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工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

50周年を迎えたスマイル プレイモービル・デビュー50周年

2024年02月03日 | 玩具道楽
 前回、F-15のキット化50年の話を書いたばかりでしたが、本ブログでしばしばご紹介しておりますドイツの玩具「プレイモービル」も1974年2月2日にニュルンベルクのトイフェアでお披露目されてからちょうど50年ということで、本国のSNSでも動画でお祝いとなっておりました。さまざまなジャンルのプレイモービルの人形たちが「初代」の人形をお祝いするというコマ撮りアニメになっていて、最後は一同で記念撮影という内容でした。
 プレイモービルはドイツのジオブラ・ブランドスタッター社(ジオブラ社と本稿では略)の製品です。ジオブラ社はもともとプラスチック製品を得意としていて、戦後は電話機、水上スキー、フラフープ、子供の学習机などを生産していました。ところが、70年代に入ってオイルショックで会社の経営が厳しくなります。ここからのストーリーはNHKでやっていた「プロジェクトX」のような番組が彼の地であれば必ず取り上げられそうな話なのですが、同社の玩具デザイナー、ハンス・ベック氏がプラスチック製の子供のおもちゃとして小さな人形に着目しました。コンセプトを練り上げ、デザインし、パーツを決めていったそうです。目と口だけのシンプルな顔の表情も「子供が描く人の顔は目と口だけ描かれていることが多い」というところからヒントを得たようです。構想段階では特徴のスマイルだけでなく、怒った顔なども考えていたようです。また、脚も片脚ずつ動かすことも考えたようでしたが、結局そこまでのギミックとはなりませんでした。1974年のトイフェアに出品したところ、オランダのバイヤーが興味を示したことを皮切りに、短い間に人気商品となりました。類似商品が生まれて訴訟沙汰になったり、東欧チェコで似たような玩具(イグラーチェク)が生まれたりしています。
 日本では早いうちからこの人形のあだ名「クリッキー」を用いた「クリッキー坊や」の名称で売られていたようですし、日本法人の「日本プレイモビル」が販売を行っていたこともありました。80年代には明治のスナック菓子のおまけだったということもあり、一定の年齢の方はそこで出会っているようです。エポック社や増田屋、アガツマといったおもちゃメーカーが代理店になっていた時期もありましたが、アガツマの撤退後しばらく代理店がいない時期を経て、最近ではホットトイズジャパンが輸入しているほか、ドイツから直輸入により売られている商品もあるようです。
 私がプレイモービルを買うようになったのは2007年のことですから、さすがに初代の製品などは入手できることはなく、専門店のプレモランドさんなどで展示されているのを見た程度でしたが、中古品やどこから出てきたのか未開封の古い製品などを入手したことがあって、その中にはかなり古いものもありました。


初期の製品は腕と手は一体に、脚と靴の区別もありません。足の裏には「1974」、「geobga」の刻印があります。

5センチの子供サイズが登場したのも後になってからでした。手首が360度回転するようになりました。

さらには赤ちゃんも登場します。

髪型や服装などもシンプルなものが多かったのですが、現在はバラエティに富むようになりましたし、表情もさまざまになっています。ばらしにくく、頑丈さを売りにしていましたが、バラバラにばらした状態で売られている「Fi?ures」もあります。かつては「暴力やホラーはやらない。流行を追ったものは作らない」としていましたが、レゴほどではありませんが企業や映像作品とのコラボ(スタートレックからNARUTOまで幅広いです)もさかんに行われるようになりました。独自に映画も作られましたが、残念なことにレゴ・ザ・ムービーほど話題になりませんでした。
 50周年記念でおそらく商品も出ることになりましょうが、私のところにあるのは30周年、40周年のものなどです。

