セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

DVD鑑賞ノート「不滅の李舜臣」[その1]

2009-09-14 22:18:05 | 歴史
李舜臣(イ・スンシン)は、太閤秀吉の朝鮮出兵時に活躍した朝鮮側の水軍の司令官。陸の戦いでは日本軍が圧倒的に強かったのだが、水軍の戦いにおいては李舜臣の指揮する朝鮮水軍が無敗を誇った。そんな李舜臣の少年時代から戦争の終る直前に戦闘中に死ぬまでを描いた韓国の長編歴史テレビドラマをDVD化したものをレンタルで見た。

アメリカ物もそうかもしれないが、韓国のテレビドラマは日本のものに比べてめちゃめちゃ長い。日本のドラマは3か月で終わるものが多い。大河ドラマでも1年間だ。ところが韓国の歴史ドラマは100回以上がざらで200回を超すものもある。毎週1話なら50話で1年ぐらいだから100話なら2年となる。しかも1話完結でなく次々と命の危険が襲ってくるので途中でやめることはできない。これは戦乱の時代だけでなく、朝鮮王朝時代全体にも言える。商人の話の「商道(サンド)」でさえ主人公は何度も処刑される危機が来る。テレビドラマ上の都合ともとれる。ただ朝鮮王朝は儒教つまり徳による統治を国是とする儒教国家のはずだが、実態は法と過酷な刑罰を根本する法家国家だという説があるのも事実だ。ともあれ「不滅の李舜臣」では104話でDVD50巻なので一万円以上の大金をレンタル店に支払ったことになる(ニート割引はないのか?)。レンタルビデオ業者にとって韓国ドラマはドル(ウォン?)箱なのだろう。どのレンタル店にも大きなスペースで韓国ドラマのコーナーがある。

この「不滅の李舜臣」を見ることにしたキッカケは、先月(8月)発売の雑誌「歴史街道」9月号が立花宗茂の特集で、その中に有名なエピソードが載っていたことだ。立花宗茂が雑誌の特集になるのを見るのは初めてだ。戦国一の快男児なのに、歴女の話題を扱った週刊誌にも、戦国武将を多く集めた本にも彼の名は載っていないことがあるのは口惜しい。ついでながらその書店の「歴史街道」の隣の陳列で発売中の「サピオ」が「日本の外交英雄」という特集で外交官以外にも作家(三島由紀夫)やスポーツ選手(イチロー)も含めて30人の名をあげていた。ところが僕が日本史に置いて傑出した外交官と思う副島種臣外務卿が入っていない。「有識者」達が選んだそうなのだが、その「有識者」達には学識がないのか?立花宗茂とか副島種臣とか魏延あるいは陳宮(三国志)など、僕が一押しの人物はそれぞれの分野であまり評価されていないのは、僕の趣味が悪いのか、それとも世間が悪いのか?

さて宗茂のエピソードだが、釜山に集結している朝鮮在陣の日本武将が太閤秀吉の死により帰国を急ぎ浮足立っていたが、小西行長のみが離れた順天城で孤立していた。立花宗茂はいならぶ諸将に「小西摂津殿を擒(とりこ)にさせては日本の恥。それがし一人といえども高麗に踏み止まり、摂津殿と生死をともにいたす」と主張したことだ。これに島津義弘と寺坂広高が賛意しめし、3将で行長を救出にむかいに行ったのだ。雑誌の記事はここまで。しかし僕はこのとき朝鮮水軍の名将李舜臣が小西行長の帰国を阻止しようと攻撃をしかけ、露梁海戦で鉄砲の弾にあたり死んだことを思い出した。帰って行く小西行長にあえて戦闘を仕掛けることは、相手にも自分の兵士にも不必要な犠牲者を出す。不必要な戦を行うのならば李舜臣は聖将とはいえない。不必要な戦闘を行ったため自らの命を失うことになったのではないのだろうか?では李舜臣はどんな人物だったのだろうか?ということで「不滅の李舜臣」のDVDを見ることにしたのだ。