熊本市が、298億円(床代283億円、内装や備品15億円)をかけ、整備しようとしているMICE施設。
3000人のホールを有し、大規模な国際会議や学会などを誘致できるとして、市が計画。
熊本市は、民間がすすめる桜町再開発のなかで、ホールの床(土地も含め)を買う形で整備を進めようとしています。
今議会には、その床を283億円で取得するための議案が上程されています。
震災後、この計画を知った多くの市民の方々から、「中止」もしくは「説明責任を果たしておらず凍結」してほしいという意見が多く寄せらています。
「震災からの復興には多額の費用を要し、MICEよりも生活再建にお金を使ってほしい」こうした声を多くの方から聞いてきました。
私は、以下の点を指摘し、議案に反対しました。
1.市民合意ができていないどころか、内容を知った市民からMICE整備に疑問や批判の声が上がっている段階で、整備をすべきではないこと。
地方自治の本旨は「住民自治」であり、市政は、住民の思いや意向を反映させたものでなければなりません。共産党が行った市民アンケートでも、地震からの復興に向け取り組んでほしいことの項目で、「再開発・MICE建設を急ぐ」と回答されたのは、780人のうちわずか6人、0.8%でした。
「床の取得が遅れれば、再開発計画が成立しなくなる可能性もある」と説明する熊本市。しかし、最優先すべきは、再開発の完成ではなく、市民合意を基にした市政運営です。
2.大西市長が説明している復興の後押し・地域経済の下支えになるような根拠がないこと。
大西市長はMICEの経済波及効果が170億円あることを理由に、復興の後押しとなるとの説明を行ってきました。
しかし、国が示した波及効果の算定表を見れば、コンベンション(宿泊の場合)の経済波及効果額(1人1日あたりの額)50591円のうち、31208円が国内移動費となっています。
5割から6割が、航空会社などへの消費となり、ほんとうに地域経済に寄与できるのか疑問です。
沖縄県などは、経済波及効果から、この国内移動費は除いています。
今日の委員会では、「170億円の経済波及効果のうち、地場の企業への消費効果はどれだけあるのか?」との問いに対して、「数字を示すことは難しい」との答弁でした。
MICE整備にお金を投じるのではなく、例えば、震災で被害を受けた家屋について、その修繕を地元業者に頼めば、費用の一部を助成する制度をつくるなど、投資した効果が地元業者の仕事や雇用につながるような制度こそ必要だと考えます。
3.床の取得価格の妥当性を示す資料が議会にも示されていない。
283億円の床価格が妥当なのか?資料を請求しました。
市の取得価格のみ示され、それ以外は墨塗りです。
民間が取得する床単価もわからず、比較のしようもありません。
「民間の経営のこともあり示すことができない」との理由ですが、資料の開示を求めるも、客観的な判断材料は結局示されないままでした。
4.震災からの復興や地域経済の活性化は、人を呼び込むことで成し遂げるのではなく、市民の生活再建や経済的な安定を最優先し、市民の消費が地場の中小零細業者へ還元できるような仕組みを作ることを基本に進めるべきであること。
熊本市に多くの方が訪れてくれることを否定するわけではありません。
学会などのコンベンションは、既存の施設で中規模・小規模の学会をターゲットに誘致を進めるほか、福岡市などとも連携し、福岡での大規模な学会のアフターコンベンションなどに取り組み、観光などを柱に交流人口を増やすべきだと考えます。
地域経済の活性化を図るためには、市民生活が豊かになり、域内(市内)での消費が促進されることが大前提だと考えます。
5.既存の公共施設に対し、今後40年間で1兆240億円の建て替えや更新経費が見込まれ、施設の廃止や統廃合など2割の床面積を削減しようとする計画がある一方で、MICEを聖域とすることは、市の計画の整合性を欠くこと。
熊本市は、公共施設等総合管理計画を策定中です。
今後の維持費や建て替え費用が莫大にかかるということで、市営住宅の削減や公民館などの地域の施設の削減など、公共施設の床の面積を2割削減する方針です。
住民には身近な施設の廃止を迫り、MICEを新設するというのでは住民の納得を得ることはできません。
詳しくは、市議会だより ↑ ↑ をご覧ください。
市全体の財政のことなどは、所管委員会が総務委員会なので、経済委員会では議論できませんでしたが、財政的な影響も少なくなく、様々な住民サービスへの影響も懸念されます。ちなみに、MICE整備による税収増は年8000万円程度であると試算されています。
MICEの運営で、収支がマイナスになれば、税金からの穴埋めとなるほか、毎年3億円ほどの大規模改修積み立ても必要です。
震災で大きな被害が発生した熊本市。市内には、まだまだ屋根にブルーシートがかかっている家も多く、家の修繕に取り掛かることができていない方もいらっしゃいます。
今行政が取り組むべきことは、MICEではなく、住家や宅地などへのあまりも弱い支援制度を拡充し、生活再建に努めることです。
この問題は、最終日にも会派として取り上げる予定です。
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頭悪いのでご容赦ください。
目先よりも、長い目で見て再開発して金を回して雇用先を確保してくことが復興への道だと思います。
私の周りでは、同じ意見の方が多くいます。
また、なすさんが「震災からの復興には多額の費用を要し、MICEよりも生活再建にお金を使ってほしい」という意見をブログに書いてることを周りの方に話した時に全員が「馬鹿じゃないか。」と言っていました。
共産党が作った市民アンケートは基本的に反対意見の多い共産党支持者にアンケートしたのですか?