30周年のゴールデン騎士。メッキパーツがふんだんに使われていますので、いつもはパッケージにしまわれています。

40周年の際の騎士セット。左が初代の復刻です。初期の製品群には工事、騎士、ウェスタンなどがあったようです。


足の裏には1974と入っています。金型、残っているのでしょうか。


ジオブラ社は1971年に人件費の安かった地中海のマルタに工場を建設し、以来人形はほとんどがマルタで生産されていると聞きます。ドイツをはじめいくつかの地にプレイモービルの世界を体験できるテーマパークもあります。私もマルタに行ったことがあり、工場見学をさせていただきましたが、とても近代的で大きく、従業員もいきいと働いている感じが見て取れました。ジオブラ社は現在、玩具とレチューザというブランドの植木鉢が主力のようです。デザイナーのハンス・ベック氏も、会社を玩具メーカーとして引っ張ってきたホルスト・ブランドスタッター氏も故人となっており、時代と共にラインナップなども変わっていくことでしょう。個人的にはちょっと昔のシンプルさが残っていた製品が好きでしたが、子供の好みの変化、さらには大人世代への訴求(スタートレックとかA-Team、ナイトライダーなどはまさにそうでしよう)でさまざまな製品が出るようになったとしても、あのスマイルと製品全体が持つ優しさのような部分は残ってほしい、と思います。


参考文献・「Playmobil The story of a smile」Felicitas Bachmann著

 



 

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辰年なのでドラゴンのプレイモービルで

2024年01月08日 | 玩具道楽
 恒例の干支にちなんだ玩具道楽。辰年ということで龍=ドラゴンのプレイモービルをご紹介です。
 私が持っているのはこちら、1995年発売のマジックシリーズ中の品番3840ドラゴンです。

 
 中に入っているのは緑色のドラゴンと馬に乗り、王冠を被った王様です。


 東洋だけでなく、西洋でも古くから龍を題材にした伝説が多くあります。絵画でも「聖ジョージの龍退治」というのはモチーフにされています。
改めてドラゴンをみてみましょう。プレイモービルでは初期の頃から騎士のシリーズなどもありましたが、騎士につきもののドラゴンはこれが最初の製品化だったようです。鎖でつながれているので首、左右の腕(というか翼か)の自由度があまりありません。


 王様はチョビ髭姿。あまり勇敢な感じがしません。


箱のサイドにはドラゴンにくわえられて王様が絶体絶命のピンチのところに馬が捨て身の一撃、というシーンが出ています。


様になりそうな決闘シーンを再現していただきました。


ついでにこちらも。元ネタは12年前にボツにした年賀状の絵柄ですが、今回やってみたくて再びいろいろな方にご登場願いました。

「はいはーい、免許証見せてくださーい」とお巡りさんに止められたのは以前発売されていたスペシャル・品番4643「勇敢な王子」です。「どれどれ、ドラゴン(有翼)は8tまでに限る。はい、ありがとうございます」ってドラゴンに免許証が必要なのかは置いておいて。後ろの建物は品番4400の郵便局ですが、組んでしまうと置き場所に困るのでバラバラの状態で保管しています。このため今回使ったのも入り口付近のごく一部です。よく見ると日本の赤い郵便ポストがありますが、もちろんこれは製品には入っていません。カプセルトイか何かだと思います。
 右奥のパトカーはイタリア国家警察仕様のアルファロメオで、以前ご紹介したカラビニエリのパトカーの色違い、ブラーゴ1/24です。
 無事にチェックが済んで、いざ出発。


 それから数年後・・・

「はいはーい、そこの300SL、止まってくださーい」、「ドラゴンの次はメルセデスベンツ300SLとは、さすが王子様、羽振りがいいねえ」と周囲が噂しているかはともかく、こちらに乗り換えたようです。

 この緑色のドラゴン、その後は色違いも出ていて、赤いドラゴンがありました。中世のお城のシリーズで「悪役キャラ」として出てきます。後年、新しいスタイル、デザインのドラゴンが発売されるようになりました。中には児童文学をベースにした「ヒックとドラゴン」というアニメシリーズとのタイアップもありました。ドラゴンそのものではありませんが、中世の騎士のシリーズの中には盾や兜に龍をあしらったものも出ています。
 
 いつも不思議に思いますが、ドラゴンというのは伝説上の生き物ですが、洋の東西を問わず物語や伝承、民話に出てきたりしています。人類と恐竜に接点はありませんので、昔の人は化石を見ながら過去に思いを巡らせたか、それとも哺乳類のDNAにこういった伝説の動物に対する畏怖の念があるのでしょうか。

海に目を向ければ、タツノオトシゴなどもプレイモービルのセットの中の小物として入っています。タツノオトシゴで思い出しましたが、本題から話がずれてしまい恐縮ですが、こんな話題も。タツノオトシゴとは種も違うシードラゴンという海の生き物がいます。以前、NHK-BSのワールドニュース(世界各国のニュースを同時通訳付きで流している番組です)で放送時間が残るとシードラゴンが海の中を泳いでいる映像がa-haの大ヒット曲「Take on me」をバックに流れておりました。あれ以来、a-haのあの曲を聴くとシードラゴンが結びついてしまいます。



