あとだしなしよ

Japanese text only..
落書きブログです。
報道記事の全引用は元記事消去への対応です。m(__)m

独立愚連隊

2007年08月18日 | 日本映画
独立愚連隊
1959年、昭和34年、東宝
監督:岡本喜八
出演:佐藤允、雪村いづみ 、上村幸之、中谷一郎、三船敏郎

雪村いづみは元白衣の天使でチヤホヤされていたが、佐藤允と恋仲になりキズものになった為に扱いが悪くなり、ヨナヨナマワサレテシマウ従軍慰安婦となってしまい、中国戦線を軍と一緒に帯同しているというサモアリナンな役柄。戦前は男女平等なんてものではなかったワケだろうから、男の憧れの対象からハズレた女の人は大変だったのであろうか…なんとなく西部劇を思わせるヒーロー像がスガワラブンタ的なキャラの佐藤には見られる。最前線にある独立愚連隊と呼ばれる、老兵が多く所属する、捨て石のような部隊が物語の中心になる。ここで起こった殺人事件の犯人探しのミステリーが主題となる。他に中国での日本軍の描写が、今から見ると真実味のある描かれ方なのだろうかとも感じられ、見所のひとつとも思えた。雪村嬢の悲劇の恋も物語の中心であるが、全体的に言えばツーカイゴラク映画に分類される感じであった。。最後のウンカのごとく押し寄せる中国軍との戦闘シーンは迫力であり、この時代はホンモノの戦争を知っている人がお客であり、制作者であったろうから、ここに描かれた中国戦線もそれなりに事実も描いているのであろうか。。アタマがヘンなった将校を演じるこの三船敏郎は有名だったらしい。

赤い殺意

2007年06月28日 | 日本映画
赤い殺意
1964年、昭和39年、日活
監督:今村昌平
出演:春川ますみ、西村晃、露口茂

舞台は冬の仙台。東京オリンピックの年だが、東北本線では蒸気機関車が走る。バサマ達の会話から、前時代的なノロイや風習などがまだ残っている田舎の物語だという印象が与えられる。「わだしって、どしてこんなフシアワセなんだろう」と言う主婦が主人公。この主婦はおそらく、もと寄生地主であったであろう比較的大きな家のおめかけ腹の娘で、幼い頃から本妻にいじめられていた。その本妻の息子におそらくムリヤリやられて子供ができたため籍も入れてもらえず一緒に暮らしている女である。で、この主婦がほっそりした薄幸美人タイプだと映画のタイトルどおりの悲劇とサスペンスになるのでしょうが、春川ますみさんはジャイ子的(ゴメンナサイ!)健康肉体美なので悲劇になりきらず、どこか抜けててユーモラスな今村重喜劇にぴったりとハマった気がする。キャスティングが大成功という感じでした。その主婦の家に包丁をもった強盗がしのびこんでドラマは始まる。その強盗犯の露口茂(太陽に吠えろのヤマさんの若き頃ですな…)さんは心臓にヤマイがある元ジャズトランぺッターで夢破れたまっくらな役で、彼女に対して強盗と強姦と暴行と恐喝と恫喝を行う。彼女を暴行しようとして、必死の抵抗をする彼女に、"アイロンを顔につけるぞ"と脅し、そのおびえた顔がアイロンに映ったシーンはとても印象的だった。以来彼女に情が移ったこの男はしつこく彼女につきまう。自分を主張できない春川さんは苦しみのあまり自殺未遂を何回も繰り返すという筋で話が進んで行く。そのなかでも、春川さんと強盗犯の汽車でのもみ合いのシーンは、まさに迫真の演技といった感じで良い場面だと思いました。また、春川さんが列車から暗闇の中に落とされて宙を舞いスクリーンのヤミに消えて行くシーンは、“2001年宇宙の旅”でHALの制御する宇宙艇に突き飛ばされて宇宙空間を舞うゲーリー・ロッグウッドのようで印象に残るシーンで、どうやって撮影したんだろうと思いました。メガネオンナの交通事故のシーンでは、監督のこの女への悪意…というより殺意が感じられ少し驚きましたが…強い女に成長するという物語だという話ですが、そうは強くなったとは思えませんでした。彼女の性格に合った、彼女なりの強さなのだろうか…東京の娘が自分のことを“アタイ”と言っていた。最近聞かなくなったけれどそうでもないのかな。

