田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

ピアノの弾き語りで活躍する田中眞紀子のブログサイト。ホームページはブックマークから。

9月25日アピアライブ

2006-09-29 03:44:54 | Weblog
な~んとなく、馴染みの顔の競演者達との、和やかなリハ。
なのに、本番は妙に陰気臭かったな。(笑)
聴いてくださった皆様に、まずは感謝を!


並木一欣

旧名ナミー・ストリングス。
なみきかずよし君。この字でよかったかな。立派なお名前です。
エレキから、‘出会ってしまった’2006年製のアコギに切り替えたという。
うん、アコギの方が曲が映えるね。弾き方とかギターとマイクの距離だとか、習得すべき事はたくさんあるようだけど、情熱がありそうな奴なので、きっと次はもっと良い感じでやってくるだろう。
「ギターと一緒に育つんだね」とか、PAのまりえに良い事言われてんの!
MCは笑顔でね!笑顔可愛いんだから。(笑)


早川理史

まさふみ君とお読みする。こちらもいいお名前。
詩の良いシンガーだ。
肩から胸にかけて全く力が入っていない。リキミがない体勢から、時々思いがけないシャウトが飛び出してくる。私はあの感じが好き。
「誰か良い詩人、知りませんか?」って聞かれて、あんまり知らないって答えた。
三角みづきって言えば良かったな。(笑)
これ、読んでないかしら…


川上テルヒサ

なんで三角みづきかと言えば、独唱パンクでおなじみだから。
独パンでおなじみなのは、テルちゃんも同じ。
そんで、さっきマイミク柚月が「三角みづきが好きだ~っ」と吠えておったのを読んだので!(笑)
なんと彼もアコギに変えてやってきた。
眞紀子さん対策だとか、、、
どう対策なのか、わからんがね。(笑)
ナミーは「俺は対策なんか取ってない」とか。
なんとなく陰気臭いライブと打って変わって、楽しい打ち上げであったような。
テルちゃんは、ライブより普段の方がかっこいいので、何とかならないかと思うのだ。


田中眞紀子

セットリスト
1.愛してやるさ
2.ハルノジダイ
3.死んじまいたい
4.Tシャツ
5.踏み絵
6.水を抜かねばならない
7.平和の国のNEEDS
8.1分の魔法

ゆる~いライブがやりたかったんだ。
最近頭ぐちゃぐちゃだし、この前の独パンがパッツンパッツンだったし、楽し~く歌って… なんて思ってたのに。

その独パンのリハで「死んじまいたい」を半分歌ったら、後で某所で`ちゃんと聴きたかった’とチバ大三のコメントがあったので、久々に本番中に歌った。
テルちゃんとアタシが出てるのに、チバ大三は来なかった。

ゆるいどころか、北千住でPAやってくれた杉山夫妻には「ワンマンの時より力が入ってた」と言われちゃうし。
本人がゆるまないと駄目ね。
でも、心底ゆるんでも駄目。良い感じのゆるみって、いつか得る事ができるかしら?
テケタ氏の様なゆるみは理想だけど、本人は一生懸命だそうだ。
早川君もリキミが感じられないけど、本人は一生懸命だそうだ。
田中眞紀子やテルちゃんや並木君は、いかにも一生懸命だ。
「性格、性格!」とテケタ氏の弁。
性格は変えらんないよ~!
この日来てくれたダンサー・サイトウカオリに「一緒にやって」とプロポーズしたのは、私を変えて欲しかったから。
カオちゃんが来てくれるようだったので、組曲「未明」とは違うゆるい感じのライブを観てもらって、次に一緒にやる時の参考にして貰おうと思ったけど、ゆるくもできず、「そんな事考えてなかった~!」ってカオちゃんに言われちゃうし。

そうそう、お会いするのは15年くらいぶりの方がお越し下さったのです。
映画や芝居三昧だった頃のお仲間のおじさま。
外見が気がづかないほど変わっていたけど、話し始めたらあの頃のまま。
私もあの頃から、どう変わって、どう変わってないのかしら。

これからのスケジュールで、私は変わるかしら?

変わるかもしれない、その位、物凄い事になってしまったのだ…





解消…?

2006-09-28 02:45:39 | Weblog
うん、したらしい。
ここをのぞきに来て下さってる方々、ありがと&ごめんなさい。

な~んか、なんにもしたくない病が発生したもよう。

7月のアピアライブから、真夏の怒濤のライブ漬け、○○のテスト、、、
そして怒濤の… (後日発表)
あまりのたくさんの事々が、25日のライブで取りあえず一区切りついて、人生がいやんなってます。(笑)

○○のテスト、受かったし。
95点だと!
すごいわ、私の二夜漬け力!!
この状況でこの点数は、えばっちゃう!!!
でも、既にほとんど忘れてる…
△△庁に登録されるんだと♪(笑)
前にちょっと書いたが、ほんの少し電話応対する為の資格だったんですが、今回の組織改正で、私は電話には出ないようだ。
あはははははっっっっっ!!!!!

