The Dinning Sisters / Songs By The Dinning Sisters ( 米 Capitol H-318 )
女性コーラスは姉妹で結成されたグループが多い。マクガイアー、レノン、ボズウェル、アンドリューなんかがそうだ。
他人同士の女性のグループというのは、うまくやっていくのが何となく難しそうである。だから姉妹という関係性が必要だったのかもしれない。
そういうシスターズの先駆けが、このディニング・シスターズあたりになるのかもしれない。
40年代に活動していたので、レコードはほとんど残っていない。LPで聴けるのは2枚ほどで、この10インチもSPの切り直しである。ジャズという
よりは当時のポップスという雰囲気で、ジャズ・ヴォーカルとしての醍醐味は薄い。3声なのでハーモニーも単純だし、楽曲も短いし、あっという間に
聴き終わってしまい、分量的には物足りない。もう少しレコードを残して欲しかった。
SPを探せば他にも色々と音源は残っているから猟盤的には面白いのかもしれないけれど、さすがにそこまではやる気にはなれない。媒体としての
不完全さは手の施しようがなく、面倒臭さが音楽鑑賞の興を削いでしまう。
コーラスの世界もフォー・フレッシュメンが出てくるまではどのグループも楽し気にわかりやすく歌っていればよかったが、そのままの路線で
済むほど世の中は甘くなく、やがては技巧を磨いて高みを目指さなければ生き残れなくなってくる。そういう世知辛い時代がやってくる前の
穏やかなハーモニーの記録としてLPフォーマットが残されたのはよかった。