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T-SQUARE 年末ライブのことなど

2023年01月03日 | ときどき音楽
 毎年年末のT-SQUARE(正式にはT-SQUAREα本稿ではスクエアと略)のライブですが、昨年末も東京公演に出かけてきました。神戸で5日間の公演があった後、30、31日が日本橋三井ホールでの公演ということで、2022年は前年から一日増えて2日間となりました(1月4日訂正。当初3年ぶりと書きましたが、2020年末は2日間開催でした。失礼しました)。
 今回のライブはT-SQUAREαXと題しておりまして、1991年~97年まで在籍していた管楽器の本田雅人さんが復帰、末尾のエックスはサックスが二人という意味が込められているようです。
 本田さんについては退団後ほとんどスクエアの公演には出演しておらず、〇〇周年といったライブでも1998年の20周年が最後となっています。ファンの中には90年代と言えば本田さん、というイメージがあり、今回の二日間の公演もソールドアウトということで、待っていた方も多いと思います。
 なお、30日はギターにYUMA HARA、ベースに森光奏太、キーボードに白井アキトといったサポートが、31日にはギターに外園一馬、ベースに田中晋吾、キーボードに松本圭司の面々がサポートに入り、メンバーの伊東たけし(SAX、EWI)、坂東慧(ドラム)を支える形での公演となりました。サポートの面々はレコーディングに、ライブにと関わっている方たちで、同じ曲でも味付けがまた変わってきますので、それも楽しみました。
 ライブの始まりはサックス二人の「MEGALITH」でスタート。本田さんが加入した際のアルバム「NEW-S」のオープニングを飾る、代表的なナンバーです。これで観衆は一気にヒートアップ、その後「夜明けのヴィーナス」(1994年「夏の惑星」より)も演奏され、ここではウインドシンセサイザーに。伊東さんはEWIを、本田さんは「NuRAD(ニューラッド)」と呼ばれる新しい形の楽器で演奏です。二つの曲とも伊東さんが戻ってからよく演奏されていますが、二人そろってスクエアのステージで、というのは初めてですので大興奮です。確かお二人とも学生時代に山野楽器のビッグバンドコンテストで最優秀ソリストだったと思いますので、20代から第一人者だったわけです。ちなみに両日とも本田さんは真っ赤なステージ衣装と帽子ということで、これは還暦のお祝いだそうで、某有名ブランドのものでファンからのプレゼントとのこと。スクエア時代の若いイメージがあるものですから、還暦という言葉が出ると自分も年を取ったなあと思います。
 ライブは両日とも、伊東さんが残ってのコーナー、その後本田さんと交代してのコーナーと続き、前キーボーディスト河野啓三さんを招いての演奏もありました。河野さんの二枚目のアルバムが先日リリースされ、両日二曲ずつの演奏でしたが、メンバーをフィーチャーした曲で良かったです。
 もともと「本田さんの復帰」については昨年の神戸でのライブの打ち上げで出た話で、本田さんにその場で電話をして(出演者がかわるがわる話したらしい)その際にご本人は「みんなが酔った状態の冗談だろう」くらいに思っていたそうですが、翌日正式なオファーの連絡があったそうです。まずはアルバム「WISH」でのレコーディング参加からスタートしています。ライブでも「WISH」の参加曲「As you wish!」が披露され、二人のサックス、とてもきれいなサウンドでした。
 年末ライブの選曲ですが、当然本田さん在籍期の曲ということで「夏の蜃気楼」、「BAD MOON」(いずれも「夏の惑星」より)、「Just like a woman」(「HUMAN」より)、「Little league star」(「NEW-S」より)と懐かしい曲が続きました。「夏の蜃気楼」は1994年のツアー(東京公演)でも聴いていて、好きな曲なので懐かしかったです。「BAD MOON」、聴く方にも難しいというか複雑な曲でして「安藤さんや和泉さんの曲は放っておいてもエレクトーンの教本に載るし、(和泉さんの)Omens of loveや宝島のように吹奏楽でみんな演奏してくれる曲もあるけど、メガリスとかBAD MOONじゃ吹奏楽でもやってくれない」とご本人もこぼしていました。でも、その複雑性やハイパーなプレイがまた「本田期のスクエア」なわけで、それをスクエアのステージとして久々に聴くことができるファンは幸せなのです。
 他にも1989年のアルバム「WAVE」から「Love for spy」や「Big city」といった懐かしいナンバーも演奏されました。たぶん聴いている我々も1990年代のライブ会場に気持ちが戻っていたのではないかと思います。年末ライブの選曲は坂東さんが担当されたそうですが、坂東さん、小学生(!)の時にエレクトーン教室の先生に連れられて「本田期スクエア」のライブを観に行っており、その時のイメージが反映されているようです。
