セレンディピティ日記

読んでいる本、見たドラマなどからちょっと脱線して思いついたことを記録します。

確定申告書から住民税用が消えた

2011-01-20 15:38:31 | 社会経済
昨日、税務署に行って確定申告書を提出してきた。もちろん確定申告の期間は2月16日から3月15日だということは知っているよ。でもその期間に確定申告をしなければならいのは所得税を納める必要がある人だ。僕の場合は還付申告。還付申告はその年が過ぎたら年明けすぐにでも確定申告ができる。5年以内ならいつでもできるがしなくてもよい。

僕は無職だから、確定申告の対象となる所得は株の配当だけ。あと第一生命の生命保険に入っていたから、保険金のすえ置き残金にかかる利息が雑所得になり、第一生命が株式会社化したので加入者に割り当てられる株(僕の場合は1株に満たない)に相当する金額が一時所得となる。それらを全部足しても基礎控除の38万円にはるかに及ばないので税金はかかることはないのだが、社会保険(健康保険と国民年金)や生命保険や地震保険まで証拠書類をきっちりつけて申告書を出した。還付申告の効用はやがて1万円ちょっとの所得税が還付されるのが主だが、これを出しておけば市からの所得照会が来ないということもある。それに驚くべきことに配当から天引きされていた住民税(3%)も名古屋市から還付になる。

申告書の作成は毎年インターネットの国税庁のホームページを利用して作成している。それで今回驚いたことは、書類をプリントしたら住民税用のページがなかったことだ。他方今までにはなかった「添付書類台紙」が印刷されて出てきた。画面によると、今まで第1表の裏面に書類を添付していたが、機械で読み取るのに邪魔だから添付書類は「添付書類台紙」に貼ってくれとのことだ。なるほど、申告内容を機械で読み取ってデータ化すればそのデータを自治体に送ればいいのだから住民税用は必要なくなる。

そうすると今年から名古屋市の職員が税務署に詰めて、確定申告書から住民税用を剥がして税務事務所(前は区役所)に持って帰る必要はないわけだ。しかもデータ化される時点で計算間違いや記入間違いは淘汰されているはずなので、市職員の内容点検は不要で、機械上で住民基本台帳と照合がすめば納税通知書が発行できる。これは大幅な省力化である。でもこれでは職員が確定申告の知識がなくても務まってしまって税務事務所の設置理由の税のエキスパートが育たないのではと余分な心配をしてしまう。

でも昔から税務署は確定申告書をOCRで機械的に読み取っていたよな。たぶん昔は手書きの確定申告が大部分だったので、税務職員が1枚ごと機械に置いて読み取って間違いがないか確認し補正していたのだろう。だから1枚ごと機械に置くので裏面に添付書類がついていても影響がなかったと思う。しかし今は国税のホームページを利用するにしろ、送られてきた用紙を利用するにしろパソコンを使う人が多くなったので、機械印字なら読み違えたりするものはほとんど出ないから、何枚も重ねて高速で読み取ることが可能となったのだろう。そのためには第1表は何もはられてないペラの状態が好ましいのだ。

民間出身の大西副市長の辞任

2011-01-13 19:14:58 | 名古屋
河村市長に迎えられた民間(トヨタ系ディーラー)出身の大西副市長が辞任する。もともと1期限りと決めていたので河村市長の辞任にあわせたという。大西副市長は民間感覚での市役所の行政改革に取り組んだが目立った成果はあげられなかったという。

一般論として、民間出身者の副市長がおおいに役立つとしたら、下から上がってくる起案に対して役人が気づきにくくてポカしやすい点を指摘して訂正させることだ。たとえば国の役所の話になるが「後期高齢者」とかのネーミングや落ち葉マークと揶揄される車の表示は、民間のマーケティングに長けた会社なら決して通さないだろう。郵政とペリカン便の事業統合も純粋な民間会社だったらもっと慎重に手はずを確認してあんな混乱は起こらなかった気がする。

だから民間出身者の幹部だから行政改革をと身構える必要はないと思う。特色をだすとしたら、流されずに上記のことを行いながら、ふとこれは変える必要があると思ったこと発見したら断固として実行することだと思うな。大西副市長が役人の独りよがりな提案になんら有益な訂正を加えないでスルーさせている一方で、「改革、市民サービス向上」とつぶやきながら区役所を現地指導していたとしたら本末転倒だと思う。

