セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

DVD鑑賞ノート「不滅の李舜臣」[その3]

2009-09-17 20:12:59 | 歴史
第1章「青年時代」の導入部分で李舜臣が鉄砲に撃たれたあと、物語は李舜臣の少年時代にさかのぼる。そこでびっくりしたのは、李舜臣と元均が幼なじみで深い絆で結ばれていたようになっていたからだ。宰相になる柳成龍(ユ・ソンニュン)とは幼なじみで彼が李舜臣を水軍司令官に推薦したことは史実として知っていたけど、元均まで幼なじみとは信じられなかった。だって李舜臣と元均は水軍のライバルで鋭く対決して、李舜臣の日記では元均を激しく非難しているのだから。ドラマを面白くするための脚色としても行き過ぎではと思った。でも書店で朝鮮史の人物事典をみたら李舜臣と元均は同じ村の出身と書いてある。親しかったかどうかは不明だが両班だから顔見知りではあっただろう。

ドラマでは、少年の李舜臣は5歳ぐらい年上で戦争ごっこのリーダの元均にあこがれているが、小さいので仲間に入れてもらえない。やがていろんなことから李舜臣は元均に認められ友人になる。李舜臣の家は祖父が中宗のときの趙光祖(チョ・ガンジョ)の失脚に連座して処刑された反逆者の家系。そのため元均の母が息子の李舜臣との交遊をいやがり、塾の先生に圧力をかけて李舜臣をやめさせる。元均と前々から李舜臣を気にかけている柳成龍はこれに抗議して塾をやめる。まもなく李舜臣の一家は母の故郷の牙山へ引っ越してゆく。

ところで趙光祖の失脚にともない多くの官僚が粛清された事件を己卯士禍という。以前に紹介した「換局」というのは役人の派閥(学閥)間の政権交替だが、「士禍」というのは勲功官僚による士林(儒教学者)官僚の弾圧だ。勲功官僚というのは政権樹立に功績があって地位と領地を得た者とその子孫だ。朝鮮王朝の成立に功のあったものは開国功臣で、暴君を倒して中宗を立てたのが靖国功臣という。まあどちらも倒されたほうの王朝や王様からみれば反逆者の犯罪人なのだけれどね。それで何が言いたいかというと、河村市政あるいは民主党政権は換局なのか士禍なのかということ。住民や国民のためを公務員職務の第一と考える役人の潮流が生まれなければ、ただ単に特権や給料が削られたと被害者意識だけを持つ役人が増える士禍になってしまう。

♪プレーボーイ、プレーガール、勝手な真似するな、勝手な真似するな・・・・
 みんなが行くから大学行くやつ、大学いくな、大学行くな・・・。
 生活が安定するから公務員なるやつ、公務員なるな、公務員なるな・・・