まぁ、ね、少しは電話やるかもだから。
それにね、たまには左脳使うのもいいかなっつうのはあるんだけど、時期が悪い感じではありました。

もうちょっと元気になったら、25日のライブレポ書きます。
また読んでね!



脳みそぐちゃぐちゃ解消へ

2006-09-24 03:11:50 | Weblog
でした。この10日間くらい。
○○のテストも含めて。

で、明日はライブ。
脳みそぐちゃぐちゃは、歌の練習をしている時だけ、すっきりしてた。
明日は歌う事を楽しみたいな。
だから組曲「未明」は無し。
「未明」抜きで、昨今の田中眞紀子のライブが成立するかやってみましょう!
だってあれやると、「Tシャツ」歌えないし、新曲歌えないし、「平和の国のNEEDS」歌えないし…

組曲「未明」の修練は来月から。
ダイエットはライブが終わってから。

何故、脳みそぐちゃぐちゃだったか、ライブが終わった頃ご報告できるように、すっきりしてるといいんだが。
それも、あとちょっとで、一応の解決をみる、、はず、、、
解決したい~!



9月25日(月)渋谷アピア
  PM6:50スタート
  ¥1,300+ドリンク代


お待ちしています。

終わったっ!

2006-09-23 01:39:43 | Weblog
終わったっ!
終わったっ! 終わったっ!
終わったっ! 終わったっ! 終わったっ!

○○のおばさんテスト、おわった~っ! あ~しあわせ~♪

我ながら一夜漬け、正確には二夜漬けの能力に感歎する。
たいしたもんだい、アタシ!

試験が終わってから職場に帰って仕事してたら、どんどん脳みその後頭部の部分が軽~くなっていった。
多分二日で綺麗さっぱり忘れるな。 

9月20日アピア

2006-09-21 00:06:44 | Weblog
あ~ん、べんきょーなんかしたくねーよぉ!

テケタはピンクのぶたで(昔、火取ゆきがママやってた店)初めてライブやった時の衣装で、ピンクのぶたにまつわる歌を歌った。
テケタのギターをバックに(!)、みんなでゴスペルを歌ったのだよ。
今日は楽しいステージだったよ。
がんばれテケタ。君はもっと成長する!


あやはことりは、蝿取り紙のように長~いレース(後で聞いたら蝿取り紙じゃないんだと)や小道具満載で、ある意味スリリングなステージを展開。
つたなさはあるけれど、非常に良かった。
君は、もっともっと成長できるよ。
がんばれことり!


火取ゆきの小池真司による新曲。
鳥肌が立つような「海へ」。
今日はこれにつきる。
あの声にノックアウトされない奴なんていない。彼女の歌には彼女の人生があふれる。それを象徴する声なのだ。歌を歌い続けて来た彼女の人生の声だよ。私の目指すものだよ。
やったね、しいこちゃん!また一歩進んじゃったね。


今日の日の感動は、やはり日記に記そう。


更なる試練

2006-09-20 11:07:56 | Weblog
さぁ、先週のもやもやした気分は、昨日のブログをUPしてすっきりした。
次は○○のおばさんのテストが、22日に待っている。


はっきりいって、ほとんど勉強していない。今、残された手段は、問題集の丸暗記のみ。
それで受かったとて、何の資格になるんだか…
まぁいいや。今回の仕事の組織改正で、この一年我慢した雑務から解放され、かなりまともな仕事をさせてもらえるらしい。
ありがたい!
雑務って、それだけしかしないと、無駄に疲労するのだ。


で、しばらく日記はお休みかも。
なんだかんだ言って、今日アピアに遊びに行くんだけど(笑)、ライブレポなしね。
だって、テケタとあやはことりと火取ゆきよ。楽しいに決まってるもん!!

