おはようございます。
もう、20年も前になるだろうか、汗を拭き拭き、回った、ポンペイの、壮大な古代都市の遺構。はじめてみたときの、その感動は忘れることができない。紀元後79年、ヴェスヴィオ火山の噴火の火砕流により、すっぽりと埋まり、18世紀にそのままの形で再発見されたポンペイの遺跡。あまりの感激に、その10年後くらいに、また訪れてしまった。そのときは、本展に所蔵品を多数出展しているナポリ国立考古学博物館にも足を延ばした。
だから、今回の展覧会をみても、新たな感激はそうはないものと思っていた。でも第一会場に入ったとたん、それはものの見事に打ち砕かれた。ポカンとしてしまった。赤い建築を描いた壁面装飾。なんという朱色。これが、2000年前の色とは?ちょっと前に塗ったみたい。説明によると、降り積もった火山灰がシリカゲルのような役割を果たして、こうして色彩も維持していたのだそうだ。この会場(建築と風景)には、エジプト青の壁面や天井装飾もいくつも展示されており、まず、色彩で圧倒される。
赤い建築を描いた壁面装飾

第二会場(日常の生活/カルミアーノ農園別荘)にも感動。ここは400平米ほどの、ワイン製造を行っていた人の別荘の一室。その部屋が立体的に再現されているのだ。ポンペイ赤の16枚の壁画。酒の神、ディオニュソスに関連した主題の絵画が飾られている。ここだけでも、写真撮影可能とすればいいのに、と思った。ぼくは、こういう立体展示が大好きなので、長く、おじゃまさせていただいた。赤ワインのいっぱいも欲しいところだった(汗)。

この展覧会はポンペイ遺跡の、壁画に特化したもので、第三章(神話)では、第三様式の、ストーリー性のある、それもギリシャ神話を主題した絵画が中心となる。ナルキッソス、ヘラクレスらが登場する。そして、ポンペイ近郊の町エルコラーノ。ここは、もうひとつのポンペイと云われ、皇室ゆかりの聖域とみなされている町。ここの皇帝崇拝の場であるアウグステウムで、発見された”赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス”は、絵画的完成度の高さと奇跡的な美しさで”神のごときラファエッロ”の作品になぞらえ、称賛されている。本展覧会の目玉になっている。本展には本作と”テセウスのミノタウロス退治”、”ケイロンによるアキレウスの教育”の三点セットで展示されている。
赤ん坊のテレフォスを発見するヘラクレス

テセウスのミノタウロス退治

そして第4会場(神々と信仰)では、ローマ人が、ギリシャの神々を自分たちの神として受け入れ、身近に飾った。”踊るマイナス(信女)”、”横たわるマイナス”などなど、天球儀まであった。
すばらしい展覧会であった。ぼくの今年の展覧会ベストテン入り、間違いなし。トップ確定の若冲展に肉薄か、といったところ。
唯一、写真撮影可能なところ。↓ 
もう少し、サービスして!


そうそう、六本木ヒルズのこの会場へ登るエレベータ前に行ったら、びっくり。待ち時間90分の大行列!えっ、ポンペイ展よお前もか、と思ったら、なんと隣りの森美術館の”美少女戦士セーラームーン展”だった。こちらは、待ち時間ゼロでした。
では、皆さん、今日も一日、雨にも負けず、お元気で!