僕は現役職員ではないし現役だったとしても副市長とは没交渉だと思うので、本当はどうだったのかわからないが、大西副市長はたぶん下からの起案に適切な指示を与えていたと思う。河村市長が連れてきた人だもの。でも仮に大西副市長が「俺はいろいろ意見をいったが役人が頑固で聞かなかった」と言ったならこれはまた問題。たいてい問題の多くは役人ではなくて副市長の方にあると思う。役人が納得しないのはそれなりの合理的な理由がある(勿論ない場合もあるけど)が副市長の方が理解できてないことが想定できる。良い的をえた指摘なら、役人も自分の盲点にハッと気づいて受け入れると思う。でもなあ、外部から来て役人の言うことの本質をつかみしかも役人を感服させる指摘ができる人はそうはいない。通産省でもそれができた大臣は田中角栄と河本敏夫だけだったというからね。河本敏夫さんに総理になってもらいたかった。

「2ちゃんねる」の「名古屋市職員専用スレッド」を見ると、大西副市長が、区役所の窓口にきて、「カウンターの上にチラシなどを置かないように」とか「机の上は整理整頓」とか言ったという。「2ちゃんねる」の職員たちは細かいことを言うと不満そうだった。でも実は同じような指示は従来でもなんども降りてきたものだ。まあ発信元が区長なのか総務局なのかは知らないけど。「市民目線でのサービス向上」も河村市長・大西副市長のずっと以前から月間を設けた年中行事として取り組まれてきている。副市長により現地指導が新しい趣向と言えばいえるが、それがどれほどの効果があったのか。効果をあげたいのなら、たとえば「カウンターの上」にしても、総務課長会で提案して総務課長に行わせて結果報告を求める方法に効果がある。もしかして総務課長会では反論が出て決まらないから現地指導になったのかな。

とはいえ僕が行政改革を必要ないと言っているわけではない。むしろ僕の方こそ関心があると言ってもいい。外部の人が、お役所だからきっと直すべきお役所仕事はいっぱいあるという前提からみるのと違って、役人を長いことやってきての問題意識である。

それは役所を本来の目的を最優先する組織にするにはどうしたらよいかということだ。ある目的のために作られた組織が、その目的よりも構成員の福利を優先していくのは止められないのだろうかということ。その代表的な例が旧帝国陸海軍だろう。戦史をみて驚くことは、国家の利益と高級将校の面子や利益が相反したとき、何の迷いもなく高級将校の利益を取っていることだ。『敗北の理由』(谷光太郎、ダイヤモンド社)では「機能組織(ゲゼルシャフト)型」が「共同体組織(ゲマインシャフト)型」になっていくと書いてある。それはそうだが、ではどうすればいいのか?

そのヒントは意外な所から見つかった。僕はオーストリア学派経済学の信奉者で当然に反リフレ派である。正確にはリフレ派への反感などいろんな自分の判断をもっているとオーストリア学派経済学にたどりついたということだ。で、反対陣営のリフレ派(日銀の金融政策によってわざとインフレを起こそうという人々)の本も時々読んでみる。あ、これは公正な判断のためでもなくまた揚げ足取りでけちをつけるためでもない。自分が思ってもいない考えを知ることは楽しいし、また自分はこうは考えないと気づくことで自分の考えがまとまるからだ。

リフレ派の松尾匡氏の『対話でわかる痛快明快経済学史』かな?『不況は人災です!』かな?とにかくその両方の本に書いてあるゲームの理論だ。たしか松尾氏は「ゲームに勝つにはゲームの規則を知って規則に従わなければならない」というようなことを書いていた。そのとき僕ははっと気がついた。そうだゲームの規則を変えればいいのだ。

リフレ派の松尾氏の本だから参考になったがちょっと悔しいと思っていたが、松尾氏は無視しているが、ゲームの理論を最初に経済学の持ち込んだのはオーストリア学派のモルゲンシュタインなのだ。オーストリア学派は常に異端でたえずその時代の優勢な考えに論争を挑んで決して負けてこなかった。主流派経済学は行き詰ると、シュンペーターやモルゲンシュタインらのオーストリア学派出身の学者からアイデアを借りて苦境を打破しようとする。でも首尾一貫していないからすぐまた行き詰まる。オーストリア学派は首尾一貫しているから正しいがゆえにいつも異端派だ。

話は戻るが、役所にいたとき、何年かに一人新規採用者で一日中職員バッチをつけている人がいた。僕も出張する場合は背広にバッチをつけるが、それ以外ではバッチは机の中。ほとんどの職員も同じだ。でもそうしたバッチをつけている新人職員は最初の異動で総務局の特定の課への異動を希望してその旨直属課長を通じてアピールする。僕なんかは、いつも職員バッチをつけるなんて真面目というべきだがなんか変で理解できんと思っていた。ちなみに規則では常に職員バッチをつけることになっている。エリートの一種である区長が区役所の部課長会で「職員規則では常時職員バッチをつけることになっているが」と問題にしようとしたら、エリートコースとはほぼ無縁の多数の課長が、「帰宅途中での一杯飲み屋で職員バッチをつけなきゃいけないというのは無理です」と大反対したと言う話がある。

