廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

オムニバスと誤解されているアルバム

2023年08月20日 | Jazz LP (Epic)

V.A / Rhythm + 1  ( 米 Epic Records LN 3297 )


エピックはハンク・ジョーンズ、ミルト・ヒントン、オジー・ジョンソン、バリー・ガルブレイスの4名のリズム・セクションを土台にして、
セルダン・パウエル、ジーン・クイル、コンテ・カンドリ、ジミー・クリーヴランドをランダムに配置して録音した。この時のセッションは
3枚のアルバムに分けて編集されており、1枚は管入りのこのアルバム、もう1枚はリズム・セクションだけのアルバム、残りはサヒブ・シハブの
グループやロンネル・ブライト、レイ・ブライアントのセッションも混ぜて "After Hour Jazz" としてリリースされた。リーダーを立てていないが
故にオムニバスと誤解されているが、これは明確なコンセプトに基づいて制作されたアルバムになる。

3枚の中ではこのアルバムが一番聴き応えがある。1曲を除いてワンホーンで、とてもシンプルに演奏されている。選曲もいいし、バックが固定
メンバーであることで全体を通して雰囲気が統一されているから、散漫な印象に終わることがない。このレーベル特有の深みのない軽い音楽では
あるものの、その質感は上質で洗練されている。軽く聞き流すような感じで聴く分には最適である。

リーダーアルバムに恵まれなかったジーン・クイルが聴けるのがうれしい。これだけ優れた演奏をするのになぜリーダー作がほとんどないのかが
よくわからないけれど、その欠落感を少し埋めてくれる。ジミー・クリーヴランドもシブい演奏で聴かせる。みんな肩の力がいい意味で抜けていて、
穏やかな表情の音楽になっているのが印象的だ。頻繁に聴こうとはさすがに思わないけれど、それでもたまにこうしてターンテーブルに載せると
これはこれで悪くないと毎回感じるのだから、まず間違いない内容なのだろうと思う。



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