先月末に開かれた「熊本市自転車駐車対策等審議会」は、
熊本電鉄藤崎宮前駅周辺から上・下通り、サンロード新市街、
交通センター周辺までの中心市街地一帯を
自転車放置禁止区域に指定することを了承しました。
これまでは、上・下通り、新市街のアーケードや
市役所周辺など一部に限定されていた「禁止区域」が、
中心市街地一帯に広がることになります。
これまで「線」だった放置禁止区域が…
↓↓
今度は、「面」で禁止区域を設定。
これまで駐輪できていた花畑公園前や代継橋の路上スペースも、
禁止区域の拡大にともない駐輪できなくなります。
また、熊本市は、今年6月をめどに
中心市街地の駐輪場の有料化を導入する予定です。
違反した自転車利用者には、取り締まりと撤去の強化で、
路上から自転車を排除する方針です。
自転車利用者は、有料駐輪場への駐輪が強制されることになります。
「自転車で気軽にお出かけできるまち」を目指す熊本市。
しかし、今回の禁止区域の拡大と有料化により、残念ながら、
「自転車で気軽にお出かけできない(したくない)まち」に
近づいてしまったのではないだろうか。
確かに、路上に長期間放置された自転車や
歩行スペースをふさぐような駐輪については
早急な対策が必要です。
しかし、ルールを守りながら自転車を利用している市民までも、
中心街一帯の路上から締め出し、集約型の有料駐輪場に押し込むやり方は、
逆に、自転車利用の推進の妨げになります。
自転車先進国のデンマークやオランダでは、
商業施設や一定の幅がある歩道には、
自転車ラック(車輪を固定し駐輪できる機具)が多数設置され、
歩行者と自転車が共存するにぎわいのあるまちづくりが進められています。
「監視の目」ではなく、「自転車利用者の目線」で、
自転車に優しい駐輪対策が求められています。
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今回の禁止区域を指定した「自転車駐車等審議会」のはいかに放置自転車をなくすか?
ということが存在理由となっています。
しかし、いま疲弊が始まっている中心市街地のことを考えるのならば、
路上から自転車をいかに排除するかということではなく、
いかに自転車で街に来たくなるかということを考えなければならいと思うんです。
以前、まちづくりの専門家の方から、まちづくりのヒントは
「となりのおばさんの意見をいくこと」と聞きました。
つまりは、まちを利用している人の意見から政策をつくることが何より大切だということだと思います。
理想や他都市への憧れでまちづくりをすすめる今の熊本市のやりかたは、
将来的には必ず破たんします。
そうならないように、有料化が実施された後も、
無料のラックの設置などを市に求めていかなければと思っています。
有料化に伴い、当然放置自転車も増えることが予想されます。
熊本市はその対策として、監視と撤去を強化する方針です。
監視の目の届かないところで増える放置自転車。そしてさらなる監視員の増員。
魅力のないまちですね。
自転車利用が進んでいるオランダでは、
放置自転車をとりしまる監視員ではなく、
駐輪した自転車に油をさしたりタイヤの空気を調整してくれる
「自転車執事」なる方を行政が配置しているそうです。
楽しそうな町ですね。
こうしたまちづくりこそ求められていると思っています。