 










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玩具道楽でクリスマス プレゼビオとプレイモービル

2023年12月25日 | 玩具道楽
 皆様、クリスマスをいかがお過ごしでしょうか。今年はイブが日曜ということもあり、街もにぎわっておりました。我が家は23日にささやかではありますが、ご馳走をいただいた次第です。
 いつもこのブログで御紹介しているドイツの玩具プレイモービルでもクリスマスをテーマにした製品が多く出ています。今年はこちら、キリスト生誕の光景をジオラマにしたプレゼビオと呼ばれるセットです。我が家にあるのは2005年発売の製品です。

 欧州を中心にキリスト生誕の光景を人形で飾り付ける風習があり、クリスマス時期になると人形などが売られていると聞きました。プレイモービルでも紙製の背景、建物とともにマリア、ヨゼフ、キリストらこの物語の主人公たちが入っています。

 動物も牛やらばなど、豊富に入っています。

 聖母マリアとキリストです。


 聖ヨゼフとキリストです。


 羊飼いと羊です。


 天使と猫


キリスト生誕の物語が各国語で書かれたブックレットも入っています。



キリスト生誕の後は東方の三博士の訪問も再現できます。乳香、没薬、黄金を携えてやってきました。こちらも2005年発売です。



セットには三博士とラクダが入っています。ラクダに付属のひもを通して荷物をくくりつけたり、ラクダの飾りを作ることもできますが、なかなか手間なので宝物を下ろした姿にしました。
あらためて三博士の姿です。


ラクダもよくできています。


今年はある意味ヨーロッパらしいクリスマスの人形をご紹介しました。我が家には他にもプレイモービルのクリスマス関連の人形などがありますので、また次のクリスマスにご紹介できたらと思います。
プレイモービルというとクリスマス用に専用のカタログなども現地では作られており、ローマシリーズが出ていた2007年頃と思われますが、こんなものがありました。

ローマの四頭立ての馬車に乗るのはサンタクロースです。カタログでは四頭立ての馬車に乗ったサンタがあちこちにプレゼントを配っており、とうとう空港から空に向かって飛び立っています。

離陸許可、誰が出したんでしょうかね(笑)。

クリスマスをテーマにした文学作品も数多く、以前、このブログでも飛行機をテーマにした「シェパード」という作品をご紹介しています。キリスト生誕をテーマにしたものでは、イギリスの人気作家ジェフリー・アーチャーの「最初の奇蹟」(短編集「十二本の毒矢」収載)が印象深いです。ひねりをきかせた落ちが特徴の12篇のの小説ですので、ここであらすじを書くのも野暮と言うものです。なかなか入手が難しくなっておりますが、興味のある方はぜひ。







 

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こどもの日ということで・・・みんな大好き(?)ポルシェ911

2023年05月05日 | 玩具道楽
 こどもの日ということで、毎度おなじみ玩具道楽でございます。だいぶ前に買って、写真もだいぶ前に撮ったものですが、小さなお友達も大きなお友達もおつきあいください。
 以前はコラボモデルがほとんどなかったプレイモービルも、この10年くらいは映画、ドラマ、アニメとのコラボが進んでいるほか、乗り物についてもライセンス商品として発売されているものがあります。ドイツの玩具ということでポルシェ、ワーゲン、ベンツは外せないようで、ポルシェについては代表モデルの911がラインナップされています。

 私が買ったのはポルシェカップ仕様です。プレモランドさんが閉店するときに購入したものだったかと思います。
 組み立て式になっており、出来上がるとこんな風になります。

サイドビュー。赤地に白で911とあるのがカーナンバーのようです。ボンネットにも貼るように指示がありますが、カーナンバー911というのもベタな感じがして、貼りませんでした。

屋根は外せます。

ロールバー越しに、コクピットです。ステアリングは膝に干渉しないよう、下部が直線です。

別売りの電池を仕込むことでライトをつけることができます。
工具類も充実しています。


タイヤはスリックとレインの二種類入りですので、ウエット路面でもOKです。

ジャッキもついていますので

よいしょっと持ち上げられます。ただし片側だけですが・・・。

レース戦略を立てられるような設備も充実しています。

(実際にはピットウォールの内側に設営されたりしますが)

