プライス夫人と客のミス・コーネリア ―― はベランダへ通じる扉の側で話をしていた。 扉口から吹き入る涼しい快い微風は、 庭から 幻想的な匂い と、リラやミス・オリバーや ウォルターが笑ったり喋ったりしている蔦の 垂れ下った一隅の楽しそうな賑やかな 声のこだまを運んで来た。 【「アンの娘リラ」 第1章】 |
起床時、いつも真っ先に見るのは二階のベランダからの空。
“予報通り、今日は真珠色の空だわ・・”
~なんて思いながら階下へ。
そんな、何の変哲もない普段通りの朝。
それでも雨戸を開ける時、微かに鼻孔をくすぐる香り・・
に気付きました。昨日まではなかった香りです。
このどこか懐かしい香りは・・? 金木犀! 慌てて木の元へ。
今年は春の終わりに、あまりにも伸び過ぎたものですから、
思い切りバッサリ切ってしまったのです。
そんな事もあり、ほとんど期待していなかったのですが、
残った葉っぱに、小さなオレンジの蕾を付けていました。
そう言えば、明日からはもう10月ですものね。
さて、『アンの世界』 の庭は、
どの花から匂って来るのか
分からないそうですが、
こちらは勿論分かっています。
花の数は限られていますし、
狭い庭ですから当然でしょうけれど。
言うまでもなく、前述の
「金木犀」 と秋の 「薔薇」 の香り。
今日は、もう一つ、
リラ版 「公爵夫人の薔薇」 も
満を持して開花。
こんな滅多にない天然のアロマ香る
庭でお茶・・と行きたい処ですが、
生憎、お昼前からポツポツと雨。
ごく弱い雨ではありますが、
今日綻んだばかりの折角の花びらを
濡らしたくありません。
早速、摘み取って来て。
今日は気温こそ、高くはないのですが、
湿気があり、少々蒸し暑くなっています。
窓を開けていますので外からの金木犀と、室内の薔薇の香りで
天然のアロマ、全開! ~なんて、張り切っていましたら・・。
アラッ!? この香りは・・? 風に乗って漂って来たのは何と秋刀魚。
これぞ正真正銘、秋の香り。日本の香り。
でも、時間的にも・・少々早いのではありませんこと・・?