田中眞紀子(シンガー・ソング・ライター)

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捨てる・拾う

2007-06-04 12:20:00 | Weblog
この二つの漢字、いまだに迷う。どっちが‘すてる’だっけ?


先週の土曜日、洋服をどっさり捨てた。
5月中に冬物と夏物の入れ替えをした時に‘着ない’と選別した物。主にシャツの類。
まだ着れるのも、いいかげん袖口や裾回りが擦り切れてるのも。
まだ着れる物はもったいなく、擦り切れてるのはそれだけ愛着がある訳で、それぞれ捨てられないできたが、今度ばかりは思い切って‘贅沢’をしてしまった。‘バチ当たり’というべきか。
しかしやらないと!
私は生来、いわゆる‘捨てられない女’の癖があるのだ。
「だから一人暮らしができない」と、しいちゃんにコクって笑われたことがある。
本当の事だからしょーがないわ。


さて先週の土曜日、出勤の際、家からだと駅と反対方向にある‘衣類ゴミ収拾場所’にドサリとゴミを置き、家の一本駅寄りの道を駅に向かった。
わかりづらい説明だ。
要するにいつも通らない道を通って駅に向かって小走りしていたのだが、その道の端に何やら赤いものが落ちているのが目に入った。折りたたみの傘のカバーらしき物だ。
あれ~、ウチにあるのと柄が似てるなぁと遠目ながら思いつつ、電車の時間が迫っていたし、素通りしたのである。
それっきり忘れていたが、日付け変わっての夜中、寝る前にふっと傘置場をみると、その柄の傘のカバーがないのだ。
ありゃあと思ったが、母はもう寝ていたので、テーブルの上に傘を置き「昨日の朝、一本前の道で似たような柄のカバーを見たから、出掛けに見てこい」とメモして寝た。床につきながら、そういや昨日は風が結構強かったなぁと思いつつ。
日曜日、出先から帰ってきた母に「なぜ拾わなかったのか」と責められた。無かったらしい。

その傘はもう20年近く前、母と二人でドイツに行った時だったか、その後母が東欧へ行った時だったかに買って来た物で、色、柄共に実に我々親子好みで二人で兼用しようとしたのだが、その傘は傘のくせに雨漏りするのである。まともな雨でさすと手がびっしょり濡れてしまうのだ。
使えないものだから私は使わないまま年月は経ち、その傘の存在すら忘れていたほどのものなのだ。だから道で見掛けても、まさかと思ったわけで。
母は日傘に使っていたんだそうだ。
日傘になるような物とも思えないが…


‘捨てる’と‘拾う’が妙に交錯した日であった。
今年は傘に関して良いことが無い。