廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

隠れた実力派

2022年10月02日 | jazz LP (Atlantic)

Ted Curson / The New Thing And The Blue Thing  ( 米 Atlantic 1441 )


1964年に欧州へ演奏旅行へ行った際にジョルジュ・アルバニタと知り合いになり、それが縁となって帰国後に彼を含めて録音されたのが
このアルバムということらしい。ビル・バロンという曲者も加わり、硬派でいながらもストレートなジャズとなっている。

キャリアのスタートからセシル・テイラーやミンガスのバンドで演奏してきたこともあり、アヴァンギャルド派の印象があるのか、
日本では人気が無い不遇なミュージシャンの代表格のような人だが、この人の作品はどれも硬派な内容だが、聴きにくいということはなく、
真面目に音楽に取り組んだ成果がアルバムの中に刻まれている。

タイトルが暗示するように、既存のハード・バップやモードの語法に拠らない、第3の感覚のジャズということになるのだろうけど、
この路線はブルーノートの4000番台を含めて60年代の一大勢力だったわけで、その中でもアルバニタがアメリカのピアニストとは
一味違う色彩感で演奏していることもあり、新鮮な空気感が漂っている。アトランティックのサウンドの中で鳴るアルバニタのピアノは
マッコイのような音色と響きに聴こえるとこが面白い。また、ビル・バロンのテナーが太く硬い大木の幹のような存在感を発揮していて
音楽に重量感があり、浮ついたところがないのが好ましい。

テッド・カードンのトランペットの技量は高く、上手い演奏をするなあと感心させられる。ミンガスのバンドで相当しごかれたんだろう、
演奏に安定感があり見事だ。"Star Eyes" をバラードとして演奏していうけど、情感の込め方も上手く、一流の演奏家だったことがわかる。
あと10年早く生まれていたら、一端のミュージシャンとして人気を獲得していただろう。



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