完敗

2006-09-19 06:38:29 | Weblog
私、田中眞紀子は、ピアノの弾き語りを始めてまもなく14年になる。
おこがましく、傲慢である事の恥をさらす覚悟で言おう。
私はピアノの弾き語りで、誰かに`負けた’と思った事はない。
負けるもんか! と思った事は何度もある。
私だって! と思った事も何回もある。
だが`負けた’と思った事はなかった。
それは、こんな私がライブを続けて行く為の心の構えであったし、負けたと思ってしまったら足腰が立たなくなることを、自分で感じていたからである。
しかしそんな私のはったりは、完膚無きまでに叩きのめされた。

私は自分の感情の中の、この`完膚無きまでに叩きのめされる’という言葉の当て方を誤っていたらしい。9月14日までは、友川かずきのライブなどを受けた時の感情を表す時に使うのだと思っていたが、それは違うと知ったのが翌15日である。私は初めて`完膚無きまでに叩きのめされる’という経験をしたのだ。
アレによって。

その響きが多少失礼に聞こえるのは分かっていながらアレと称したのは、彼女のステージを表現する言葉が見つからなかったからである。
以下、説明する。

私も幼少よりピアノを長年弾き続けた身であるから分かるのだが、彼女のテクニックは非常に高いのだ。一見とんでもなく乱暴に見える弾き方をしていながら、ほとんどミスタッチがないのである。私には考えられない。
また、とてつもなく素っ頓狂に聞こえる声も、物凄いハイトーンを何度もピッチの狂い無く決めている。
その上、楽曲のレベルも非常に高い。シャンソンベースと思われるが、皮肉と笑いの入り交じる歌詞を、よく練り上げたメロディに乗せていて、舌を巻く程だ。

これらの事は多分、私が同じ事をしているから聞き取れるのであって、歌もピアノもやらない人には、そんな事は全く意識に入らないだろう。
まずは彼女のパフォーマンスに圧倒される。
そもそもピアノを弾く為の座り方などしていない。それであれだけ弾けるんだから物凄いんである。そしてその一点に居続けるのが明らかにもどかしい感じで、腕から足から背中から、エネルギーを放出する。
その上に、マスター言うところの「風刺の効いた」歌詞がこれでもかと降ってくる。
「愛の残骸」
「女体への賛美」
う~、なんというタイトル!
特に「愛の残骸」の歌詞の中の`枯れ枝のような彼女’という発言は、私のツボを完全に射抜いてしまったのだ。
私はこれからステージに上がって、ピアノを弾かなけりゃならんのだよっ!

アレを説明すると、こうなる。
しかし多分、半分も説明し切れていない。

本人が言うのに「重い前半、楽しい後半」の内容に、どう反応してよいのか、客席はしばらく困惑していた。
その重い前半の途中、金沢栄東さんのファン、あの捨て身の駄目出し男、南部君が、一番最初に「ブフッ」と吹いたのである。
その笑い声を聞いてしまった私の笑いのタガは、遂に外れてしまった。
しかし、耐えなければ。今日は客として来ているのではない。
「笑ってもいいらしい…」
客席も徐々にタガを外していった。
その表現態にのめり込み、笑いをこらえて悶絶する私を、アピアパパは「彼女を見てる田中さんが、上から見てて面白かったよぉ!」と打ち上げでのたまった。


多分心から、心ゆくまで爆笑したのは、彼女のライブが終わってからだ。何しろ栄東さんがステージに上がる直前まで笑いが止まらないんである。「ムフッ、ムフッ」と笑いを押さえようとする栄東さんに、私も笑いをこらえながら「頑張ろうよう!」と肩を揺すった。


栄東さん、作戦を変えていた。それは前日の友川さんを彷彿とさせた。
彼女がしなかった`事’で勝負していた。
私とのセッションはラストに持って行かれ、セッションの前半は二人とも冴えなかったなぁ。後半は何とかなったかな… ってとこ?


この感情は何なのだろうと、打ち上げの最中から考えていた。
嫉妬、羨望…
しかし私が自分の中で経験していた嫉妬や羨望につきまとう、あの渦巻く醜いような感覚が伴わないのだ。だからして`完膚無きまでに’と言えるのかもしれない。`叩きのめされる’は17日の、のりちゃんのライブを観るまで続いた。今は少し持ち直している。


彼女とはマイミクになったので、彼女の素性も少しわかったのだが、やはり物凄く練習しているようだし、歌詞からうかがえる様に文学にも精通しているらしい。
そしてなにより、「楽しい」という事に徹底的にこだわっている。
自分もお客さんも、絶対に楽しい事。
エンターテナーなのだ。
多分、これだけエンターテインメントに徹底した出演者は、現在アピアにいないであろう。
友川かずきとも金沢栄東とも異質の、しかし、明らかに`芸’であり、私が`完膚無きまでに叩きのめされ’て、尚かつ嫉妬や羨望に伴う渦巻く醜い感情が湧かないのは、私が自分のライブを、彼女の様にエンターテインメントとして意識した事が一度もなかったからである。
数日考え続けて、やっと思い至ったのだ。


でね、あの後、高橋よしあき君と「あ、彼女って`ジョン(犬)’に似てるかも」って話になったんだよ。ジョンて、犬の着ぐるみ着てオルガン弾きながら歌う女の子なんだけど。
私が初めて独パンを観た時に出ていて、こういう相手と競演するのかって、やっぱり笑いに悶絶しながら驚愕した強烈な思い出があるんだけど。
そしたら彼女の日記にジョンの名が出ていて、知り合いなんだね。
影響とか、受けたのかしら?


