遣留学生として横浜港から出国している。ドイツの最初の1年をライプツィヒで過ごし、次の滞在地ドレスデンに5か月、そして、1886年3月8日から翌年4月15日まで、中沢東一郎(ジョン万次郎の子息)のいるミュンヘン大学のペッテンコーフェルに師事し、そのあと、ベルリンに入るのである。鴎外はミュンヘン時代に当地の美術アカデミーに留学していた原田直次郎(1863-1899)と知り合い、終生の友となる。鴎外のドイツ三部作のひとつ、”うたかたの記”の主人公、画学生、巨勢(こせ)のモデルにもなっている。原田は3年間の留学生活を終え、1887年(明治20年)に帰国する。
その後、原田は、洋画排斥運動のさなかにあった日本で、西洋画のアカデミックな理念と技術を広めるため尽力する。”明治美術会”の創立に参加、また画塾も開いた。この間、美術にも詳しい森鴎外のバックアップもあり、”もうひとつの正統”は大きく育ちつつあった。しかし、夢半ばの36歳の若さで夭折してしまう。鴎外は没後10年に原田直次郎遺作展を開催した。今回の回顧展はそれ以来、約100年振りのことだそうだ。
原田の、重要文化財指定の名作2点をはじめとする油彩画30点、素描画、装幀など30点が展示されている。加えて、ドイツ時代の師匠、友人たちの作品、同時代の高橋由一らの作品なども多数、飾られていて、見応えのある展覧会だった。
なんといっても、重文2点。とくに、大作、騎龍観音は是非、見たかった。竹橋の国立近代美術館のベストコレクションでよく飾られていた。ここでは、一室にこれ一枚という豪華な展示。
騎龍観音
靴屋の親爺。
肖像画が多い。こころの内面まで表現。
ガブリエル・マックス像
老人
森鴎外(右端)との写真。中央が原田。左端は岩佐新。みな、スカしてますね(笑)。
安藤信光像 病床で下から見上げるように描いた。遺作。
風景画にもいいのがある。ちらしを飾る”風景”。
同時に”明治の美術/コレクション展”も開催されている。これが、また、なかなか良かった。別に報告したい。
葉山の美術館
海岸沿いにたつ。
では、みなさん、今日も一日、お元気で!
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