モニターにさまざまな情報が表示されています。左上は雨雲レーダーでしょうか。昔(といっても20年くらい前)はF1でも広いサーキットで気象の変化を瞬時に読むのが難しく、トランスポーター(マシンを輸送するトレーラー)のドライバーをサーキットの外に出して雨雲が来たら無線連絡させる、ということも行われていたようです。
 ノートPCもあるので分析も簡単です。「おまえ、そこでもっとアクセル踏めるだろう」と言っているのかどうか・・・。

レースということで表彰台やチェッカーフラッグ、トロフィーもついています。

 プレイモービルとポルシェ、通常のクーペやパトカーもリリースされています。

 今回は大きなお友達向けにもこちらをご紹介。ミニチャンプスとBBCの人気番組、トップギアとのコラボモデルの911です。1/43の製品です。

司会者が交代した現在ではどのような番組になっているか分かりませんが、J.クラークソン、R.ハモンド、J.メイの三人が人気を博していた頃は、番組の「備品」扱いの謎の覆面ドライバー「スティグ」がさまざまなスポーツカーをドライブし、タイムアタックを行う企画がありました。それをイメージしたものがこちらで、ポルシェ以外にも製品があったようです。ちなみに番組で使用するテストトラックはかつての軍用飛行場だったようです。バックにときどき懐かしい翼が映ったりしていました。


スティグの足元には手書きのラップタイム(上位順に番組内で:掲示される)が表示されています。







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うさぎ年の玩具道楽

2023年01月06日 | 玩具道楽
 お正月なので恒例(?)のこちら、干支にちなんだプレイモービルです。
 うさぎについては小さいのでどうしてもアクセサリー的な位置づけになってしまいます。プレイモービルには以前から農場というジャンルがありますので、必ずラインナップに入っています。私は農場ではなく、ちょっと変わったもので持っています。
 まずは、何の変哲もない箱ですが・・・

 布をかけて引き去るとあら不思議

 白いうさぎが現れました!拍手~パチパチパチ。
 これは一体ものの「スペシャル」というシリーズで2007年に発売されたもので(品番4667)、後に色を変えて「Special Plus」というシリーズでも発売されました。
 仕掛けは簡単、箱の天板がくるりと回転して、中からうさぎが現れる、という構造です。


 ほかにも手品ものではシルクハットからうさぎが出てくる様子を製品にしたものもあります。

こちらは特にギミック等はありません。こちらの製品、中古品かルーズ品を買ったような記憶があり(記憶があいまいですみません)、一部の店舗、チェーン向けの限定品(マックのハッピーセットみたいなものです)の「レッドリボン」と呼ばれる箱に赤いリボンの柄が入ったシリーズ・品番4989に近いのですが、シルクハットの色が違っていたり、そのものずばり、というわけではありません。今は変わってしまいましたが、以前はプレイモービルのサイトの中に子供でもできる簡単なゲームがいくつか入っていて、その中の一つが犯人が隠れたホテルの部屋の明かりのシルエットを頼りにお巡りさんが踏み込んで捕まえるというものでしたが、部屋を間違えるとコックさんや、このマジシャンや、ネイティブアメリカンの酋長が飛び出してくるというアニメがありました。というか、ホテルでネイティブアメリカンの酋長の格好って、その方が怪しくないか?とか、マジシャンに酋長ってどういう事情で同じところに泊っているのかとか、いろいろ突っ込みたくなりました(突っ込んでどーする!?)。

 また、私は持っていませんでしたが、こんな「衝撃作」もありました。

 2004年頃に発売された「イースターバニー」と呼ばれるシリーズで、擬人化したうさぎが主人公です。イースター(キリスト教の復活祭)では、卵と並んでうさぎがモチーフに使われます。多産と繁栄の象徴という縁起物みたいなところがありますが、大胆にうさぎを擬人化したというのはなかなかのセンスです。

 ラインナップもこのようになっていて、うさぎの一家や学校が再現できるようになっていたようです。

 今でこそスタイルが違う人形を入れてみたり、タイアップ、企業コラボの商品を開発したりとかなり自由な製品づくりをしているプレイモービルですが、2000年代はまだ保守的で、暴力やホラーは作らない、流行を追ったものは作らない、というような感じでした。そんな中で顔だけうさぎというのは、インパクトもあったのではないかと思います。




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