セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

クイズの女王だった山東昭子議員

2006-02-19 17:45:35 | 文化
2月16日(木)の「クイズミリオネア」を見ていたら、なんかおかしなことがおこった。国会議員の山東昭子さんが出場したのだ。そのこと自体は不思議でもなんでもない。山東昭子さんといえばもう30年ぐらい前になるが、テレビタレントで司会などをやっていたが、アップダウンクイズというクイズ番組で優勝して頭のいいタレントという評判を取り、それを元手に参議院選挙の全国区から自民党から立候補して当選した人だ。政界から「ミリオネア」にでるのならこの人はうってつけのはずだ。
最初に「あれ?」と思うことは、応援ビデオの武部幹事長の発言である。なんと武部幹事長は「山東さんは勘だけがたよりだから、勘がはたらかなければだめでしょう」などと言った。これを聞いて僕は、なんとアップダウンクイズで優勝して当時の全国民から才女と認められた山東昭子さんを何だと思っているのだろうか、武部幹事長は自党の国会議員それも旧全国区のタレント議員のこともよく知らないのかなと思った。
山東さんも司会のみのもんたに「昔はクイズ女王と言われました」と言った。
さて問題がでた。「次の4人のうち、征夷大将軍にならなかったのはだれでしょう。A源頼朝、B足利尊氏、C豊臣秀吉、D徳川家康」
山東さん、おもむろに「間違いないと思うのですけど・・・」
僕は、「そりゃそうでしょ」と思う。
山東さんおもむろに、「Aの源頼朝」とおっしゃった。僕は「エエ!信じられない!」とぶっ飛んだ。そのうえ「ファイナルアンサー」とのこと。
みのさん「残念!」、で番組は次の出場者へ移った。
いうまでもないことだが、正解は豊臣秀吉だね。べつにたまたま山東さんが知らなくて、僕がたまたま知っていたことを自慢しているのではないことは誰でも理解できると思う。だって源頼朝が征夷大将軍になって鎌倉幕府を開いたことは中学生でも知っていることだもの。たぶん(歴史授業のカリキュラムの時期にも関係あるが)日本とアメリカが戦争をしたことは知らない若者もこれは知っていると思う。豊臣秀吉は太閤秀吉と呼ばれることもあるが、太閤は引退した関白のこと。つまり秀吉は武家の最高位の将軍にはならなくて(またはなれなくて)、公家の最高位についたわけだ。
結局、武部幹事長の言ったことは根拠があったわけだ。山東さんたしか科学技術庁長官かなんかあまり重要でない国務大臣をやったあとは、男女のゴシップの他は名前を聞かなかったな。とすると、昔のクイズ番組では出場者によっては何かからくりがあったのだろうか。

阿井景子「高台院おね」光文社時代小説文庫

2006-02-14 23:28:40 | 歴史
豊臣秀吉の正室の「おね」の秀吉死後の生涯を描いた歴史小説だ。おねをとりまく人々の動向と秀吉を祭った豊国神社の興廃という歴史事実をつないでゆくことで、おねがどのような時代の中でどのような立場で生きて行ったかが浮かびあがってくる。人々とはおねの兄弟及びその子たち、豊国神社の宮司、高台寺の住職たち、侍女たち、秀吉の側室、豊臣恩顧の大名やその夫人などなどである。
始めは好意的にみえた家康も、おねが兄(木下家定)の遺領のその子2人の配分について要望をだしたことに烈火のごとく怒り遺領を没収した。家康が天下人としての峻厳な姿を現してくる。
大阪夏の陣のあと、豊国神社が破却される命令がでた、おねは家康に取り消しを懇願したが、家康はそれを拒否した。それではとそれ以上は破壊せず修理もせず崩れるにまかせるようにとたのんで許可された。でも家康死後すぐさま破却は実行されるのだが。この破却を命じた時、家康は秀吉の神号を剥奪したのだがその理由に驚く。「智仁勇三徳なきものを神として祀るのは不当じゃ」。家康は秀吉を主君としてかついでいたのだが、その心の中にはこうした考えを長いこと秘めていたのだろうか

「チェオクの剣」の不条理な結末

2006-02-05 20:21:45 | チェオクの剣
NHKのBS2「チェオクの剣」が終わった。最後は主人公のチェオクを始めとしてチョンサガン(従事官)のファンボ・ユンも革命家のチャン・ソンベクの主要人物の3人とも死んでしまう。
でもこの結末、ドラマの筋からは必然ではないどころか無理やり付け加えられたみたいな不自然さがある。反乱が鎮圧されて首謀者の高官が誅せられたのだからドラマは一応の完結のはず。それならソンベクはどこかに逃亡して隠棲すればよいし、チェオクはチョンサガンからソンベクが兄だと知らされて兄を追ってもよい。チョンサガンの妻にはならないだろう。長官のお嬢様がいるからだけでなくチェオック自身の抑制もあるから。チョンサガンは王の側近になったはずだ。
でもドラマでは、反乱の首謀者のひとりが復讐のためチェオクを誘拐してチョンサガンを呼び出した。チョンサガンは部下も連れずに呼び出されたところにいき、自分の命と引き換えにチェオクを解放しろという。でもこの話だいぶおかしい。剣の達人のチェオクが誘拐されるのもおかしいし、第一そんな難しいことを考える事自体悪党もおかしい。チョンサガンも自分の命と引き換えにチェオクを放せと交渉するが、悪党がチェオクを放したら、すぐさまチェオクに殺されるはずだからそんな交渉は成り立つはずがない。
そこにソンベクが仲間の逃亡資金の砂金を取り返すためあらわれた。悪党は倒されたが、砂金が海に散乱したので動転したソンベクがチョンサガンを殺してしまう。兄弟だと知ったチェオクとソンベクは殺し合う形で死んでしまう。他の人のブログではギリシア悲劇的と感激している人もいるが、こんなの不条理だよ。でもシェークスピアの「ロミオとジュリエット」の結末も不条理といえば不条理だから、悲劇とはもともと不条理なものなのか。
結末をこんなふうに無理やりもっていったのはドラマ製作者の意図と考えられるが、このドラマの途中でもやりきれない悲劇が頻繁にでてくる。無実の高官が謀略により主人公側に訴追され自死した。敵の謀略にかかった部隊が全滅して多くの役人や兵が死んだ。チェオクをしたって捜査に協力している元こそ泥のチョクサは愛妻を殺された。しかも実はその場にチェオクもソンベクも居合わせていた。
この結末が韓国的な情念に合うのだろうか?ハッピーエンドがいいのに。でもアメリカ映画みたいに敵だけでなく味方も大量に死んでも、敵が全滅してヒーローとヒロインが生きのこって結ばれればハッピーエンドというのもアメリカ人の感性を疑う。
常に悲劇的な結末に共感するのが韓国的な感性かな。それが幸福な隣人への怨嗟と結びついているならば、それは「幸せになれない考え方」を国民的情念としているなら問題だ。