第38回(1964年度)キネマ旬報ベストテン 第四位


愛怨峡

2007年06月24日 | 日本映画
愛怨峡
1937年、昭和12年、新興キネマ
監督:溝口健二
出演:山路ふみ子、河津清三郎(相方)、清水将夫(若ダンナ)

夫婦漫才が出てくる。おそらく吉本興業と思われ、地方興行は徒歩で移動し、リヤカーで芸人が芝居小屋を運ぶという過酷なもので、むろん弁当はなく“ひからびちまう!”という伝統のものだ。オソロシヤ、ムゴか。映画中の夫婦漫才は今から見てももう完成していて、戦前のこの時代からあの様式は確立していたことがわかり、漫才史をしる貴重なフイルムとも言えるだろー。
スジは、信州は長野の旅館の大卒の跡取りムスコが、シヨシヨした女中に手を出しはらませ、東京へ駆け落ちするも、ムスメを外に出し自分は仕事を探さず部屋でゴロゴロしているというよくある話だ。そこへ信州から家父長制度ギンギンのオヤジがくると、ワンコのようにキューンと従いむすめをおきざりに田舎にすっこんでしまう。あわれなムスメは残されたお金をもとに、ぼうやを産み、ぼうやを乳母に預けて東京での生活を始めるのだ。しかしやはりそれは世の常でぼうやの為、お金のため、エンヤコラと、キャバ嬢に身を落とした?彼女は、かつてのシヨシヨむすめではなくなり、キャバキャバのキャバ嬢となって、たくましく成長した姿でスクリーンに現れるのだ。その後、知り合いだった元無声映画のバック音楽を奏でていて今はしがねえナガシと彼女は、“お前もどこかに、売り飛ばされるよ!”と母親から聞いていた親戚のハナシに乗り、吉本興業に売り飛ばされることを承諾し、夫婦漫才を始めることとなるのダ。ぼうやをとりもどした彼女は、前述の死の巡業を行いながら、ふるさとの信州へ帰ってくる。自らの身の上をハナシにしたマンザイを演じる彼女とナガシ。こんどはボケ役でオシャミも弾ける彼女の漫才はうまく、主役の山路ふみ子女氏の芸の深さをジュウブンに堪能できる。それを隠れ見ていたヤローがいる。彼女を捨てた跡取りムスコだ。旅館を継いでいる彼は、彼女によりをもどすよう説得する。「このタンスも、この家も、みんなぼうやのものだよ」などと言うが、裏切られたことを許せない、山路嬢演じるふみはガンと受け付けない。それを見ていたナガシのダンナ。「こどものためには、金持ちのやつと暮らすのがよかろう」と断じ、刃傷沙汰を決行する。彼にすこしほの字だった彼女も、この騒ぎでムスコと暮らすことを決意する。だーが、それを聞きつけた家父長制度ギンギンのオヤジが乗り込んできて、「ゆるさねえ。女中のヨメなんて認めねえ。」とスゴまれると、またもワンコのようにキューンと従い、なにも言えないムスコ。それをみたふみは、“ナニサ!”とただちにこの家を離れ、ナガシのダンナとの夫婦漫才を、それは楽しそうに演じるのであった。これにて幕。

第14回(1937年度)キネマ旬報ベストテン 第3位

楊貴妃

2007年06月21日 | 日本映画
楊貴妃
1955年、昭和30年、大映
監督:溝口健二
出演:京マチ子、森雅之、山村聡、小沢栄、山形勲、進藤英太郎

小沢栄と山形薫と進藤栄太郎のゴーカ悪役スリーショットが見られる:)小沢と山形の取っ組み合いのケンカシーンもあり、貴重なのではないか。この三人の悪役の中、見事に私利私欲の政治を行い戦乱の元凶となる極悪人の楊国忠を演じたのが、われらの小沢栄さんでした。(変なところに注目する私…)でもアクは薄い感じでした。
同時期の新平家物語が今ひとつな感じでしたが、こちらは面白かった。総天然色で映される豪華なセットに衣装とスター達が競演し、お祭りのロケも迫力あり。戦後日本の超大作映画のハシリかと思えた。美しき京マチ子さんは良いです。
日本だと飛鳥時代の話か…豪華な宮中の浴場はギリシャの宮廷のようにも見えた。