 31日は終盤からサプライズで98年~2000年の管楽器奏者だった宮崎隆睦さんも登場!なんと三人のサックス奏者による豪華な演奏となりました。三人が揃うのも1998年のデビュー20年の日比谷野音のライブ以来なので懐かしさと嬉しさで一杯になりました(確かあの野音も雨降ってたなあ)。年末ライブでは定番の「Japanese soul brothers」で大いに盛り上がり、アンコールは「宝島」と「Truth」(30日)、「Omens of love」と「Truth」(31日)というおなじみのナンバーでした。「Truth」の河野さんのシンセソロも好きなので、聴くことができて嬉しかったです。
 そして本田さん、MCでもたくさん話されているのには驚きました。昔は「スクエアだと横に良くしゃべる人(須藤さんや和泉さんのこと)がいて任せられたけど、自分のリーダーライブではそうはいかなくて・・・」と言っていましたが、ご自身のリーダーライブもずっと続けていますし、配信等で「話す」ということには長けており、それが表れているのかなと思いました。
 両日でサポートのメンバーが変わりましたが、30日のYUMA HARAさんに関しては、本田さんがスクエア在籍以前、音大の学生時代に在籍された「原信夫とシャープス&フラッツ」のリーダー、原信夫さんのお孫さんにあたりますので、同じバンドでお孫さんと共演できて感慨深かったようです。YUMA HARAさんの流れるようなギターソロが聴けて良かったです。また、もう一人のギター、外園一馬さんは、ライブで拝見したのは初めてですが、ご自身の活動以外にもこれまでに多くのミュージシャンのサポートをしてきただけあってか、スクエアにもなじんでいて、力強いソロも含めて魅せるサウンドという感がありました。こうして見ると当日のミュージシャンのうち、年上は伊東さんと本田さんだけで、あとはみんな私より年下であり(宮崎さんはちょうど同年代、松本さん、河野さんは比較的年齢が近い方にあたりますが)、若手も含めて素晴らしい演奏を見られたのは大満足でした。
 今年はデビュー45周年という節目の年に当たっており、今年もさまざまな企画が用意されているとか。昨年も好評だった和泉宏隆さん関連のライブに今年は本田さんも参加されるそうで、こちらもチケット争奪戦が大変そうです。まさに「プレ45年」な大晦日のライブ、時間も両日とも3時間超えとなるボリュームたっぷりな内容でした。あの頃は下手をしたらバラード以外はほとんど立ちっぱなしでしたが、今は(私も含めて)みんなおとなしくなりましたねえ。以前「閉演後にトイレが開いてなくて問題」をここで書いたせいなのかは分かりませんが、当日は閉演後もトイレが開いていますとの年寄りには嬉しいアナウンスもありました。もともと本田期スクエアは長時間のライブが多かったのですが、17時スタートで3時間超えですとそのあと開いているお店でご飯を食べたくても仕舞が早く、家で食べた大晦日はともかく、30日は結局職場の近くの店なら三越前から近くて開いているかも、ということで御用納めの後だというのに会社の近くを歩いて、美味しいごはんを食べました。大晦日はいっそのことカウントダウンでもよかったのではないかとも思ったのですが、東京メトロが終夜運転を取りやめていますので、帰りを考えると夕方始まりで良いのでしょう(長くなるのであれば16時スタートでもよいのですが)。
 伊東さんはずっと「化石」とあだ名された初代EWIをライブで使っていましたが、なにせヴィンテージ楽器ですので替えが利かないということもあってか「僕もNuRAD練習します」と言っていました。NuRADはi-Padやi-Phoneにアプリを入れることで音が鳴るようにできているそうで「これであなたも本田雅人」はさすがに無理にしてもその手軽さも興味深いところです。東京では西武新宿ぺぺの島村楽器がたくさん取り扱っているとか。私も西武新宿ペペは時折使いますが、そういえば何年か前にEWIのイベントを西武新宿ペペの屋外でやっていて、いかんせんなじみのない楽器ですので、一般向けにEWIとはこういう楽器ですよ、というところから、女性の奏者が演奏しているを見たことがあります。大柄な伊東さんが持つと分からないのですが、EWIって意外に長く、大きいので、それに比べると小さなNuRADは取り回しがしやすい、というのも本田さんが気に入っている理由のようです。左右の同じ高さについたボタンを押すような構造なので、両手で持った姿がカニのようにも見えるのですが「F1マシンのカラーリングだってそのマシンが強くなるとかっこよく見えるように、この楽器がかっこよく見えるように演奏を続けたい」と本田さんは言っていました。EWI(昔はリリコンと言ってましたが)も初めて目にしたときは「きれいな音が出る変わった笛だな」と思っていたのが、スクエアを象徴する楽器にもなりましたから、NuRADも珍しくなくなる日が近いかもしれませんね。
 ということでライブと同じく長くなりましたが、ライブレポートでした。今年もいい音楽と出会えますように。
 画像はスクエアからのお年玉、待ち受け画像です。


1月4日に一部訂正しました。
 
 
 
 
 
 




 
 
 
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