Liu Xiang Tea Salon

「リュウシャンティーサロン」での中国茶・台湾茶のレッスンの様子、季節ごとのインテリアの設えなどを綴っています。

2016明前・茶の旅4(最終回)~碧螺春

2016-04-10 | Tea Trip
旅行の最終日は、
私のお気に入りのお茶の一つでもある碧螺春の産地、
江蘇省呉県西南太湖洞庭へ。
洞庭には東山と西山があり、
風光明媚で年中花の香りが漂い、
果物が豊富に実るため花果山とも呼ばれています。
気候が温暖で湿度が高くお茶には最適な土地です。
今回は東山の茶農家を訪ねました。

碧螺春の茶樹は果物の果樹と交互に植えられていて、
枝が重なり合い、根も接しているため、
花の香、果物の香、茶の香りを併せ持つお茶です。
ここの茶園もオレンジや琵琶などの果樹が
茶樹に交じって植えられていました。


下の方からも新芽が出てくるのが特徴的な碧螺春の茶樹。


早速製茶の方法を見せて頂きました。
一芯一葉~一芯二葉で茶摘みした茶葉、
1斤(500g)の1/4の量を
まずざるを揺すって(篩分)
新芽のない軽い葉っぱだけをより分けます。
私もトライしましたが、
私がすると新芽もたくさん落ちてしまい、
拾うのがかえって大変でした。


篩分した茶葉を、今度はひとつずつ丁寧に
一芯一葉になるよう手で分けていきます。
触った感触は赤ちゃんのように柔らかい新芽です。
新芽と一葉以外は手でちぎって捨ててしまいます。
今年は天気が悪いため黒っぽい葉が多いそうです。
そういう葉も全てより分ける
この抜茎という作業を製茶の前にするのは、
碧螺春の特徴的な方法です。
取り除いた二葉や茎をこの茶農家は捨ててしまいますが、
この茶葉で安いお茶を作る茶農家もあります。
この時期は明前で最高級品を作りますが、
5月以降に作る碧螺春の6倍の値がするそうです。




抜茎した茶葉を釜で製茶していきます。
最初は70-80℃に熱した釜で茶葉を混ぜ返し、
100℃ぐらいまで温度を上げて10~15分程殺青します。
ここでしっかりと混ぜ返さないと焦げてしまいます。


50℃ほどに温度を下げて、
炒りながら、手と手を合わせて丸くなるよう揉んでいきます。
また揉みながら炒るを繰り返し行います。


強い揉捻(揉む)と軽い揉捻を交互にしていきます。
揉捻は常に同じ方向に回さないといけません。


揉捻して粘り気が出てきた茶葉を
解きほぐします(解塊)。
揉捻と解塊を繰り返し行います。
こうして1斤半(750g)が250gになります。


軍手も外し、手と手をこすり合わせて
丸い形に整型していきます。


しばらく丁寧に精揉(丁寧に揉むこと)をしていると、
不思議と白い新芽が際立ってきます。
最後に釜に紙を敷いて茶葉を置き
乾燥させて出来上がりです。
全部の行程は45分程です。
5月以降の茶葉は新芽が硬くて大きいので
1時間以上かかるそうです。



次に我々も釜での製茶を行い、
自分で製茶した碧螺春をお持ち帰りさせて頂きました。
茶師の方のご指導のもと、
茶葉を焦がさないように
常に混ぜながら製茶をしていく作業は当然熱く、
上手く揉捻するのもとても難しかったです。


精揉からは軍手も外して素手の感覚で
手と手をすり合わせて丸くなるよう揉んでいきます。
碧螺春は揉捻が長いので(重揉捻)、
龍井茶などに比べて色の濃い茶葉に仕上がります。


みんながそれぞれ製茶した明前碧螺春。
乾茶は果物の香が華やかに広がり、
茶湯は柔らかい春の日差しを感じる
甘く優しいお味のお茶に仕上がりました。
ご一緒した生徒さんのお茶との飲み比べが楽しみです。



今回の充実した旅行のご手配を頂きました留香茶芸の李自強宗師、
ご同行頂きました茶友の皆さま、
明前の繁盛期にご協力頂きました茶農家の皆さまに
心より感謝申し上げます。