それでは、シールズやママの会と同じで自分達だけの意見を皆の意見だと言ってることと同じだと思います。
別に私自身は自民党だろうが、民進党だろうが、共産党だろうが良くしてくれるのなら、どこでも良いと考えていますが、あまりにも共産党は左寄りすぎるというか、世間からずれてる気がします。
話は逸れましたが、熊本が復興するためにはMICE計画は大事だし、早急に進めてほしいと思います。
すみません。
大した知識もないのにでしゃばりました。
また、最後に共産党は熊本の将来をどうすれば満足なんですか?
熊本市や熊本県がやろうとしていることを反対ばかりしていますので具体的に教えてください。
宜しくお願い致します。
結局、反対しとけば満足なんですよ。
ここ数年で政治に興味持ちましたが、共産党のイメージは良くないですね。
ですが、なすさんのblog読むと熊本を愛してるのだけは伝わります。
愛してるからこそ、反対だけじゃなくて賛成派の意見も取り入れて良い解決策を見出していってほしいです。
また、回答が遅くなったことをお詫び申し上げます。すみません。
熊本市の発展を願ってのご意見だと思いますし、私自身も目指すところは一緒です。
順次、ご意見に対して、私の考えを述べさせていただきます。
》目先よりも、長い目で見て再開発して金を回して雇用先を確保してくことが復興への道だと思います。
雇用の確保は、復興に向けて大事な視点だと考えます。MICE施設を含む、桜町再開発は、ご存知のように、約900名が働いていた県民百貨店、約400名が働いていたセンタープラザを閉鎖して進められている計画です。
少なくとも地場に根付く業者が長く経営を続けてきた場を失った損失も勘案しなければなりません。
新たに整備されたMICEや商業スペースなどで、雇用は生まれますが、例えばMICEでは他都市の事例を見ても、創出できる雇用は20~30名ほどです。民間の商業スペースも、再開発後はテナント料が跳ね上がり、地場の企業が入居できず、県外資本の店舗がほとんどを占めるという状況にもなりかねません。当然得た利潤は本社に吸い上げられるなど、消費効果が地域経済に循環されにくいというデメリットもあります。
また、昨年度に熊本市が誘致した企業が雇用した労働者のうち、9割が非正規雇用となっている状況もあります。
こうした状況からも、MICEを含む桜町再開発は、お金はかかるが、効果が薄いと認識しています。
ちなみに、今回のMICE整備と再開発への補助金、借金の利子で450億円を超える財政負担が市に発生します。市では、こうした負担の影響で、職員の非正規化、嘱託職員の労働時間の縮減など、雇用にマイナスの影響も出ていることも問題だと考えます。
雇用については、熊本の特色である農業やこれからの高齢化社会に需要が増大する福祉分野、ヨーロッパなどで進められているクリーンエネルギー産業などに投資をするとともに、非正規化の抑制や最低賃金の引き上げなど労働環境の改善を、国とともに進めていく必要があると考えています。
》共産党が作った市民アンケートは基本的に反対意見の多い共産党支持者にアンケートしたのですか?
アンケートは、市内11万世帯に無差別に配布し、返信いただいたものです。支持者だけでなく、保守の方や無党派の方からの回答も当然含まれています。
約1000名から回答を得た結果です。
》最後に共産党は熊本の将来をどうすれば満足なんですか?
行政サービスが充実し、安心して暮らせる街にしていきたいと考えています。そのためには、福祉・教育・産業・環境など、多岐にわたる分野で、住民利益にかなっているのかという視点で、取り組みを検証する必要があると思っています。そして、大事なことは、各々に投資した効果が、波及的に地域経済や市民生活に還元され循環する仕組みづくりが必要だと考えます。
被災者の生活再建に取り組むことで、健康的で安心した生活基盤が構築できますし、それが労働効果や医療費の抑制などにもつながります。経済的な支援をおこなうことで、将来への見通しがつけば、市域での消費を促す効果も生まれ、税収増にもつながります。
MICE整備をすれば、学会やコンサート時には、一定の人は集まるでしょう。ただ、福岡市の国際会議場など、平時は閑散としています。
外から人を呼び込むこと自体は否定しませんが、今ある施設で対応すればいいことだし、年間数回を想定している3000人規模の学会のために、莫大な税金を投じる必要性はないと考えます。
》共産党は世間とかけ離れて反対しかしないイメージしかない。
確かに、「共産党は、反対しかしない」というイメージを多くの方がもってらっしゃいます。
↓ ↓ は、私の、市議会での賛否です。
http://kumamoto-shigikai.jp/namelist/pub/detail.aspx?c_id=3&mem_id=79&lsttype=0&wd=
議第○○号というのが市長が提案した議案。発議○○号というのが議員が提案した議案。請○○号というのが市民から寄せられた請願です。
市長提案の議第○○号の態度を見てみてください。反対ばかりではなく、8割ほどは賛成しています。
ただ、議員の役割は、行政のチェックですので、市民の利益にかなわないと判断した議案には、理由を述べ、反対の態度を取りました。
逆に、他の議員の賛否も見ていただければと思いますが、市長提案の議○○号というものに、年度によってはすべて賛成した議員の方も多くいらっしゃいます。
すべて反対もどうかと思いますが、すべて賛成ということについて、ぷーさんはどのような思いをお持ちになりますか?
私自身も、いろいろな誤解や疑問については、丁寧にお答えしていきたいと思います。
》なすさんのblog読むと熊本を愛してるのだけは伝わります。
そのように感じていただけるのは、本当にありがたいことです。
ぷー様の指摘のように、「愛してるからこそ、反対だけじゃなくて賛成派の意見も取り入れて良い解決策を見出していってほしい」との指摘を受け止め、頑張りたいと思います。