「この後にやる俺の身にもなってくれ」と金沢栄東に言わせ、場合によっては田中眞紀子を立ち直れなかったかもしれない程に打ちのめした彼女の名は、


つだ♀まさごろ


本名だと本人はおっしゃっています。

今度アピアのスケジュール表の中でこの名前を見つけたら、このブログを読んだ方は必ずそのステージを観るべきでしょう。
でないと、あなたは、一番新しいアピアを知らない事になる。
 

閑話休題

2006-09-18 03:05:04 | Weblog
またもや、肝心のアレの話を引っ張って申し訳ないが、昨日のライブにかなり救われたので、それを先に書こうと思う。



あの、懐かしい北千住労音へ行ってきた。ばばのりこさんの歌を聴くため。
ばばのりこさんは、お茶の水及び北千住労音での私のワンマンで、PAをしてくれた杉山さんの奥様で、ライブのスタッフとして私を支えてくれた人。
実はつい最近まで、歌を歌う人だとは知らなかったのだ。

昨日初めて、暑くない北千住を歩いた。
あの銭湯の看板美人猫にも、この前、暑さにへばっていた飲み屋のラブラドールにも会えた。ラブちゃんは、今日は大きな骨をくわえて見せてくれた。センターに行く途中、手をつないで歩く老夫婦を追い抜いた。
やっぱいいわ、この街。

ここんとこのあまりに濃厚なアピアライブに対し、至って簡素。
ピアノと歌のみ。日本語訳されたシャンソンとカンツォーネ。
グランドピアノと壁にまとわせた白い布にカラーの明かりが当たり、照明もシンプルだが美しい。
その簡素さの中に、確かにある熱い何かが、ひたひたと伝わってくる。

私の中のここ数日の、あまりにも色んな事がありすぎて疲れた頭の中に、清らかな小川が流れたような気分。

ばばのりこさんと、さかいとしひこさんのジョイントライブは、実は二人それぞれにとって意味の深いものである事が、おいおい判明する。
さかいさんは、もう60を過ぎていらっしゃると思われる元教員の方で、合唱や日本歌曲を歌ってこられたが、ばばさんの歌を聴き感銘を受けてシャンソンを歌い始め、この日念願のばばさんとのジョイント、そしてソロデビューであった。
そしてばばのりこさんは、随分小さい時から歌ってきたが、ここのところ歌やその他の事でかなり悩み、この日は復帰のライブであったという。
二人にとって人生の節目のライブだったのだ。ライブ中に感じた熱い何かとは、節目に向かう二人それぞれの思いが放つものだったようだ。

打ち上げで、この前の私のライブに来て下さったシンガーの橋本のぶよさんと共に歌唱談義で盛り上がる。
そしてのりちゃんの今日の歌に、すごく元気を貰ったと私は心から感謝した。
ほんとに元気を貰った。その初々しい熱さに!



14日15日と私が浴びて衝撃を受けたものは`芸’だ。
この`芸’という言葉は使い方が難しい。決していい意味でとらえられないが、それ以外言いようがない。
技と人生を積み重ね修練し、その土台にその日のエネルギーを注ぎ込んで表れる`芸’。

のりちゃんとさかい先生のそれは`技’にはまだまだ課題があると思えるが、土台の不安定さをこの日の特別なエネルギーが補って余りある感動を生み出していた。
さかい先生の歌には彼の人生という土台が支えにあり、そしていくつになっても夢を叶えられる喜びにあふれていたし、のりちゃんの歌には一度引っ込めてしまい、再度踏み出す事が恐くなっていた歩を、もう一度踏み出す強い心意気があふれていたんだ。

そういうものが感動を生むんだ!
単に`技’に感動する事はある。でもそれ以上に、その`技’の向こう側に見えるその人の人生のあり方に、受け手は感動するのだ。人生のより濃厚ににじみ出た`芸’に、より感動を覚えるんだ。
少なくとも私はそうなのだ。
だから私は、そういう発し手になりたいのだ。
私をそういう`基本’に戻してくれた。


