出先で立ち寄ったお蕎麦屋さんでのことです
私は、大抵、注文をした後は、一人ではちょっと手持ちぶさたなので、いつも本を読むことにしています。すると、入り口の自動ドアが開き、若い女性が入ってきました。
カジュアルな装いの女性でしたので、大学生かな?と思いました。それにしてはちょっと古風な装い、とでもいうのでしょうか・・・少なくとも今どきの若いお嬢さんというよりも、昭和の時代の「清楚な女子大生風」に見えました。今では、大学に近い町でも、なかなかそういう「いかにも学生」という服装の学生の姿を見ることは少なくなりましたねえ
ですから、ちょっとそのお嬢さんは、かえって目を引きました
そういうお嬢さんだったから、私は何となくその後も気にかかり、本から少し目を離しては、ちらちらとその女性を見ていました。すぐにお嬢さんが注文した「日替わり定食」が運ばれてきました。「ふーん、ダイエットとか言わないで、結構しっかり食べるんだあ・・・」などと思い、見ていたら・・・
そのお嬢さん、割り箸を割ったら、一旦そのお箸を定食が乗ったトレイに置き、こんどはきちんと手を合わせて、小さな声で「いただきます
」と少し頭を下げられました。
厨房のほうに向かっての行為でもなく、運んできてくださった方のほうに対しての挨拶でもなく、それは明らかにご自分自身が食べる前の「いただきます!」でした
私は自分のところに注文したお蕎麦が運ばれてきたのですが、「あ、どうもありがとうごさいます!」と言うのもそこそこに、そのお嬢さんの様子に見とれてしまいました

そのお嬢さんの手を合わせての「いただきます
」は、何と新鮮だったことでしょう!
その後、お嬢さんは見ていても気持ちよい食欲で、箸使いも美しく、きれいに定食を食べ終えました。
そのお嬢さんが笑顔でお勘定を済ませ、明るい声と笑顔で「ごちそうさま!」の声を残し、お店を出ていかれた事は、みなさんも容易に想像が出来るでしょう?
久しぶりに、気持ちの良い、すがすがしい思いがした、外食の時間でした

最近では、長い髪を結ばす、片方の手で髪を押さえながら音をさせずにお蕎麦を食べる人、つつくような箸使いで、さも美味しくなさそうに食べる人、肘をついて、大声で話しに興じながら食べる人・・・・美しい女性の食べ方とは思えないような、悲しい女性が多くなりました
そんな女性に出くわすたびに、(あー、このお嬢さんのお母様も、きっとこんな食事の仕方をするのだろうなあ・・・お嬢さんが自然にこういう食事の仕方をするようになったのは、食べ方にこだわらないご家庭で育ったからなのだろうなあ・・・
)などと、心が凍る思いがします。
私は、古今東西を問わず、食事は立派なその国の文化だと思っています
そして、食べる時のマナーは、いろんな国々で違っても、やっぱり、その人の育ちや家庭環境を如実に表しているように思えてなりません。
もう20年以上も昔の話ですが・・・私の息子は、幼稚園の年少に入る直前、あらためてきちんとしたお箸の持ち方の練習をさせました。息子が入園を決めた幼稚園では、お弁当にはスプーンやフォークを持たせてはいけない、という決まりがあったのです。
これは大変な私の言い訳ですが、下に3歳違いの娘が生まれたために、お箸の持ち方や使い方には注意はしていたものの、やはり十分に目が行き届いていなかったのでしょうねえ。息子は当時、お箸の持ち方に変なくせがついていたのです
三食の食事の間中、変な持ち方、変なつまみ方、変なはさみ方をした時には、そのつど注意をして、持ち直させました。そんな事を4、5日続けたら・・・朝気づくと、全身に真っ赤なじんましんです
息子はかゆがり、顔まで腫らせていました。
驚いた私は息子を連れて皮膚科に駆け込むと、先生曰く。「これはストレス性のじんましんですねえ。検査をしても、食べ物にアレルギーはありませんし、お聞きしても、アレルゲンになるようなものは食べてはいないですし・・・お母さん、何かお子さんがストレスを感じるような出来事はありましたか?」
私も夫も大笑い
いえいえ、笑い事ではありませんね。箸の上げ下ろしにまで文句を言うお姑・・・などと昔から言われますが、まさにその頃、私は4歳の息子の箸の上げ下ろしにまで文句を言い続けた・・・その結果の大騒動でした
そのじんましんのおかげ?!で、息子はお箸はきれいに使えるようになりました
そして、長い間、タレントや芸人さんがテレビで食事をするシーンを見るたびに、「こいつ、美人だけど、お箸の持ち方がおかしいねえ。こういうヤツはダメだなあ
」とか「この俳優、お箸の持ち方がきれいだねえ
」などと、マナー教室の先生並みに批評をしていましたねえ。
私は、お蕎麦屋さんのお嬢さんの「いただきます
」を見て以来、またあらためて考えています。
日本では、特に食生活は豊かになりました。地震以来、食生活でもいろいろな心配事がありますが、それでも、私達は「飢える」ということはありません。
毎日、世界中で多くの人が飢えに苦しみ、幼い子どもが命を落としている現代でも、日本では人件費削減のためか、さまざまなお料理がお皿にたっぷりと盛り付けられたビュッフェスタイルのレストランがたくさんあります
そんな国に暮らしているのですから、あらためて子どもの頃から、毎日、三食、お食事をいただける事への感謝の気持ちを持ち、豊かなその食事をきれいにいただく・・・そういうことにこだわりを持てるように、親として、子どもに教えていくことは大事なことだと思います
小学校受験でも、「お弁当を食べる」「おやつを食べる」というテストを、考査の中にいれている学校もあります。今では、受験者数が多くなり、それに伴って、時間のかかるそういう考査をしなくなる傾向にありますが・・・それでも、学校はどうして、わざわざ子どもに「食べさせる考査」をするのだと思われますか?
それは、やはり「食べる」ことにより、その子の育ち方、育てられ方が見えてしまうから、なのですね
こういうことからも、食事は文化であり、食べることは「栄養を摂取する」「飢えないために」以上のものである、ということはおわかりになるでしょう。
好き嫌いを作らない、ということだけではなく、子どもが幼い頃より、「食べ方」や「食べ物への思い」を意識させるよう、親が心がけていかなければならない・・・私はそう考えています

