20日の市議会、予算決算委員会の締めくくり総括質疑の際、日本共産党の益田議員の質疑が、時間を残して止めさせられるということが起きました。
質疑の内容は、経済対策として舗装の打ち替えなどの予算が提案されていることに関連して、道路分野だけではなく、遅れている市営住宅の改修・修繕などの補正予算を組むことで、地元中小業者への仕事と雇用を増やし、経済を少しでも温めることが必要ではないかというものでした。
しかし、質疑の途中、議場から「議案(※)に関係ないぞ」という声や「ルールを守れ」というヤジが飛び交い、発言の中止が委員長から命じられるという結果になりました。
(※)ここで出てくる議案というのは、市長が提案した補正予算のことです。つまりは、益田議員の発言は、不十分な経済対策の補正予算をもっと拡充せよというものですが、住宅関係の予算は数字としてでてきていないので、議案に関係ないということでルールを逸脱しているというのが発言中止の理由だと思います。
確かに、質疑とは「議題となっている議案などに対してその発案者などに対して、口頭で疑問や不明確なことを明らかにするために説明を求めること」というのが一般的な解釈です。
しかし、これまで熊本市議会としては、質疑であっても、予算が不十分であればその改善を求める発言や問題がある予算ならばそれを減額すべきとの発言など、内容の説明をきくというものからより踏み込んだ発言が、議員の理解のもとで認められてきた経緯があります。
例えば、同日の質疑でも、この前の総選挙のための予算に関連して、期日前投票が居住区に限られ不便であるということから、これまで通り、どの区に住んでいる人でも市役所で期日前投票ができるようにするべきではないか?との質疑が行われています。
大事な指摘ですし、内容の確認とどまらず、新たな提案を行う質疑でしたが、異論は出ませんでした。
提案された議案だけしか質疑ができなのならば、こうした改善にむけた指摘や予算の増額などに関する質疑はすべてできなくなります。
ただ、どこまで良くてどこまでが駄目なのか明確なルールはありません。
こちらは、質疑のルールを定めた熊本市予算決算委員会運営要綱です。
総括質疑等の内容は、委員会の審議の趣旨に沿ったものでなければならない。と定められているだけです。
では、益田議員の質問は、「市が提案している経済対策予算に関連して、道路分野だけでなく市営住宅分野も予算をつけるべき」というものでしたが、制限をされるほどの内容だったのでしょうか?
実際に市営住宅の修繕は遅れています。
例えば、住民が退去した後の部屋の原状復帰ができておらず多くの市営住宅が空き室のまま放置されています。その結果、空き戸数が676戸あるのに、新たに入居募集に出された住宅は169戸とわずか。
市民の方から「あそこの部屋が空いたのに募集はないのか?」とのご意見を多くいただきますが、こうしたことが原因です。
また、風呂釜が設置されていない住宅も4000戸あり、年間150戸ほどしか整備されていません。
畳替えも20年に一度は替えることになっていますが、20年を超えている住宅が3200戸あり、今年度は200戸しか畳替えが実施されていません。
こうした状況の下で、経済対策でも市営住宅の環境整備でも行うべきことを行っていない熊本市に対して、実施を求めるものでした。
議員として自由に意見が言える一般質問は、年に1度しかできませんし、また6つある常任委員会(福祉分野とか建設分野とか分野ごとに議案を分けて議論をする場所が委員会です)でも意見を言うことができるのですが、自分が所属している分野に限られます。6人以上いる会派は、あまさずすべての委員会に所属できますが、少数会派は所属できる委員会が限られます。
こうした発言の制限がある中で、質疑についても柔軟に解釈されてきたのだと思います。
大切なのは、市民の福祉増進のために、予算のあり方がどうあるべきか闊達な審議が保障される委員会にしていくことです。
「なんでもありとなれば収集がつかなくなる」との意見もありますが、それは、予算決算委員会理事会で質疑の内容を事前に確認をすればいいだけの話です。
また、一般質問の機会も、年に1度と制限をするのではなく、多くの自治体でも実施しているように、毎議会できるようにするなど改善が求められます。
今回の発言中止を受けて、議長や予算決算委員会理事会会長に、緊急の申し入れを行いました。
発言中止への抗議とともに、「発言制約を設けるのではなく、市民の福祉増進のため、予算決算委員会での闊達な審議のあり方が必要であり、改善を求めたい」というものです。
議会がより活性化できるよう他の議員の方々とも話し合っていきたいと思います。
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