Nat Adderley / That's Nat ( Savoy MG - 12021 )
1955年7月26日にサヴォイに録音されたナット・アダレイのおそらくデビュー作品ですが、これが極上のハードバップで素晴らしい内容です。
ファンキーに身も心も捧げる前のある意味純粋な姿が捉えられており、清らかさすら感じます。 コルネットのオープンホーンの音がとても美しく、
ちょうど同時期のドナルド・バードのトランペットの音にとてもよく似ています。 ブラインドでこれを聴いたら、テナーとの2管ハードバップなので
ほとんどの人がドナルド・バードのアルバム?と答えるんじゃないでしょうか。
ナットのここでの相棒はジェローム・リチャードソンですが、この人のテナーの音にも圧倒されます。 技術的にはまだ未熟でたどたどしいけれど、
ロリンズの影響が濃厚な太い音が気持ちよく、そのサウンドだけで十分に音楽を上手く作れています。 ハンク・ジョーンズやケニー・クラークら当時の
サヴォイお抱えのサポート陣も抜群で、これ以上はない纏まりの良い演奏になっています。 特に何か目新しいことをやっているわけではないですが、
非常に完成度の高い純度100%の良質なハードバップがとにかくうれしい。
また、針を落としてまず最初に驚くのはRVGサウンドの音の良さ。 透明度の高いブルーノートサウンドといった趣きで、私はこちらの音のほうが好きです。
音圧が高く、管楽器の音が最高に輝いている。 "I Married An Angel" では演奏の素晴らしさとRVGサウンドの凄みが溶け合って、至高のバラード演奏に
仕上がっています。 知る人も少なくひっそり存在するアルバムですが、これは最良の出来の1枚だと思います。
もちろん、これは "Blue Spirits" 隠れた名盤・好盤 でかなり以前に知った1枚です。 そこから見つけるまでにずいぶん時間がかかりました~
サヴォイのあずきはオリジナルスタンパーのものが結構ありますから、もしかしたらお手許の盤もREDと同じかもしれませんよ。
まだ、dodge(bs)さんお勧めの何枚かを捜索中の状態なんです。 長い道のりになりそうです・・・・
「無冠の傑作」、本作の全てを言い表していますね。
参りました!
自分はカヴァはオリジナル仕様に近いのですが、中身はあずきなので2ndか3rdです(涙)。
それでも「音」はイイので、REDなら・・・・・想像がつきます。
好きな一枚です。