これと同じ日にレンタルした映画が全て昭和30年だったのはちょっとびっくり。
BSでやってた“ジャンケン娘”も昭和30年か。

浮雲

2007年06月20日 | 日本映画
浮雲
1955年、昭和30年、東宝
監督:成瀬巳喜男
出演:高峰秀子、森雅之、中北千枝子、木村貞子、山形勲、岡田茉莉子、加藤大介

太平洋戦争中の仏印(フランス領インドシナ)の宮殿での楽園生活から、敗戦後の東京の渋谷界隈での極貧の生活へ。伊豆の温泉街で邂逅し、愛の破局への扉が開き、最後は屋久島、亜熱帯への死の旅路。浮気者の森雅之の陰鬱と、シリアスな高峰秀子とのドロドロの不倫を中心に、岡田茉莉子と加藤大介のアンバランスな修羅夫婦や、ペテン師役の山形薫のイカサマ宗教の教祖にも注目か…ひたすらシリアス。
幸せを感じるのは南の国での高峰秀子の笑顔だけ。能面な岡田茉莉子、病弱な森雅之の妻、戦後の高峰秀子と幸せな女が一人も出てこない悲劇。

六浦光雄の絵のような渋谷でした

第29回(1955年度)キネマ旬報ベストテン 第一位

はじめの男はイカサマ師
ムリヤリ男を知りました
南の国の深い森
妻のある男に惚れられ惚れて
女の喜び知りました
金がなくって米兵に抱かれ
パンパン女に身を落とす
妻のある男の子を宿し
祝福されずに流してしまう
それから体が悪くなる
イカサマ教に囲われ萎えて
疲れ果てて、逃げ出して
幸せくれた、たったひとりの人に
つれていってと最後に願い
南の孤島で事切れた…

血槍富士

2007年06月20日 | 日本映画
血槍富士
1955年、昭和30年、東映
監督:内田吐夢
出演:片岡千恵蔵、島田照夫、加東大介、植木基晴、喜多川千鶴、月形竜之介、進藤英太郎

ほのぼの東海道道中、ホリゾント富士の絶景かな。。
江戸時代の旅ってこんなもんなのかなと思えてくる。
加藤大介と片岡千恵蔵のコンビの槍持ちと荷物持ち。
内田吐夢監督にしたら実にゆる~い感じの話が続き、
旅芸人や身売りの親子、スリ(進藤英太郎)などのエピソードも充実。
月形竜之介さんはめずらしく善玉役。
子役をうまく使い、ゆるゆると終わりそうだが、最後に大立ち回り。
知恵蔵さんは武士ではなく下郎なので槍の使い方を知らなく、
槍を"差す"のではなく、たたいたりがむしゃらに
ぶん回したりして弁慶のようで鬼気迫る。
酒蔵?に穴が空いてどろだらけの殺陣は、
黒い血か泥かわからないという、のちの"宮本武蔵"にも見られる演出。
最後はスクリーンに映し出される東海道の道の真ん中に
槍持ちになることを拒まれた子供が残される。
戦後10年目で平和を望むラストなのだろうか。

第29回(1955年度)キネマ旬報ベストテン 第八位

からゆきさん

2007年05月29日 | 日本映画
からゆきさん
1973年、昭和48年
監督:今村昌平
出演;今村昌平、善道菊代、福田庫八

からゆきさんと呼ばれる明治~昭和初期の東南アジアなどで
強制的に売春をさせられた女性達に対するインタビュー。

メインで出演されていたキクヨさんのしゃべりかたは、
落ち着いていてもの静かなかたのように見え、
卑しいところや、誰かを恨んでいる様子は全く感じなかった。
他の出演者のかたも、あっけらかんとした
明るい女性が多いように見えました。
しかし、その生活に耐えられずに
若くして亡くなったひともたくさんいらっしゃったようで、
やはり生活はきびしいものだったと推察され、
訪れる人も少ないたくさんの墓地が映し出さていた。
当時は、からゆきさんが先兵として
海外での日本人テリトリーを開拓し、
そのあとから日本企業が入っていったそうです。
また、彼女達の稼いだ外貨は
当時の日本の政府や経済界を多いに支えたそうです。
太平洋戦争時も積極的に金品を差し出したことも
あったようです。

