あとだしなしよ

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『薔薇の名前』

2010年03月14日 | 

「それらの都市国家の王が商人たちなのだ。そして彼らの武器はたるや貨幣だ。イタリアにおいて貨幣が持っている役割は、おまえの国やわたしの国とは違っている。たしかに、あちらでも貨幣は至るところに出まわっているが、日常生活の大部分を支配し律しているのはまだ物々交換だ。鶏、麦の束、草刈りの鎌、荷車。あちらで貨幣が役立つのは、こういう個々の品物を手に入れるときだ。ところがこちらでは、すなわちイタリアの都市では、おまえも気づいたであろうが、貨幣を手に入れるために品物が役立っている。そして司祭や司教たちはおろか、修道会さえもが、貨幣で支払いを済まさねばならない。もちろんそこに原因があるのだ。権力への反抗が清貧への呼びかけとなって現れてくるのには、貨幣の流れから排除された者たちがその担い手となるのには。清貧への呼びかけがつねに緊張と論議を呼び起こしていくのには、そいて司教から行政官に至るまで都市全体が過度の清貧を解く者をおのれの敵と感じてしまうには。悪魔の糞の臭いに反抗する者たちが出たところに、異端尋問官たちは悪魔の臭いを嗅ぎとろうとする。」
バスカヴィルのウィリアム修道士(「薔薇の名前」より ウンベルト・エーコ著)

資本主義への最初の抵抗か。

-- 『薔薇の名前』(ばらのなまえ、イタリア語原題:Il Nome della Rosa)は、ウンベルト・エーコが1980年に発表した小説。1327年、教皇ヨハネス22世時代の北イタリアのカトリック修道院を舞台に起きる怪事件の謎をフランシスコ会修道士バスカヴィルのウィリアムと若きベネディクト会修練士メルクのアドソが解き明かしていく。 <Wikipedia>