私は、大抵、注文をした後は、一人ではちょっと手持ちぶさたなので、いつも本を読むことにしています。すると、入り口の自動ドアが開き、若い女性が入ってきました。
カジュアルな装いの女性でしたので、大学生かな?と思いました。それにしてはちょっと古風な装い、とでもいうのでしょうか・・・少なくとも今どきの若いお嬢さんというよりも、昭和の時代の「清楚な女子大生風」に見えました。今では、大学に近い町でも、なかなかそういう「いかにも学生」という服装の学生の姿を見ることは少なくなりましたねえ


そういうお嬢さんだったから、私は何となくその後も気にかかり、本から少し目を離しては、ちらちらとその女性を見ていました。すぐにお嬢さんが注文した「日替わり定食」が運ばれてきました。「ふーん、ダイエットとか言わないで、結構しっかり食べるんだあ・・・」などと思い、見ていたら・・・
そのお嬢さん、割り箸を割ったら、一旦そのお箸を定食が乗ったトレイに置き、こんどはきちんと手を合わせて、小さな声で「いただきます

厨房のほうに向かっての行為でもなく、運んできてくださった方のほうに対しての挨拶でもなく、それは明らかにご自分自身が食べる前の「いただきます!」でした

私は自分のところに注文したお蕎麦が運ばれてきたのですが、「あ、どうもありがとうごさいます!」と言うのもそこそこに、そのお嬢さんの様子に見とれてしまいました


そのお嬢さんの手を合わせての「いただきます

その後、お嬢さんは見ていても気持ちよい食欲で、箸使いも美しく、きれいに定食を食べ終えました。
そのお嬢さんが笑顔でお勘定を済ませ、明るい声と笑顔で「ごちそうさま!」の声を残し、お店を出ていかれた事は、みなさんも容易に想像が出来るでしょう?
久しぶりに、気持ちの良い、すがすがしい思いがした、外食の時間でした


最近では、長い髪を結ばす、片方の手で髪を押さえながら音をさせずにお蕎麦を食べる人、つつくような箸使いで、さも美味しくなさそうに食べる人、肘をついて、大声で話しに興じながら食べる人・・・・美しい女性の食べ方とは思えないような、悲しい女性が多くなりました

そんな女性に出くわすたびに、(あー、このお嬢さんのお母様も、きっとこんな食事の仕方をするのだろうなあ・・・お嬢さんが自然にこういう食事の仕方をするようになったのは、食べ方にこだわらないご家庭で育ったからなのだろうなあ・・・

私は、古今東西を問わず、食事は立派なその国の文化だと思っています

もう20年以上も昔の話ですが・・・私の息子は、幼稚園の年少に入る直前、あらためてきちんとしたお箸の持ち方の練習をさせました。息子が入園を決めた幼稚園では、お弁当にはスプーンやフォークを持たせてはいけない、という決まりがあったのです。
これは大変な私の言い訳ですが、下に3歳違いの娘が生まれたために、お箸の持ち方や使い方には注意はしていたものの、やはり十分に目が行き届いていなかったのでしょうねえ。息子は当時、お箸の持ち方に変なくせがついていたのです

三食の食事の間中、変な持ち方、変なつまみ方、変なはさみ方をした時には、そのつど注意をして、持ち直させました。そんな事を4、5日続けたら・・・朝気づくと、全身に真っ赤なじんましんです

驚いた私は息子を連れて皮膚科に駆け込むと、先生曰く。「これはストレス性のじんましんですねえ。検査をしても、食べ物にアレルギーはありませんし、お聞きしても、アレルゲンになるようなものは食べてはいないですし・・・お母さん、何かお子さんがストレスを感じるような出来事はありましたか?」
私も夫も大笑い


そのじんましんのおかげ?!で、息子はお箸はきれいに使えるようになりました




私は、お蕎麦屋さんのお嬢さんの「いただきます

日本では、特に食生活は豊かになりました。地震以来、食生活でもいろいろな心配事がありますが、それでも、私達は「飢える」ということはありません。
毎日、世界中で多くの人が飢えに苦しみ、幼い子どもが命を落としている現代でも、日本では人件費削減のためか、さまざまなお料理がお皿にたっぷりと盛り付けられたビュッフェスタイルのレストランがたくさんあります

そんな国に暮らしているのですから、あらためて子どもの頃から、毎日、三食、お食事をいただける事への感謝の気持ちを持ち、豊かなその食事をきれいにいただく・・・そういうことにこだわりを持てるように、親として、子どもに教えていくことは大事なことだと思います

小学校受験でも、「お弁当を食べる」「おやつを食べる」というテストを、考査の中にいれている学校もあります。今では、受験者数が多くなり、それに伴って、時間のかかるそういう考査をしなくなる傾向にありますが・・・それでも、学校はどうして、わざわざ子どもに「食べさせる考査」をするのだと思われますか?
それは、やはり「食べる」ことにより、その子の育ち方、育てられ方が見えてしまうから、なのですね

好き嫌いを作らない、ということだけではなく、子どもが幼い頃より、「食べ方」や「食べ物への思い」を意識させるよう、親が心がけていかなければならない・・・私はそう考えています