当時は貧困が現在の視点では考えられないくらい大きく、
家族が生きていく為にはしかたがなかったこともあったようです。

追記:
からゆきさんとは大きくいえば、海外へ出稼ぎに行く人だったそうで、
男性の場合は“からゆきどん”と呼ばれていたそうです。
男性の場合も大変な目に合わされたそうです。

“福岡から沖縄までの人を集め、これに広島、和歌山の出身者など合計五百余人をのせてメキシコへ送った会社がある。メキシコの銅山募集に対して、坑夫を送るといつわって農民を送ったもので、やはり銅山では農民は受け入れてくれず、武力で追い散らされた。移民会社の責任者が逃げて、おおぜいのからゆきたちがさわいだためである。このとき十人あまりがジャングルに追われて生死不明になっている。
やむなくメキシコ政府によって送り返されることになり、やっと横浜に帰り着いた。ところが東洋移民会社となのるこの会社は、からゆき一同が損害を要求する気配があるというので、外務省を動かし水上警察をとおして、上陸禁止の処置をとった。船中では食料も水も不足して病人も死人もでていた。
「からゆきさん」 森崎和江より引用”

無法松故郷に帰る

2007年05月20日 | 日本映画
無法松故郷に帰る
1973年、昭和48年
監督:今村昌平
出演:今村昌平、藤田松吉、藤田フジ子、藤田藤男

太平洋戦争終了後もタイに残った日本兵の“無法松”こと藤田松吉さんの
帰国時の様子を記録したTVドキュメント。
無法松は戦死したとされ、死亡書類もあったが生きていた。
役所に提出された無法松の死亡時の書類は偽造されたものだったようだ。
タイでは日本の情報が入らず、日本に手紙を出したこともあったが返事がなく、
長崎出身の無法松は原爆で家族は全滅したと思っていた。

印象に残ったことば。

靖国神社にお参りした時…

“ここには戦死者の魂なんてない
 死んだやつの魂は、死んだ場所にある
 海で死んだやつは海に
 空で死んだやつは空に
 炎の中で死んだやつは炎のなかに”

皇居前で…

“天皇陛下万歳なんて言って死んだやつは俺の周りにはいない
 俺は天皇にだまされたんだ
 こんな豪勢なとこに住みやがって
 あんなやつぶっ殺してやりたい”

しかし共に命をかけて戦った中隊長との再会では
ふたりとも涙を流して抱き合っていた。
金と公害で汚れてしまった現代(1973年)のにっぽんに嫌気がさして
無法松はタイに戻っていった。

浮草

2007年04月30日 | 日本映画
浮草
1959年、昭和34年、大映
監督:小津安二郎
出演: 中村鴈治郎、京マチ子、若尾文子、杉村春子、川口浩

ドサ周りの上方歌舞伎一座の話。時代設定も昭和34年だと思われる。
でも歌舞伎じゃなくて女剣劇をしていた。その主役が京マチ子さん。
和服を着ると、このひと誰?と思えるほど上品な印象に変わって、
和服系の人なのかなあと思いました。
あまりに上品なので、なんで鴈治郎とくっついたの?と思えるほどで、
もう少し下品な感じがでたほうが、役所としては正しいのかなと思いました。
でも、美しいから良いです。
鴈治郎さんとの有名?な雨の中の言い合いのシーンは良かった。
宮川一夫が小津アングルを撮っているのもなんだかミョウで、
出演者のメンツからか、溝口健二ぽい雰囲気がした。(大映だし…)
若尾文子と川口浩の愛が燃え上がる接吻の後のシーンチェンジで、
蒸気機関車の音が入っていたりして、
小津監督もこんな演出をするのかと思いました。
前時代的なものが、お話の中にチラチラと見えて、
のんびりとした音楽とは裏腹に時代の変わり目で
消えてしまいそうな旅芸人のキビシイ生活も見えたりした。
芸達者の役者さんたちを見ているだけでも面白いです。

