田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

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生きていくんだ

2015-05-22 02:41:34 | Weblog
4月23日(木)渋谷ラストワルツ
 Macky’s House vol,12

自分で企画したイベントもライブと同じで、思い通りではないが思いがけないことになる。
今回の嬉しい誤算は、想像以上の男臭さと重量感であった。

モロコシボーイズにはMacky’s Houseに2回連続出演で2回連続トップを務めてもらった。とにかくイベントを盛り上げる事に全精力を注いだステージをやってくれて感謝である。もちろん楽しんでくれていたけど、次に一緒にやる時は、そういう気を使わせないライブをしてもらおうと思う。
帰りにヒロシ君と中央線で一緒に帰り、横の酔っ払い親父に文句を言われながら、色々話をした。これからの我々の活動を展開する夢はつきないんだ。

誤算が一番大きかったのが登山正文氏。
京都祇園のシルバーウイングスという、私がいつもライブをやらせて頂いている店のブッキングマネージャーだったが、この3月に退職して、自分のバンド‘私の思い出’の活動を中心に、イベントの企画などをしていくとのこと。
京都、大阪県内の店と繋がりが多く、これからもお世話になりたい人物である。
私の思い出というバンドは、とにかく客乗せが抜群に上手い。昨年11月にシルバーウイングスで登山氏のソロを見た時は、そのバンドのボーカルらしく、お客さんを盛り上げながらの楽しいステージで、その打ち上げで後述の今村大祐氏と一緒に今回の東京行きの話になった。
その日のイメージで爽やかな王子様的な役割を予定していたら、さにあらず、ぐっと男前なところを見せてくれた。自分の曲を解説しながら歌うというスタイルは、ありそうでない、登山氏独特のもの。この関東近辺では、こういう芸風はちょっと見られない。

今回のイベントで一番世話になったのは、西山正規&ジャッカルのベース、前橋Cool Foolのマスター佐藤あつし氏であった。西ヤンの連絡先を知らなかったので、日程調整はすべて佐藤氏に頼んでいた。結局その佐藤氏が所要でイベントに出演して頂けなかったのが、大変残念である。
その佐藤氏から、北海道のヌルマユ永井氏をこのイベントに出せないかと打診があり、一も二もなくお願いした。
‘誤解を恐れぬ弾丸詩人’ヌルマユ永井氏は、以前共演した時より、尖がり具合が少し丸くなり、重心が低くどっしりしたようだ。
大人になっていたわけだ。
彼の出演は、想像以上にイベントを農耕にしてくれたと思う。

登山氏の関西の明るい軽妙さ、北国のヌルマユ氏の暗い熱さ。色で言えばオレンジとブルーくらい違うステージイメージだったのに、二人とも、最後の曲に‘生きていこうや!’っていうメッセージを持ってきた。この二人、この日が初対面だし、互いの活動も作品内容も何も知らないはずなのだ。
暮らす土地や音楽の方向性は違えど、どこか思うところが同じ、というこの二人の対比は、全く想像していなかった感動を、私に与えてくれた。

さて、もう一人、京都から呼んだ今村大祐氏は、凄腕ジャズピアノシンガー。登山氏を師と仰ぐ。
どこが‘師と仰ぐ’かというと、まず一つは、全く意味のない歌詞を曲に乗っけてくる事だ。登山氏のバンドの方が、このスタイルを徹底させていて、それがお客を乗せ、バンドのメンバーの楽器の腕を引き立て、尚且つバンドの意識の一体感を強力に生み出しているのだが、その手法を今村君は、相当難解な曲の上に展開させている。
特にCDで聞くと、そりゃあもう、腹を抱えて笑うくらいに面白いのである。
もう一つは、お客を乗せるステージという点。
しかしながら私は、今村君のキャラクターでは、無理に客乗せを図らなくてもよいのでは、と思っている。
特に東京のお客さんは、いわば‘気取って’いるので、関西的なステージと客席のコミュニケーションを展開しようとすると、暖簾に腕押し状態になるからだ。登山氏はその気取りを突破するテクニックを持ち合わせているが、今村君はそのままやれば、結構というか相当‘変な人’なので、十分に可笑しいのだ。
今回は録音に生のピアノを合わせるというステージを持ってきたので、その変な人の部分が出ず、彼のピアノの腕の方が際立った。
今村君のツアー展開は始まったばかりなので、これから経験を積んでいって、自分を一番活かせるステージのあり方を見つけていって欲しいと思う。

東京で一番変な人、西山正規は全開であったようだ。
あったようだ、というのは、申し訳ないが私が次に出番であったため、身支度をするので2曲ほどしかステージを見ていなかったからである。
広瀬氏のドラムが、控室にもドスドス気持ちよく聞こえてきて、西ヤン40代最後のライブは、大変盛り上がっているのが想像できた。
この日の2日後、登山氏のバンドのライブを見に行ったのだが、Macky’s Houseに来て下さった登山氏のお客さんが、声をかけてきてくれた。そして、
「私、4番目くらいに出てきた人に、膝の上に乗られました。えっと、西山さんとかいう人…」
というお訴えを受けたのである。
見知らぬ彼女の膝の上に座って、ギターを弾いていたというのだ。
何ということか!
そしてそれを知らなかったのは、身支度のため控室に引っこんでいた、主催者の私だけであったのである。
「ごめんなさいね。嫌じゃなかった?」
と聞いたら、
「エへへ!って思いました。」
という、寛大なお言葉を頂いた。
この1週間後、西山正規50歳バースデーワンマンライブに行ったが、そりゃあもう、抑制の効いた、内容の深味も面白さでも、素晴らしいステージだった。
こいつスゲーんだ!って思った。
西ヤンは2時間くらい歌わさないとダメらしい。

という事で、私が一番爽やかだったかもしれない、むさ苦しい濃厚な男祭りが、Macky’s House vol.12において展開されたのであった。
ライブはいつも思い通りにはいかないが、思いがけないことが起こる。
イベントも同じだ。
そして、その思いがけなさは、私をとっても幸せにしてくれたのである。

出演者の皆様、本当にありがとうございました。
また私と一緒に、ステージを作ってくださいね!!

そして思った。
Macky’s House vol.13は、女子イベントにする!

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2 コメント

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いわきバロウズ (芦田ちえみ)
2015-05-31 17:19:46
まきこさん

ご一緒できて、ほんとうに良かったです。
真ん中のしなやかな幹と、受容していく柔らかさ。
ステージからもお話からも、たくさんメッセージをいただきました。
もどかしさや怖さの向こう側へ!
本当にありがとうございました。

暑い夏がやってくるとのこと。
ご自愛くださいませ。

またお会いできる日を楽しみにしております!
Unknown (まきこ)
2015-06-11 00:18:05
ちえみちゃん、いわきではお世話になりました!
すみません、今日までコメント頂いてるのに気が付きませんでした。
m(__)m

ライブも打ち上げもすごく楽しかった!
いわきに行くと、素直に音楽を楽しめるので、いつも幸せをもらって帰るのです。
また一緒に良い時間を過ごしましょう!

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