つまり役所に入ってくる有名大卒職員の中には、たぶん先輩からどうしたら出世コースに乗れるのか教えられてそのとおりに従っている人たちがいる。僕としたらせっかく地方自治体に入ったのに職員を管理する部門に行きたがるのは何が楽しいか不思議だった。でも実はそれが出世ゲームの規則だったのだ。僕は鈍感でかなり後になって「2ちゃんねる」の「名古屋市職員専用スレッド」で知ったのだ。でも最初から知っていても僕には関係ないけど。

だから役所の行政改革とはゲームの規則を変えることだ。たとえば人事課など管理部門にいたら出世の回り道になるという風にしたらどうかな。

共産党は八田氏を擁立

2011-01-11 17:19:43 | 名古屋
2月6日の名古屋市長選挙に共産党や名古屋市職労などが加入する革新市政の会は元参議院議員の八田ひろ子氏を擁立するという。民主党が擁立した石田芳弘衆議院員とは政策面で合意できれば八田氏の出馬は取り下げて石田氏を推薦するつもりがあったが協議したが歩み寄りできなかったそうである。

社民党は市長選に石田氏、知事選に御園氏を推薦することにして、すでに両氏と政策合意ができているという。地方自治体レベルの政策で共産党と社民党でさほど違いがあると思えないので、政策以前の問題で民主党および石田氏は共産党と組みたくなかったのだと思う。たぶん名古屋市役所内部の市職労と自治労名古屋との組合の対立も大きく関係しているのだと思う。

ただね、当選するのは河村たかし現市長だろうということは脇に置いて言うと、石田氏への票は共産党がつくのと別陣営になるのとでは市職員の票が大きく違うと思う。これは共産党が大きな勢力があるという意味ではない。

たしかに市職員の間での河村氏への反感は大きいかもしれないがそれがそのまま石田氏への支持へは向かわないと思う。石田氏は自治体の議員内閣制なるものを主張しているね。これは市議会議員が市役所幹部になること。そうなると上級役職者のポストが減る上に、わけのわからない議員幹部に説明して判を押させるわずらわしい仕事が増えることになる。だから石田氏の市職員の支持はそれほど高くないと思う(現役でないので想像だが)。

市役所内の反河村票はわりと石田氏ではなく八田氏に流れる可能性がある。え?それでは河村市長が続投ではないかって。でもさあ河村市長と市の職員の問題は大部はまあ過ぎ去った問題だが、石田氏が当選すると新たな問題がこれから起こると思うと、棄権するか八田氏にいれて反河村の意思を表明した方がよいと思う人も多くいると思う。

市職員の票は、棄権、石田氏、八田氏、河村氏、杉山氏に分かれると思うが、どの人もそれほど差があるとは思えない。河村氏の支持者も多数派ではなくても存在する。

共産党は執拗に反河村キャンペーンをやっているが、それは議員定数削減が共産党の死活問題になってきているから。でもそんな時流に鈍感ではますます衰退するだけだ。70年代では共産党と公明党は激しく争うライバル関係だった。でももうその昔に勝敗は決まった。今回公明党は知事選では河村氏の盟友の大村氏を支持し、市長選は自主投票として、事実上河村支持の構えを取った。それは幅広い階層の支持者の意向や思惑に敏感に反応しているから。共産党はそこが欠けているから衰亡するだけだ。

大坂市役所の真昼の暗黒

2011-01-01 17:47:40 | 社会経済
あけましておめでとうございます。
今年2011年と来年2012年は後世の歴史に激動の期間として記録されると思います。これで日本の閉塞感が打ち破れることを期待します。

さてやや旧聞に属する他都市のことで正月早々にしてはめでたい話ではないのですが、書かずにおれないので今年第1回目の書き込みとします。

今や昨年ですが12月22日に大阪市は大阪市環境局の河川事務所の職員を清掃作業で集めたごみを着服していたとして、懲戒免職6人、停職21人を含む計42人の処分を発表しました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20101223-OYT1T00305.htm

懲戒免職を受けた6人は現金を着服した人たちですが、なんとその懲戒免職を受けた6人の中の1人は内部告発をした人です。平松大阪市長は、内部告発をしたことは懲戒処分の軽減要因だが、他の職員を威嚇したり、またロッカーを蹴って器物破損したので差し引きで弁護士と相談して懲戒免職にしたという。