壬生義士伝

2007年04月11日 | 日本映画
壬生義士伝
2003年、平成15年
監督:滝田洋二郎
出演:中井貴一、村田雄浩、中谷美紀、佐藤浩市、三宅裕司

新撰組の吉村貫一郎の話。彼は盛岡出身だそうで、彼が自慢していた川や山も実際見たことがあるのですが、その川には今でも鮭が帰ってくるのだそうです。

東北地方に行くと薩長に殺され、賊軍にされた人達の慰霊碑をよく見かけました。映画では薩長側は機関銃のような連射式の銃も使用して、新撰組は刀と一部旧型の銃を使用していたようです。結局武器の差で勝敗がついてしまった戦争だったようですね。あと天皇を見方につけたのが政治的に言えば大きいのかな。。薩長の軍事クーデターで徳川幕府が倒れて悪夢のような弱肉強食の明治時代が始まってしまって、変なのが政権を握ると世の中メチャクチャになってしまうという世界史でも最悪に近い現実だったと思っています。
京都の街頭のシーンは太秦の撮影所で撮ったのだろうかとか、新撰組が遊んでいた島原の遊郭は角屋なのかなあ、見に行ったら閉まっていたなあなどとボンヤリと見ていました。。
映画とは関係ありませんが、盛岡の川の近くのわんこそばやで食べたカツ丼はマイベストと言えるほど美味しかったです。二階建てともいえるカツのボリュームと柔らかさ…ああ、また食べたい…


宮沢賢治もこのあたりで思索したりしたようですね。
川と銀行
木のみどり
町は静かに
たそがるる

賢治




でんきくらげ

2007年02月24日 | 日本映画
でんきくらげ
1970年、昭和54年、大映(東京撮影所)
監督:増村保造
出演:渥美マリ、川津祐介、永井智雄、玉川良一、西村晃

ものすごいタイトルの一作。渥美マリさんのブコツな感じのセリフ回しは一度見たら忘れられないだろう…母一人子一人の不幸な家庭のお話。。。母親のヒモみたいな男(玉川良一)に処女を奪われ、それが原因で母親はその男を包丁で刺し殺し刑務所へ…娘は水商売に走り、我が身を売る転落人生が始まる…後に水戸黄門を演じる西村晃さんが銀座のキャバレーのオーナー役で、存在感アリ。元弁護士が話の鍵を握るも、おんなはおとこの裏切りを許さない…ダンナの遺産をモノにして『世の中で信じられるのはカネさ…おかあちゃん、二人で幸せに生きようね…』という倒錯したハッピーエンド…酒場で流れる歌は青江三奈の「恍惚のブルース」「伊勢佐木町ブルース」。昭和のニオイがプンプンする作品でやす。
思わず“東京12チャンネル”と言いたくなるテレビ東京の深夜2時55分のオンエアーでやんした。ありがとうございます。

丹下左膳余話 百万両の壺

2007年02月22日 | 日本映画
丹下左膳余話 百万両の壺
1935年、昭和10年、日活(京都撮影所) 
監督:山中貞雄
出演:大河内伝次郎、喜代三、沢村国太郎

丹下左膳でがす。『タチマチ起こる剣劇のひびきー♪』のチャンバラ映画ではなくお江戸のホームドラマになってました。もっと血も涙も無い左膳を期待していたので、個人的には残念でした。チャンバラシーンはほとんど無くてやっとチャンバラしたかと思ったらすぐに終わってしまいました…フィルムを切ったのはGHQの陰謀???か…こういう左膳があるのは知っていたのですが…大河内伝次郎の丹下左膳は出てくるだけでムムッとくる迫力があるので、問答無用にバサバサと切り倒す左膳はさぞかし迫力があったと推測できました。伊藤大輔監督の新版大岡政談とかを見れば良いのかな…ミタイ…でも、お話はよくできていて、用心棒の左膳とおかみさんの掛け合いが夫婦漫才的で、可笑しかった。セットで作った江戸時代の町も面白かった…ロケは京都の街かなあ…沢村国太郎が加東大介に似ていると思っていたら、お兄様だったか。そんな話を聞いたことがあったな…

