国鉄上越線の水上-湯檜曽を走る直流特急181系「とき」の写真です。
これは1976年3月の終わり、高校1年から2年へと進級する春休み。一人で大垣発東京行きの夜行に乗って上京し、上野から水上に向かいました。春休みに入って、時刻表とにらっめっこしながら計画を立てる間、傍らのラジオから太田裕美の「木綿のハンカチーフ」が頻繁に流れていました。この曲は前の年の暮れに発売されたシングルで、76年のヒットチャートを駆けのぼった曲です。
恋人よ 僕は旅立つ
東へと 向う列車で
はなやいだ街で 君への贈りもの
探す 探すつもりだ
このころ、恋人と呼べる女性(ひと)がいたわけではないけれど、東京へと一人向かう当時の高校生にとって、心に響く歌詞ではありました。東海道を走る165系の硬いボックス席に座って、窓の外を流れる町のともしびを眺めながら口ずさんだものです。
春とはいえ厳寒の上越国境・水上。
湯檜曽方向に歩いて雄大な谷川岳をはじめとする連峰を望む鉄橋で「とき」を撮りました。国鉄色ボンネット特急。交直流の481系ボンネットは見慣れていました。そんな目にボンネットの前頭部に太い赤のラインを巻いた「とき」は非常に新鮮でした。
太田裕美の歌と、雪の中のクリーム色と赤のライン。
今もありありと記憶に残る私の思い出のシーンです。
1976年3月 上越線水上-湯檜曽 アサヒペンタックスSPF
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