マックンのメモ日記

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大手米銀株がなぜボロ株のように扱われるのか!

2016-01-20 11:55:24 | 経済・金融・投資
米大手金融機関の株式は、悪材料で株価が数セントに暴落し乱高下する「ボロ株」のように取引されるべきではない。しかし新年入りしてようやく2週間という現時点で、大手銀行の株価のほとんどが10%超下落しています。

 KBWナスダック銀行株価指数は年初来で13%落ちました。大手保険会社の株式も同様で、メットライフが13%、プルデンシャルが15%、それぞれ1月に入って値下がりしています。

 シティグループは15日、事前予想を上回る10‐12月期決算を発表したものの、株価は一時7%近い大幅安となりました。今年に入ってこれまでに19%下がっており、一株当たり純資産(BPS)より40%近く割安に取引されています。

 ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカの各行も株価がBPSを下回っています。ただ、15日にやはり事前予想を上回る決算を発表したウェルズ・ファーゴも株価は下げましたが、まだBPSは上回っています。もっとも、オプションの現時点での価値を示す本源的価値に対するプレミアムは12月以降、大幅に下落しました。

 とはいえ、各行とも状態がひどいというわけではありません。自己資本はここ数十年で最も手厚くなっています。当局による検査もかつてなく厳しくなっており、ストレステスト(健全性審査)では、大手行は世界的な厳しいリセッション(景気後退)が起きても現在の配当を維持できるであろうとの結果が出ました。

それではなぜ一部の金融機関の株価が、市場の平均的な下落率を上回って値下がりするのでしょうか。

 市場の混乱時には、経費節減とリスクへのエクスポージャーを管理して単に利益を出すだけでは足りないのです。投資家は資本コストをかろうじて上回る利益が、良い買いの理由になるとは考えません。それを達成できなければなおさらです。

 言い換えれば、成長株を物色している投資家にとって銀行株を売却することは非合理的ではないのです。米大手銀の株式を買うことは米国および世界経済に対する投資とも言えます。企業業績が2四半期連続して不振となるなかで、銀行株はうま味のある買いとはなりません。

 コモディティー(商品)相場の下落や中国経済の減速懸念が一部の投資家にはこの傾向をさらに悪化させています。例えば、新興市場国の成長に対する疑念は、世界各国へのエクスポージャー比率が他行より高いシティグループの株価により悪影響を与えました。実際、多くの投資家はシティ株を米国の経済成長予測を表す指標としてみています。このため原油安や中国の減速からのリスクを限定的にしたいと考えるポートフォリオ管理者がシティ株を売るのは自然なのです。

この急落に反射的な売買が作用しているのは間違いありません。大量売却によって銀行の企業価値が脆弱になるにつれ、投資家は将来の利益見通しをさらに引き下げ、それがまた銀行株価を下押ししています。ボラティリティ(価格変動)がボラティリティを生むといった状況です。

 この状況に何か救いは見い出せないのでしょうか。大量売却は、銀行の破たん懸念からではありません。投資家が、銀行の置かれた状況が直ちに目に見えて好転はしないだろうとの考えからです。

 これは投資家にとってはわずかな慰めかもしれませんが、それでも慰めではあります。そして買いの好機がすぐ訪れる可能性があることを意味しています。(ソースWSJ)