続姿三四郎

2007年02月19日 | 日本映画
続姿三四郎
1945年、昭和20年
監督:黒澤明
出演:藤田進、大河内伝次郎、月形龍之介

明治時代中期の柔道家、姿三四郎の話。前作の柔術家との戦いに引き続き、今回は空手家との戦い。太平洋戦争時の作品としてはプロパンガンダ性が少ないような気がした。三四郎の戦いは今でいう異種格闘技戦が主でアメリカ人ボクサーとの戦いもある。空手家役のまだ若い月形龍之介さんとその弟の河野秋武さんが良い味を出していた。今回の一騎打ちのシーンは雪の中で、このシーンに関しては風の中の前作の方がよかった気がしましたが、どことなくユーモラスな戦いです。最後、いかにも悪役とった空手家と三四郎が打ち解けるという珍しい展開で、むしろこのあたりに戦時中を感じたりした。役者の動きに音楽があわせてあったりして、カワイイ演出あり。黒沢映画の女性はこの頃から紋切り型のお姫様やお母様な感じがした。大衆娯楽作品といった感じの作品。

ところでこれはGoogle Videoで見ました…青空文庫の映画や音楽版も作ってほしいなあ。明治、大正の歌とか、手軽に聞きたいなあ…著作権が消滅しても値段据え置きなのかなあ。。

愛染かつら

2007年02月12日 | 日本映画
愛染かつら
1939年、昭和14年 松竹大船
監督:野村浩将
出演:田中絹代、上原謙、水戸光子、桑野通子

戦前に大ヒットした映画だそうなのでどんなものか見てみた。ヒロインのまだ若い田中絹代がいきなり子持ちの戦争?未亡人で登場して驚いた。(平井英子みたいな娘が「ママちゃん」と呼んでいた。)ヒロインは看護婦で勤め先の病院の跡取り息子と恋仲になったが、独身でないと看護婦になれないため子持ちであることを隠して働いていた。「ああ、まさかあの人が私を慕って下さるとは…でも子供がいることが知られれば、病院を辞めなければならないかも…娘との生活も守らなければならない…」彼女は真実を彼に打ち明けることができるのか…二人の運命はどーなるのでしょうかーという話でした。この息子が上原謙で男前だし学も人望もあるというイイオトコ。なんだか少女漫画みたいだったので調べてみたら、原作は婦人雑誌に連載されたそうでなるほどなあと思いました。女性の夢は今も昔もそう変わらないみたいだ…田中絹代さんは最後にはレコード歌手になって、帝国劇場?でソロコンサートまでしまうという徹底ぶり。。アメリカ帰りの娘役の桑野通子さんがドラゴン柄の洋服を着ていてワイルドでぶっ飛んでいてかっこ良いと思った。
病院の婦長さんの口調が面白くて「キットですよ、キットですよ、キットですよ。」と約束をせまっていたのがミョウに心に残ったのでした…

女衒

2007年02月12日 | 日本映画
女衒
1987年、昭和62年、東映
監督:今村昌平
出演:緒形拳、倍賞美津子、熊谷真実

成人指定
女衒(ぜげん)は、主に若い女性を買い付け遊郭などで性風俗関係の仕事を強制的にさせる人身売買の仲介業である。歴史は古く古代からこのような職業が存在していたと考えられ、現在でも海外では半ば公然と行われているところもある。
From WikiPedia
明治時代に女衒で財を成した村岡伊平治の一代記。明治時代に近代化されたのは物質文明(兵器、工業)で、藩閥政治のほぼ独裁政権の下で、民主主義でもなければ女性の人権など無いに等かったと聞きます。政府に逆らうものは人間では無く、犬畜生にも劣るものだという感じだったのでしょうか…今村監督は「人の隠したいことを描くのが映画監督」と言ったそうですが、まさにそんな内容の映画でした。今こんな映画を作ろうとするとアンポンタン・ポカン党のアベサンとかナカガワサンが恫喝に来そうですね…怖い…タッチとしては「にっぽん昆虫記」の男版といった感じのコミカルな作品で、女性の描き方や村岡の愚かさを全面に打ち出しているので悲惨さはそれほど感じられませんでした。エピソードで明治時代の軍人が、女性をロシアへスパイさせるときの口実で「女郎などは、犬猫より劣るものである、が、あれも天皇の赤子であるから、帝国の捨て石にならなければいけない。したがって、仮に命を落とそうとも、それは名誉なことである。」と言っていた。悪事が善事に‥「むしろ良いことをしてる」にひっくりかえる。この女性は結局ロシアにスパイがばれて見せしめに惨殺されてしまう。この軍人を師と仰ぐ村岡伊平治は、天皇陛下の為、お国の為にと女衒業を拡げていく…

からゆきさんの小部屋