星のひとかけ

文学、音楽、アート、、etc.
好きなもののこと すこしずつ…

「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」 国立西洋美術館(追記あり)

2022-10-22 | アートにまつわるあれこれ
秋晴れの金曜日

「ピカソとその時代 ベルリン国立ベルクグリューン美術館展」に行ってきました。 先週につづいての美術館訪問で、 幸せ。。

オフィシャルサイト>>https://picasso-and-his-time.jp/




展覧会構成は7部に分かれていて、 
「セザンヌー近代芸術家たちの師」 
「ピカソとブラックー新しい造形言語の創造」 
「両大戦間のピカソー古典主義とその破壊」 
「両大戦間のピカソー女性のイメージ」 
「クレーの宇宙」 
「マティスー安息と活力」 
「空間の中の人物像ー第二次大戦後のピカソ、、マティス、ジャコメッティ」 というように、 時代を追って 作家ごとにまとまって作品が展示されていて、 それぞれ特徴ある作品群を落ち着いて観て行くことができました。

ピカソについてはぜんぜん詳しくなくて、 おぼろげに青の時代とか、 多くの女性を愛したとか、 南仏のアトリエとか、 戦争とゲルニカとか、、 ほんとうに一般的なことしか知らないのですが、 大昔、 はじめて本物のピカソを眼にした時のことは今でも覚えていて、、

今から30年以上前、 田舎のとある記念事業で絵画展がひらかれました。 当時、 うちの街には美術館もなくて、 会場はある新聞社のビルかなにかでした。 その狭い空間に、 とーーっても有名なフランスやウイーンの本物の絵が飾られたのです。。 警備の柵もなんにもなくて、壁の絵に顔をくっつけるようにして見れた(ような記憶が…) 今おもえば凄い展覧会でした。

そこに、 ほんのちっちゃなピカソの素描がありました。 絵はがきサイズくらいの「牡牛」。 一筆で描いたような線だったのに、 なんだかとんでもなく巧いと思いました。 どこがどうと言えないのに、 すごい、 天才、、としか思えなくて、、

 ***

今回、 ジョルジュ・ブラックとキュビズムを模索していく時代と、 両大戦間の時代のとくに女性を描いた作品がとてもとても印象深かったです。 青の時代の色彩からつづいているのかもしれませんが、 ピカソの色彩の配置ってほんとうに素敵、 美しい、、 そしてやっぱり天才的。

砕けたガラスに投影されたような、 分割した断片になっているキュビズムの絵画でも、 色彩の配置の呼応がみごとで、、 そして思ったのは 「優しい」。。 今回見た第二次大戦前の絵画群には ピカソの絵ってこんなにも優しさがあったんだ、、とうっとりしました。 何て言ったらいいのか、 奥ゆかしさ、、 見る人を圧倒するような 迫ってくるような感じがない、 押しつけがましくない、 でもうっとりするような色彩と構図。 

一緒に行ったお友だちによれば、 ピカソは付き合った女性が変わるたび画風も変わっていったのだそうです。 今回のチラシにも使われている ドラ・マールとの時代、、 「緑のマニキュアをつけたドラ・マール」も、 「黄色のセーター」の女性もドラ・マールだそうですが、 きっととても美しい女性だったのでしょうね。。 お顔が割れていても美しいってわかるもの。。 

「緑のマニキュア」の女性の瞳のうつくしさ、、 「黄色のセーター」の女性の髪のうねりさえも美しい。。 

あの有名な 「泣く女」もドラ・マールだそうですが、、 今回の展覧会の作品には特に色彩のやさしさや女性へのまなざしの愛を感じました。 黄色のセーターの女性のくちびるの色合いの綺麗さといったらもう… ♡

ピカソの愛した女たちの絵画など またまとめて観てみたくなりました。 ポーラ美術館でやっている「青の時代を超えて」展もみてみたいな~  (https://www.polamuseum.or.jp/sp/picasso2022/

(10/25 追記)
会場で「黄色のセーター」を見ていた時、、
(お顔はこんなにきれいなのに、どうして手はこんなにぐちゃぐちゃなの…?)と、一緒にいたお友だちに話しかけました。 そのときはそれきりだったのですが、、ドラ・マールのことを検索したら…
ピカソと出会った頃、 ドラ・マールは 「テーブルの上に手を広げてナイフで指の間を順番に突く遊び」をしていて、 そんな気性の彼女にピカソは惹かれ、「アトリエのショーケースに血まみれの手袋を置いていた」のだとか。。 それであの絵の左手はあんなにぐちゃぐちゃに描かれていたのね… なんと…

ドラ・マール(>>https://ja.wikipedia.org/wiki

その後、ドラ・マールは精神を病んだりもしたのだそうですが、絵も描きつづけ 89歳まで生きたと。。 彼女が描いた絵も見てみたい…

 ***



ピカソ展を見て、 それから常設展コーナーへ向かい、、 以前から充実した展示の宗教画コーナーなど見ていくうちにだんだん疲れてきてしまって、、 でも 今回、 版画コーナーでやっている「版画で観る「演劇」 フランス・ロマン主義が描いたシェイクスピアとゲーテ」も見たかったので、、 ちょっと先回りして版画室へ、、

ドラクロワの描いた「ファウスト」や「ハムレット」 そしてシャセリオーの描いた「オセロ」

以前に、 漱石や芥川龍之介の小説に出てくる「悪魔」の形状について、 どこからこういう悪魔の姿を知ったんだろう… っていうことに思いを馳せていましたが(芥川の悪魔、漱石の悪魔… ☽>>) 、、今回のドラクロワのファウストを見て、 もしかしたらこういう挿絵本を見てたのかも… と思いました。

こちらは 町田市立国際版画美術館の「空を飛ぶメフィストフェレス」の画像ですが この絵も会場にありました(>>) 角もあって 蝙蝠の翼もあって、、 (ん? これはコウモリの羽じゃなくて白鳥の翼ぽいかも…?)

そして、 「ハムレット」のほうは、 ドラクロワの描くハムレットが繊細そうで可愛かったのと、 このチラシにも載っているのが ハムレットが城のテラスで父王の亡霊に出会う場面、、 向こうの亡霊には脚があるのね… と思ったら、、 亡霊には影が無い、、と。。 そうなんだ…

 ***

新しくなった 西洋美術館の充実した常設展の作品群、、 とくに宗教画の充実した作品群を眼にすると いつも気持ちが穏やかに、、 鎮まっていく心地良さがあります。

いろいろと展示の工夫も凝らされていて、 以前から好きな絵画だった カルロ・ドルチの「悲しみの聖母」 この絵の色材の分析の結果が隣のボックスに顔料とともに詳しく載っていました。 光輪には金が使われていることや、 眼が吸い込まれるような深い青の衣には、 高価なラピスラズリから作られたウルトラマリンブルーが使われているということや、、 



いつ見ても美しい聖母。 

もっと しっかりじっくり見ていたかったのですが、、 体力的に限界を感じ、、 (次からは車椅子も考えようかしら…)

うちに帰って広報誌の「ゼフュロス」を見たら、 まだ見た事ない エヴェレット・ミレイや、 フィンランドのカッレラの絵画が載っていて、、 わ~~ん 見逃して来ちゃった… 泣。。







でも 愉しい 充実した時間でした。

また 行きたいな。



陽射しにも 秋の色が感じられるようになってきました



どうぞ 良い週末を。 
この記事についてブログを書く
« 「ふたつの旅 青木繁×坂本繁... | TOP | 木洩れ陽… »
最新の画像もっと見る

Recent Entries | アートにまつわるあれこれ