ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその452-イエスタディ

2020年05月13日 | ヨーロッパ映画
ダニーボイルの秀作

ビートルズ。
言わずと知れた20世紀を代表する、ポピュラー音楽の巨匠である。
私自身も彼らに影響を受け、作詞・作曲を行うようになったし、今でも彼らの楽曲はよく聞く。
その偉大さは、計り知れないもので、今後現れることない現象であろう。
今回紹介する映画は「イエスタディ」。
ビートルズを中心にした、映画である。
ストーリーを紹介しておこう。

ジャックは売れない男性のアマチュアライブ歌手。
彼には長年ささえられている女性マネージャー、エリーがいる。
ある日ジャックはライブの帰り、いつもどおりエリーが運転する車から降り、自分の自転車で帰途につこうとするが、交通事故にあってしまう。
と、その瞬間、世界中で「12秒間」原因不明の停電が起きる。
ジャックは入院し、軽い症状だったので暫く療養した後退院する。
ジャックの友達が、彼の快気祝いを催す。
そしてその場で友達のリクエストに応え、ジャックはビートルズの「イエスタディ」を歌う。
その歌の素晴らしさに、友達は感激し、歌を称えるが、いくらジャックがビートルズの曲だと言っても彼らは分かってくれない。
そこでジャックはインターネットで、ビートルズを検索するが、いくら検索しても「カブトムシ」としてしか結果が出ない。
なんの因果か、彼はビートルズが存在しなかった世界で生きている事を気づく。
そこでジャックは、ビートルズの知っている曲を自分が作った楽曲として紹介し、一攫千金を狙おうとするのだが.......

やはり映画の作りが上手い。
ものの十数分で、映画の中に自分の身が置かれているのを観る者は感じるであろう。
私の勝手な持論だが、良い映画は、開始から十数分以内に客を取り込めなければならないと思っている。
この映画はまさにそれをやってのけている。
また、ニヒリストなダニーボイルは、劇中で、ビートルズ以外の有名な物「コカ・コーラ」等も歴史上から存在しないことにしている。
物語はジャックとマネージャー、エリーとの恋愛関係についても触れ、彼が正常な精神状態になるきっかけも作っている。
そしてラスト、ジャックとエリーの幸せな現実が描かれ、とても観客に人生の希望を与える良い映画に仕上がっている。
本物のエド・シーランも出演し、演技をこなしている贅沢な作品とも言える。
とにかく、奥の深い、しかしサラリと軽く表面をなでるような良い作品だ。
ビートルズの偉大さを再確認した私は、今彼らの楽曲を聴きながら、この文章を書いている。
是非多くの方に、観ていただきたい映画である。

2019年、イギリス製作、カラー、116分、監督:ダニーボイル。