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神奈川県の西部にある「小さな町」で暮らす私。
日々の生活の様子、見たこと、感じたこと、思ったことを綴っていきます。

蝶々さん~~(読書感想文です)

2012-04-03 | 本と雑誌
「蝶々さん」   市川 森一 著
有名なオペラ「マダム・バタフライ」は、こんな思いで生まれたんですねぇ~~~と、納得してしまう物語ですが・・・、
あくまでもフィクションです(苦笑)。Dsc04396

「蝶々さん」と呼ばれた「伊東 蝶」という一人の女性が、文明化開化の先端地である長崎で「愛を貫いて死を選ぶ」という、悲しくも凛とした生き方を示した、短い一生の物語です。
『両親のたった一夜の契りで「生」を受けた娘は、「蝶」と名づけられ、武士の子として厳しくしつけられますが、賢い蝶は「学問のすすめ」や「聖書」を通して、自分の未来の夢を実現させるべく勉学にも励みます。

隠れキリシタンの親友がアメリカ人の養女として渡米。
いつか蝶も、アメリカに渡ることを夢見ながら、母や祖母の死を乗り越えて、苦労を重ねながらも生きていきます。
そんな日々の中で出会った一人のアメリカ海軍士官が、蝶の運命に大きくかかわってきたのです。

その士官にとっては「日本での現地妻」・・・、が、それを知らない蝶は、彼の息子を産み、彼の帰ってきてくれることを待ち続けるのでした。
そして悲しい現実に気づいたとき、息子のためにと、彼が母国で持つ家庭に我が子を養子として渡すことを決意。
そんな折、アメリカに住む親友の死を知りました・・・。いつかかならず会えるという希望を失った蝶・・・。
武士の娘らしく「自害」という方法で、「美しく生きた」ことを示すのでした・・・。』
小さい頃から「蝶々さん」と呼ばれ、聡明で明るく、誰からも好かれた蝶・・・。
アメリカ人との儀装結婚がもたらした悲劇のヒロインになった蝶・・・。

彼女の英語教師であった宣教師が、母国に帰って「蝶」のことを自分の弟に話したことで「マダム・バタフライ」という小説が書かれました。
それをブルードウエイのプロデューサーがお芝居にして、NYやロンドンで上演。
そのロンドン公演を見た、イタリアのオペラ作家プッチーニが、オペラ化する権利を買い取り、世界中で上演、有名になったようなのです・・・。

あくまでもフィクションではありますが、なぜか「本当のお話」と思わせられがち~~
これっていいこと?悪いこと?(苦笑)。
長崎の風習、言葉、祭り・・・なんだかとってもロマンチックで「生で見たり聞いたり感じたりしたい~~」「長崎に行きたい~」と思ってしまいました。
二度、あの「グラバー邸」に行きましたが・・・確か「マダム・バタフライ」の舞台になった屋敷・・・みたいな説明があったような・・・?本当は違うんでしょうね(笑)。

主人公の「蝶々さん」は、辛いとき、悲しいときに「これは夢なんだ。夢だからいつかさめる」と思い込んで耐えて耐えて生きていたんです~~この生き方、好きです!
普通は「嬉しい時や楽しい時」に「夢ではないだろうか・・・」と考えますよね?

この本は、読み終わっても「強い印象」とか「考えさせられる」なんてことのない、あくまでも「娯楽」として受け止められたのが良かった~~(苦笑)。
そういえば~~、
昨年の秋、TVドラマになっていますね。