おはようございます。
すみだ北斎美術館がオープンしたら、いの一番に駆け付けるつもりでいたが、もうひとつき近くになってしまった。それでも、何とか北斎の帰還/幻の絵巻と名品コレクション前期展(12月18日まで)に滑り込みセーフでよかった、よかった。日曜日で前期最終日であったこともあり、大変な人出であった。ぼくは、大抵の展覧会は多少の雑踏は、あまり気にしないが、浮世絵や絵巻は静かな雰囲気でみたい、と思っている。それでも、今回の目玉展示である、100年振りの帰還という、幻の絵巻”隅田川両岸景色図巻”はだけは、並んで、じっくりと見た。それと、もうひとつの幻の大絵馬”須佐之男命 厄神退治之図 (すさのおのみこと やくじん たいじのず)”の復元図もゆっくりと見た。どちらも、ビデオ解説があり、参考になった。
まず、隅田川両岸景色図巻から。1902年、パリで開かれたオークションに出品されたという記録以降、行方不明であったが、2008年、英国のオークションに突如、現れ、日本の画商により落札された。それを、15年に墨田区が取得し、今回の一世紀ぶりの公開となった。北斎は90歳まで生きたが、この作品は40歳台半ばに描いたもの。陰影のつけ方等、当時、入ってきた西洋画の画法を取り入れているとのこと。
本図巻は全長七メートルもあり、それがすべて拡げられている。柳橋から山谷堀(さんやぼり)までの隅田川の両岸、日本堤、吉原遊郭へと進み、本図巻のハイライト、遊郭の室内を描いたもの。依頼主は、北斎の親友でもあったという、戯作者、烏亭焉馬(うていえんば)。彼の狂文も最後に加えられている。
隅田川両岸景色図巻(一部)



さて、もうひとつの幻、大絵馬”須佐之男命 厄神退治之図” 。弘化2(1845)年、北斎が86歳の時に描いた肉筆画で、牛嶋神社(墨田区)に奉納されたが、関東大震災で焼失した。美術雑誌に残された白黒写真から、凸版印刷KKが最先端デジタル技術により原寸大で推定復元した。白黒写真からカラー復元ということで、色彩の再現に綿密な試験が繰り返されたようだ。須佐之男命が15人の厄神をひざまずかせ、今後悪さをしないように証文を取っているところが描かれている。幅約2m76cm×縦約1m26cmという大作。
須佐之男命 厄神退治之図
今回は詳しく紹介しないが、次のような章立てになっている。後期にも行く予定なので、そのときは、それらを中心に紹介したい。
序章 北斎のイメージ
第1章 北斎の描いたすみだ
第2章 幻の絵巻/隅田川両岸景色図巻
第3章 名品ハイライト
すみだ北斎美術館は、妹島和世の設計。斬新な設計のアルミの外装の建物が印象的であった。

それでは、今日も一日、北斎先生に負けず、お元気で!