この処分には多くの大阪市民が憤慨した。橋下大阪府知事は「内部告発をした大金星の職員を懲戒免職にするのはおかしい。これでは内部告発する名というメッセージを出していることになる」と平松市長を非難した。

僕の見るところ、大阪市には無理にでも告発者を懲戒免職にしようとする意思が感じられる。なぜなら懲戒免職の論理がめちゃめちゃなのだ。

まず、告発者はこの6人の中で、ただ一人着服していない人間なのだ。彼は証拠ビデオを撮影するため現金を受け取ったふりをしたのだ。その後彼は現金を回収した鞄にいれて川に返したのだ。これは第三者も目撃している。大阪市は受け取った時点で犯罪は成立するという。これ告発者は着服する意図もないうえに行為にそれなりの正当な理由があるものなので、大阪市のあきらかな強弁である。

告発者は職場で他の人々を威嚇し器物を破損したという。しかしこの理由で免職にはならない。事実と違うが告発者がその時点で着服する意図をもっていたとしても告発すれば罰則は軽減される。だからどんな足し算引き算しても懲戒免職にはならないはずだ。

それにこの威嚇という意味を考えねばならない。これは他の職員からの上申書が出されたという。しかしその上申書の提出者は職場の常習的犯罪者ではないのか。市長の会見では上申書の提出者名とその具体的な威嚇の内容については明らかにしなかった。容易に推測できることは、告発者が犯行を常習的に行っている職員に「おまえらこんなことをいつまでもやっていたらえらいことになるぞ」と言っていたのだろう。そこで後ろ暗い職員たちが告発者を排除しようと上申書を書いたのだ。上申書を書くことは何者かの勧めがあったと思える。

告発者は大阪市当局を信じられなくなっていた。なぜなら以前にも告発していたのだがなんら有効な手立てをうたないからだ。だから証拠のビデオを取ろうとしたのだ。ビデオに映った者は証拠がはっきりしているので懲戒免職になった。しかし以前から現金の着服はあったのだがそれらは証拠不十分で免職にはならない。ビデオ告発の後か先は知らないが、ロッカー等の検査もあったが、あらかじめ検査をするとの予告をしてからの検査なのでやばいものは処分されているので何も出てこなかった。調査して何も出ないのでは都合が悪いので、事務所長が川で拾ったキャリーバックを使っていたとか、あまりさし障りのことだけ聞き取りで白状して停職以下ですませようとしたのだ。

平松市長は地元民放のアナウンサーの出身だ。だから以前には当然の社会常識として告発者は保護されると言っていた。しかし22日の処分発表では一転している。おそらく市役所内部の勢力から「仲間を売るやつはクビにしろ。そうしなければ市政運営にも選挙にも協力できない」と脅されたのであろう。大阪市役所は年に100名以上の懲戒免職者を出す異常な自治体である。だからマスコミの中には「これで内部告発をしにくくして、懲戒処分を少なくする努力をしている」という皮肉を書いたところもある。

個人的な犯罪で懲戒免職になるにはその勢力にも仕方がないことだろう。しかし犯罪的なことでも職場習慣として日常的に行われていることは彼らにとっては当たり前のことで、それを外部に密告することは許せないのだ。

平松市長は毅然と対処して労働組合と対決しても綱紀粛正を行うべきだった。あ、「労働組合」と言っちゃった。そう僕は労働組合が告発者を免職するよう圧力をかけたのだと思っている。大阪市にも名古屋市と同じように労働組合が複数ある。名古屋市では主流派は自治労連(共産党)系だが、大阪市では主流派は自治労(民主党)系だ。だから民主党で当選した平松市長は組合の要求を拒めないのだ。

どちらの労働運動が良い悪いとは言わない。僕は自治体の労働組合が首長選挙に関与するのは反対だ。市民の投票でなくて裏から手をまわして市長と結託するのは住民自治に反すると思うからだ。正々堂々と表門から交渉するのは必要だと思う。ただこのところ国でも自治体でも民主党が与党になっているところでは自治労組合の弊害が出ているようだ。

共産党系組合と自治労系組内の違いは、共産党系の組合はいわゆる「外部注入主義」で、自治労は「組合主義・経済主義」だ。つまり共産党系組合は労働組合の要求そのままでは正しくなくて、組合外部から理念を持ち込まなければならないという考え。自治労は組合員の利益が第一と言うことだ。共産党の外部注入主義はともすると政治の引き回しとなり一般組合員の理解を得られないことがある。組合主義は組合員の利益を追求して首長と慣れあるうちに世間のとうてい理解を得られない魔界に入ることもある。いまの大阪市役所は市長も組合も魔界に入ったのだ。多くの職員に嫌われている河村名古屋市長はひょっとしたら正道を歩んでいるのかな。