田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

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きたやまおさむの言葉と、杉田二郎の歌

2007-06-23 03:38:00 | Weblog
戦争の恐ろしさも知らない子供のくせに、何が平和だ、という非難の声を耳にする。
戦後生まれた私達は、どうしようもない世代かもしれない。
しかし唯一のとりえは、戦争を知らないと言うことだ。
戦争を知らないからこそ、純粋に平和を訴えることができるのではないだろういか。



彼は一つの言葉を生む

「戦争を知らない子供たち」

そして、今



私の思いは複雑で
派遣された自衛隊のブーツが
イラクの地に着いた時から
もう‘戦争を知らない子供たち’とは言えないという思いが続いている



1971年にジローズのデビュー曲として、この歌を歌った作曲者の杉田二郎は、当時ベトナム反戦のさなか、曲のヒットと同時に歌詞が軟弱だとのバッシングを受ける。
1972年、ジローズ解散と同時にこの歌を封印するが、1975年、沖縄でのコンサートのアンコールで再び歌った時、大合唱になった。
沖縄コンサートのメニューを決める時、フェンスの向こうがアメリカというこの地でこの歌を歌う必要があると、ようし(やってやろう)と思いつつ、それは、どういうことになるんだろうと恐れ、本番中では歌えずにステージを降りてしまったという。
しかしアンコールでマイクに向かった途端、この歌が口をついて出てきたと。



あまりにもケタが違うが、つい先日似たような体験をしたもんだから、この話は染みた。
何度も書くが、何も終わってない。
日本人は何事もなかったように振る舞うのが得意だ。
今シーズン屈指のドラマ「わたしたちの教科書」のいじめ問題においても、それがよく現れている。
沖縄の集団自決が、教科書で記述を変えられているのも、根底にあるのはそれだ。

何事もなかったかのように振る舞うのは、日本人の美徳であり、その精神は問題を根底から解決しようとしない、問題を直視しないということとイコールなのだ。
だから、やっかいなのだ。
日本の文化にある‘相手に恥をかかさない’という精神は、恥をかかされたら相手を斬り殺すほど恥を嫌うことの裏返しなのだ。
だから、やっかいなのだ。