廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

食傷気味、なんて言わずに

2017年03月25日 | Jazz LP (復刻盤)

Bill Evans / On A Monday Evening  ( 米 Concord FAN 00096 0888072019720 )


音質が良好だ。 一番気になるこの点が大丈夫なのは、何より嬉しい。 エヴァンスのピアノの音が我々がよく知っている、あの音だ。
正規録音のような音質なので、これは安心して聴ける。

1976年11月25日、ウィスコンシン大学マジソン校のユニオンシアターで行われたライヴで、エディ・ゴメス、エリオット・ジグムンドの時代のトリオ。
若いマーティ・モレルだとライヴでは張り切り過ぎてうるさい時があるけれど、ジグムンドは趣味のいいドラムを演奏する。 このメンバーは何と言っても、
"You Must Believe In Spring" を創ったトリオだ。 ワーナーの音質はいささか人工着色料的な匂いがしてジャズのサウンドとしては少しクセがあるけど、
こちらのサウンドはそういうところはなく、自然な雰囲気が好ましい。

演奏の質感も "You Must Believe In Spring" とよく似ていて、あのアルバムが好きならこれもきっと気に入るだろう(但し、あんなにおセンチじゃない)。 
収録されている曲も良く、いい作品に仕上がっている。 エヴァンスが晩年に好んで演奏した "Minha (All Mine)" というバラードが特に素晴らしい。 

エヴァンスの未発表録音は一定枚数のセールが見込めるせいか、最近はこうしてよく発売される。 マニアからすればもう食傷気味になってきて、またか、
という感じになっているだろうけど、これは「当たり」なので聴かれるといいと思う。 ジャケット・デザインもDUのブログで見た時はイマイチだなあと思ったけど、
実物は深いインディゴ・ブルーが上品な色合いで思ったよりもいい出来だった。 内容としては良くも悪くもビル・エヴァンス・トリオの典型的な演奏なので
取り立てて新鮮味はないかもしれない。 でも、私はこれはとてもいいと思った。



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