マックンのメモ日記

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中国の原油需要、サウジとイランが争奪戦!

2016-01-25 16:02:09 | 経済・金融・投資
中国の習近平国家主席の中東歴訪が始まりました。19日にリヤドに到着した同主席は、サウジとイランの間の原油販売競争の真っ只中に身を置くことになります。原油輸出は中東地域経済の中核です。

 中国はサウジとイランからの原油の最大の輸入国です。サウジとイラン両国はシリアやイエメンでの紛争などで対立してきました。サウジがイスラム教シーア派指導者ニムル師を最近処刑したことをきっかけに、テヘランではサウジ大使館が襲撃され、サウジはイランとの外交関係を断絶しました。

 核開発プログラムをめぐる西側のイラン制裁解除を受けて、イランは原油輸出を日量50万バレル増やす準備をしています。イラン当局者は、このうち大半を中国に向けることを狙っていると述べました。中国は制裁が実施された過去3年間、イラン産原油を購入し続けていました。ただしその量は減少していました。

 イランのザマニニア石油副大臣は先週末、国営メディアに対し、「中国は制裁期間中、イランにとって最大の購入者だった」とし、「イランの優先課題は市場シェアを取り戻すことだ」と語りました。

イランはまた、制裁中に欧州で失った市場シェアを取り戻すための動きも19日開始し、欧州大陸の大半向けの原油価格を引き下げました。サウジが今月同様の措置をとったのに続く動きです。

 習主席の中東訪問は、中国と同地域との関係発展が背景にありますが、折しも中国の石油需要の減少の兆しが世界的な石油価格戦争をエスカレートさせる雲行きです。サウジ訪問の後、同主席は20日夜にエジプト入りし、2日間滞在した後、イランに向かう予定。

 サウジとイランが直接的な戦争状態に突入すると見る人はほとんどいません。しかし中国は両国が最近の激しい言葉の応酬を抑えるよう強く求めています。2015年1-11月の中国総輸入量の4分の1近くを占めたのが両国だったのです。

 野村ホールディングスのアジア太平洋地域石油・ガス調査ヘッド、ゴードン・クワン氏は、習主席は地域的な地政学的安定にコミットするとの誓約をサウジとイランから取り付けたい考えだと述べました。中国はこの地域に大きく依存しているだけに、供給が混乱すれば中国経済にとって破滅的になりかねないといいます。

クワン氏は「中国は、中東における緊張、とりわけサウジとイランとの間の緊張がエスカレートし続けないとの再確認を求めている」と述べました。

 中国経済が一層鈍化すれば、サウジとイラン両国間で経済競争が生じる恐れがある、と石油市場関係者は言います。中国は依然として世界の需要拡大のエンジン役ですが、調査会社バーンスタイン・リサーチは今週、今年の中国の総石油需要が約3%増、つまり日量30万バレル増にとどまり、昨年の約5%増から鈍化すると予測しました。

 サウジは長年、中国からの安定した需要を享受していましたが、中国の石油輸入は現在、ロシアやイラク、そしてその他生産国からの方がはるかに急速なペースになっています。石油価格の下落はサウジ経済を動揺させており、サウジ政府はガソリンやその他エネルギー製品向けの国内補助金を圧縮せざるを得なくなったのです。また米国との長年の同盟関係は、米国主導のイラン制裁解除合意によって試されています。

 サウジのサルマン国王は、2014年3月に皇太子として中国を訪問しており、19日午後には習主席のリヤド到着を先頭に立って歓迎しました。サウジは中国企業との協力による石油精製所建設を通じて中国との関係強化に努めてきました。サウジ国営石油会社アラムコは、中国石油天然気集団(CNPC)との間で日量26万バレルの石油精製所を雲南省に建設する話し合いを長年してきました。アラムコはまた、CNPCの精製所に出資し、リテール資産を取得することも話し合っています。

 一方、イランもまた、中国との関係を構築してきています。イラン石油輸出連盟の役員ハミド・ホセイニ氏によると、イランは制裁期間中、自国のタンカーが能力を超えたのを受けて、余剰となった液化天然ガス(LNG)の一部を中国の大連港で貯蔵していました。

 西側メジャー(大手石油資本)が2010年にイランから撤退して以降、中国の石油会社はイランで操業し続ける唯一の外国プレーヤーの一角だったのです。イランの石油当局者によれば、中国石油化工集団(シノペック)はイラン石油省が増産開始を直接指示した油田オペレーターの一つだといいます。(ソースWSJ)