橋本のぶよさんが、
「あなたは命かけてたわ」
と言ってくれた。

私はなんとかなる。





後悔

2006-09-17 21:43:02 | Weblog
14日のアピア。

あぁ、何故あの日の内に、その世界を堪能し感動に心が泡立っている間に、ライブレポを上げてしまわなかったのか…
当日同席した面々の、衝撃にボケボケとひたったライブレポを読むだに、そう思う。

ライブレポなど義務ではない。投げ出してしまいたい!
しかし帰り際、
「ブログ楽しみにしています!」
と、わざわざ声をかけてきた松浦キノコの、仔犬のような純粋な心を、傷つける訳にはいかない…


私が衝撃を受けたそのステージを、以後‘アレ’と称する。英語でいうところの‘that’である。
そう、アレは‘it’でも‘this’でもない。‘that’が最も相応しい。


そしてアレを知ってしまった以上、知らなかった昨日には戻れはしない。
その観点で言えば、松浦キノコ! 君は中途半端すぎるのだ。
お客に向かってタンカを切っている時に噛むなど、もってのほか!練習不足も甚だしいのである。実はああいうのが一番難しいのだよ。ああいうのを舐めちゃいかんのだよ。アピアパパによく言われるぞ、アタシゃ!
愛情を持って見れば可愛いらしいが、ステージパフォーマンスとしては半端すぎる。ならば下手なMCの河内伴理の素ボケの方がましというもの。
相変わらず無駄な汗をかき、まっすぐ真面目に一生懸命を披露する豊田君より、一生懸命に悪い子をアピールするその姿は一層健気ではあるが、見透かされるのを恐れる君の手法が透けて見えるのだ。

あぁ、ごめんね。
うさぎの様にナイーブな伴理の心を、仔犬のように純粋なキノコの心を、今の私は配慮する余裕がない。

前に、つまらん下ネタを言いながらライブをやっていた時、それがキノコを見た最初だったんだけど、妊娠中絶だったか自殺未遂だったか薬物中毒だったかの、女の子の歌を歌っていて、それがすごく良かったんだ。
すごく良かったと言いながら内容を覚えてないのは、失礼も甚だしいわね、ごめんなさい。
でもだからこそ、つまらん下ネタに腹が立ったんだが。

ステージ上がると結局全部見られちゃうんだ。全部剥ぎ取られちゃうんだ。抗っても無駄なんだから、諦めよう。腹をくくってしまおう、もっともっと!
アピアパパが私に言った言葉。意味合いは違うかもしれないが、今、私が、君を見て思う事がこれだ。
「覚悟はあるけど勇気がない」

腹をくくったライブパフォーマンスか、腹をくくって‘自分をさらけ出す’か。多分同じ事だ。
今一つ、後一つの勇気があれば、きっと君は大化けする。


あぁ、あの日の帰り際には、もっと違う事書くつもりだったのにな。友川さん前の緊張振りとか…
アレが私に、こんな事を書かせるのだわ。
きっと後で後悔するな。



<ふわり、ぐわり、ビシーッ!バリバリッッ!!>

これが、この日の友川かずきの印象だ。
この日、いつものバンド編成ではなくソロであった為、前の二人の若いパワーとの差を出す事を意識してか、つまびくギターにのせた‘ふわり’とした歌を前半多投していた。
嫌らしい見方だが、友川さんのこういう‘ライブ技巧’は初めて見た気がする。いつもはバックの二人に支えられて、もっとやんちゃだし。それは大人のライブだったのだ。
そして時々覗かせる‘ぐわり’としたパワー。それも一瞬しか見せず、また‘ふわり’モードに戻る。
後半、‘ぐわり’の比重が高まっていく。
客としての体力がまだ充分ある状態でアンコール。後2、3曲は聞けると思う私を嘲笑うかのように、彼はその2、3曲分を1曲で‘ビシーッ、バリバリッッ!!’とやってのけた。危機迫るほどのオーラを放って、彼は客をおっぽり出してステージから去って行った。
マイミク柚月と伴理と三人で、何だか傷を舐め合う様に寄り添ってしまった。

あぁ、こんな風に書いていると、あの泡立つ気持ちが蘇るなぁ。


打ち上げで、豊田君が友川さんからセブンスターを貰っているのを見て、伴理の為にもう一箱貰ってやろうと思ったら、「あげない」と言われた。
ごめんね、伴ちゃん。


そして、こんなすごい感動を、翌日アレが粉砕してしまうのである。

引っ張るのは気が引けるが、疲れたので、また後日。